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【日日是好日(にちにちこれこうじつ)】茶道が教えてくれた幸せ 作品レビュー

作品紹介

真面目で、理屈っぽくて、おっちょこちょい。そんな私は母に勧められて、お茶を習うことになった。二十歳の春だった。
「目の前にあることに気持ちを集中するの!」近所でタダモノじゃないと噂の武田先生は言う。お茶って大変。赤ちゃんみたいに何も知らない。それでも私は土曜日になると必ずお茶に行った。
就職の挫折、失恋、大切な人との別れ。
いつも側にはお茶があった。
雨の日は雨を聴く。雪の日は雪を見て、
夏には夏の暑さを、冬は身の切れるような寒さを。
五感を使って、全身で、その瞬間を味わった-。

「日日是好日」これは二十四年間にわたる、かけがえのない”今”を描く物語。

ストーリー

就職の話がチラホラ出始める頃の大学生、典子(黒木華)は、母親から「あんた、お茶、習ったら」と突然すすめられる。
「え?なんで?」と意味が分からず困惑する典子。嫌々ながらも、従妹の美智子(多部未華子)から「ねぇ典ちゃん、一緒にやろうよ」と一押しされ、二人は共に、自宅近くにある茶道教室の先生を訪ねる。その先生は巷で「タダモノじゃない」と噂の、武田のおばさん(樹木希林)だった・・・。
就職につまずき、失恋や大切な人の死という悲しみの中で、気がつけば、そばに「お茶」があった。がんじがらめの決まりごとのむこうに、やがて見えてきた自由。季節を五感で味わう喜び。
そして「いま、生きている!」その実感に迫る、感動のドラマがここに誕生する。

作品レビュー

戦国時代の日本では茶道は、武士の嗜みだった。明治時代から女子の教養として世に広まったという。

母親にお茶を習うことをすすめられ、大学生の主人公・典子は茶の世界に没頭していく。
24年に渡る彼女の人生は、お茶を中心に描かれており、これほど細かく茶道の世界を紹介した日本映画は他に無い。

私には茶道を知る機会も無く、お茶の展示会で抹茶を飲んだ程度。

まずは形から入ると言う武田先生。
お茶について何も知らない典子と従姉妹の美智子に、赤ちゃんに教えるように丁寧に指導する。

茶席に入る時の足運びや、畳一帖を6歩で歩む細かいルールなど、茶道は”すぐにわからないもの”の一つだろう。

お茶をいただく前に、先に和菓子を食べてしまうことを知らなかった。
全く茶道と無縁の私が、劇中で茶道の作法を詳しく知るが、お茶とお菓子は一緒にいただく方が美味しいはず・・・
理解しづらい部分があるのは、茶道が”すぐにわからないもの”だから。

茶道と典子の成長段階で、五感が研ぎ澄まされる様子と、典子の日々の感動を表現されている。
典子が子供の頃理解できなかった、イタリア映画フェリーニの【道】を、大人になってから再度観て感動で涙する。
それも典子の成長の証。
茶道と共に歩むことで、季節の移り変わりと美しさに気づいていく、典子の人生。

毎年、同じことができることが幸せと言う、武田先生。
日々不平不満で生きるよりも、季節の美しさに触れ、静かなお茶の世界で心を穏やかにする典子。
それこそが、日日是好日(にちにちこれこうじつ)なのだろう。

予告動画

日日是好(にちにちこれこうじつ)

監督・脚本:大森立嗣 原作:森下典子

出演:黒木華、樹木希林、多部未華子
原作:森下典子 『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮文庫刊)
配給:東京テアトル、ヨアケ
上映時間:100分
公式サイト

(C)2018「日日是好日」製作委員会

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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