本作は、社会問題にまで発展した自転車ロードレース選手ランス・アームストロングのドーピング・スキャンダルを扱い、スポーツ界を震撼させた疑惑の真相を浮き彫りにした問題作。
常人には計り知れない強靭な精神力、手段を選ばぬ勝利の追求、マイヨ・ジョーヌへの並々ならぬ執念……。
選手として最盛期の20代にガンを発症し、脳までも冒されながら見事に復活、世界最大の自転車レース<ツール・ド・フランス>で7度の栄冠に輝いたアームストロングは、競技の外ではガン患者に献身的なサポートを惜しまないチャンピオンだった。
しかし、その裏ではスピードのために手段を選ばない、常人には計り知れない勝利への執着があった。
サイクルロードレース史上に偉大な記録を打ち立てた最強のチャンピオン、ランス・アームストロング。
果たして彼は英雄か、それとも……。
ここまで明らかにしていいのかと思うシーンが多く、衝撃的な作品です。
レースで、猛スピードで山道を下るシーンは観客も風を感じ、カーブでは遠心力がかかったように体が傾いてしまいました。
この作品は「ツール・ド・フランス」だけでなく、スポーツ競技には「ドーピング」という魔物がすぐ近くにいるんだという警鐘にも思えました。
ランス・アームストロングにつけられた「癌からの克服」というネームバリューは人々を惹きつけ、その発言を正当化させてしまう。
彼に生きる力をもらい、彼の存在が支えとなっていた人たちのために、疑惑は疑惑のままであってほしいとほんの少しでも思ったのは私だけでしょうか。
ただ、彼が信じたのは、自分の力でもチームメイトでも自転車でもなかったのかと疑念を抱いてしまうと、怒りよりも悲しみを感じました。
スポーツ界の衝撃的ニュースは尽きませんが、なによりそのスポーツをフェアに戦っていることが大切なのではと考えさせられる映画であり、選手には「スポーツマンシップに則り、正々堂々と戦う」という誓いを持ち続けてほしいと願う作品でした。
公開日・劇場 7月2日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー、札幌シネマフロンティア他全国公開
キャスト
スタッフ
監督:スティーブン・フリアーズ『あなたを抱きしめる日まで 』(13)
上映時間 103分 製作年 2015年 映倫区分 G 製作国 イギリス・フランス合作 配給 ロングライド 公式サイト
PHOTO BY LARRY HORRICKS (C)2015 STUDIOCANAL S.A. ALL RIGHTS RESERVED.