≪第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品≫
『キャロル』トッド・ヘインズ監督×『ヒューゴと不思議な発明』ブライアン・セルズニック原作・脚本
居場所を失くした子供たちが勇気を出して踏み出す、人生という名のワンダーランド。
デビッド・ボウイの名曲にのせて奏でる、感動の物語。
アカデミー賞6部門にノミネートされた『キャロル』のトッド・ヘインズ監督が、同賞5部門に輝いた『ヒューゴの不思議な発明』の原作者ブライアン・セルズニックによるニューヨークタイムズ・ベストセラー小説を映画化、全世界熱望の最新作が完成した。人種差別や同性愛など現代の重要な問題をテーマにしてきたヘインズ監督が今回描くのは、愛する人も居場所も失くした少年と少女が、初めてぶつかる人生の壁を懸命に越えようとする姿。大切な人を探しに、ニューヨークを訪れ、自然史博物館に迷い込んだ彼らは、“驚きと幸せの一撃=ワンダーストラック”に次々と遭遇していく。名曲「スペース・オディティ」にのせて、二つの時代を行き来する壮大な世界観のなか、最後に二人を結ぶ謎が明かされていく。今もなお新たな壁にぶつかる大人たちに、人生のきらめきを取り戻す術を教えてくれる感動の物語。
母親を亡くした少年ベンと、耳の聞こえない少女ローズ
ベンはまだ見ぬ父に、ローズは憧れの女優に
それぞれの大切なひとに会うためにニューヨークへ旅立つ──
1977年、ミネソタ。母親を交通事故で失った少年ベン。父親とは一度も会ったことがなく、なぜか母は父のことを語ろうとしなかった。ある嵐の夜、母の遺品の中から父の手掛かりを見つけたベンは、落雷にあって耳が聞こえなくなりながらも、父を探すためひとりニューヨークへと向かう。1927年、ニュージャージー。生まれた時から耳が聞こえない少女ローズは、母親のいない家庭で厳格な父親に育てられる。憧れの女優リリアンの記事を集めることで寂しさを癒していたローズは、リリアンに会うためひとりニューヨークへと旅立つ。新たな一歩を踏み出したふたりは、謎の絆に引き寄せられていく。そして、大停電の夜、何かが起ころうとしていた──。
「Wonderstruck」は奇跡の映画と言える。第一の奇跡は、そのストーリーだ。
1977年と1922年に、一人の少年と一人の少女がそれぞれ自分探しの旅でニューヨークへ向かう。50年という時の隔たりがあるにも関わらず、二人は運命的な出逢いをする。このミステリアスな展開なのに、決して違和感はなく、むしろ運命的に導かれた二人のように描かれている。これは奇跡としか言い様がない。
しかも二人の関係が、1977年のニューヨーク大停電という実際に起きた夜に明らかになってくるという、まさに奇跡の一撃を与えてくれる。美しくもあり、感動的なストーリーだ。
更なる奇跡は、1922年と1977年のニューヨークを見事に再現していることだ。
撮影したのは勿論現在のニューヨークだが、街並みもファッションも全てが当時のままと思わせるほど楽しませてくれる。一つの作品を作る監督とスタッフの情熱に脱帽せざるを得ない。
何かを探してニューヨークに行く名作に「真夜中のカーボーイ」があるが、この「Wonderstruck」はそれとは真逆で、ニューヨークでも夢や希望、そして星までも見ることができる美しい都会に描かれている。
閉塞感に押し潰されて、人を信じられなくなる映画が多い中、この映画は貴重だ。オスカーワイルドの名言が心に沁みる。「皆ドブの中にいる。でもそこから星を眺める奴だっている」
大停電のニューヨークの空に無数の星が輝いて見えた。これも一つの奇跡ではないか。
2018年4月6日(金)よりシアターキノ、角川シネマ有楽町 他全国ロードショー
原題: 英題 : Wonderstruck
監督:トッド・ヘインズ
脚本・原作:ブライアン・セルズニック
製作:クリスティン・バション、パメラ・コフラー、ジョン・スロス
エグゼクティブ・プロデューサー:ブライアン・ベル、サンディ・パウエル
撮影:エドワード・ラックマン
編集:アフォンソ・ゴンサウヴェス
美術:マーク・フリードバーグ
音楽:カーター・バーウェル
衣装:サンディ・パウエル
出演:オークス・フェグリー、ジュリアン・ムーア、ミシェル・ウィリアムズ、ミリセント・シモンズ
2017/アメリカ/英語/カラー/5.1ch/スコープ/117分/字幕翻訳:松浦美奈
配給:KADOKAWA
PHOTO : Mary Cybulski
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