俳優・向井理が祖母の卒寿(90歳)のお祝いに、家族や親せきと自費出版して贈った祖母の手記を、向井自ら映画化に向け7年の歳月をかけて企画してきた意欲作。
主演である、祖母・芦村朋子役には尾野真千子。向井自身は、祖父・吾郎役を演じ、ふたりは夫婦役としては初共演となった。
さらに、朋子と吾郎の末娘である現代の真美役を岸本加世子、吾郎の先輩・高杉幹夫役に駿河太郎、朋子の父親・芦村忠役にイッセー尾形、現代の朋子役を野際陽子が演じるなど、演技派の名優たちが脇を固める。また、大学生の“理”役は、新人俳優・成田偉心が起用された。
脚本は、向井理の俳優としての転機となったNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の脚本家、山本むつみ。同ドラマの撮影終了後、向井が直接原作を手渡し依頼したことで実現した。監督には、『60歳のラブレター』(09)など、実話をもとにした物語を繊細かつ丁寧に演出し、味わい深い作品を残してきた深川栄洋。
戦後70年を越え、想像をはるかに上回る急成長を遂げてきた日本。こうした背景には、映画にもドラマにもならなかった人々の生活があった。「いつまた、君と ~何日君再来~」は、特別な人の稀有な逸話ではなく、ごくごく普通の暮らしを懸命に生きてきた人々の物語である。だからこそ、いま、伝えておかなくてはいけない、知っていてほしい大切なメッセージが詰まっている。
現代の私たちの心をも揺さぶるに違いない、すべての日本人へ捧げる、あなたの家族の物語-。
どんなに貧しくても、父ちゃんとなら、笑顔で乗り越えられた—。
81歳になった芦村朋子は、不慣れな手つきでパソコンにむかい、亡くなった夫・吾郎との思い出を手記として記録していた。
しかし、朋子は突然病に倒れてしまう。そんな朋子の代わりに、孫の理が『何日君再来』と題された祖母の手記をまとめていくことに。
綴られていたのは今まで知ることのなかった、戦中・戦後の困難な時代を生きてきた祖母・朋子と祖父・吾郎の波乱の歴史と、深い絆で結ばれた夫婦と家族の愛の物語だった-。
リアルタイムには知らないにも拘らず、なぜか懐かしさを感じさせる戦後の日本の景色の中描かれた、家族の絆の強さ、温かさ、逞しさに胸の熱くなる映画だった。
次々と襲いかかる不運の波に飲み込まれ、流されそうになりながらも、しっかりと胸を張り背すじを伸ばし、真っ正面から立ち向かう吾郎。
そして、どんな逆境にあっても素直な心で前向きに物事をとらえ、明るく温かい笑顔で吾郎に寄り添い、支え続ける朋子。
現代に生きる私には耐えられるとは思えないような苦しい生活の中でも、常に前を向いて家族を支える朋子の強さに目を見張った。
深い愛情でお互いを認め合い、強い絆で結ばれている吾郎と朋子、なんて素敵な夫婦なんだろう!!
吾郎と朋子の生き抜いた時代、きっと日本中に同じような家族がたくさんあり、それぞれに力強く生きていたのだろうし、もしかすると私の家族もその中の一つだったのかもしれないなぁ…。
私も、温かく優しい眼差しで、今一度自分の家族を見直してみたいと思った…。
公式サイト: itsukimi.jp
上映時間:114分
(C)2017「いつまた、君と ~何日君再来~」製作委員会