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直木賞作家が生んだ問題作、禁断の映画化『Red』2月21日公開 作品レビュー

作品紹介

直木賞作家が生んだ賛否両論の問題作が、新たな“恋愛映画”に
大人の女性たちの共感を呼ぶ、直木賞作家 島本理生がセンセーショナルな描写で新境地を開いた「Red」が禁断の映画化!

夏帆、妻夫木聡、柄本佑、間宮祥太朗と日本映画界きっての実力派キャストがくり広げる、湿度と温度の高い、濃密な大人のラブ・ストーリー。ラスト、映画オリジナルの結末に心が激しく揺さぶられる。

ストーリー

大雪の夜、車を走らせる男と女。先が見えない一夜の道行きは、ふたりの関係そのものだった。平凡な結婚、可愛い娘、“何も問題のない生活”を過ごしていた、はずだった村主塔子。10年ぶりに、かつて愛した男・鞍田秋彦に再会する。鞍田は、ずっと行き場のなかった塔子の気持ちを、少しずつ、少しずつほどいていく…。しかし、鞍田には“秘密”があった。現在と過去が交錯しながら向かう先の、誰も想像しなかった彼女の‟決断”とは――。

作品レビュー

直木賞作家、島本理生の同名小説が原作。監督は「しあわせのパン」で知られる三島有紀子監督だ。原作も監督も女性なので、ある意味女性に都合の良い描かれ方がされている。

原作は官能小説に分類されるほどの性描写らしいが、本作はそれほどではない。そこを期待して観にいくと物足りなさを感じてしまうかも。

商社マンの旦那と裕福な旦那の親と同居の専業主婦が主人公。姑に気遣い、マザコンの旦那には言いたいことも言えず、窮屈な毎日を過ごしていた。あるパーティーでかつての不倫相手、鞍田と再会し人生が一変するのだが、この10年振りの再会でいきなり濃厚なキスシーンがある。ぎこちない再会シーンを想像していたのでかなりの不意打ちだ。いやいやちょっと有り得ないだろと心の中で突っ込んでしまったが、不倫愛がテーマの官能小説が原作なので軽いジャブだったのだろう。

鞍田と同じ職場で働くことになり、イキイキと新しい世界を謳歌する主人公。自分の仕事が認められ評価される喜びは専業主婦だった彼女にとってこの上ない快感だったに違いない。次第に籠の中の鳥だった主人公は仕事と鞍田に重点を置くようになり、抜け出せない深い沼へと導かれていく。

主人公は異性にモテやすく同性に嫌われやすいタイプに違いない。現に私は終始彼女が不快だった。旦那は強く責められるほど悪い夫ではなかったし、姑も嫁である主人公に意地悪をするわけではない。恵まれた環境といってもいい。ただ主人公が育った環境とは違い過ぎた。結婚する前から根本的なズレは主人公も感じていたに違いない。だが幸せになりたかった、なれると信じていたのだろうと想像する。そして自分の本質や本能に蓋をして見て見ぬフリをしていたのだろう。

柄本佑演じる小鷹に「おまえ、何で結婚したんだよ」と言われるシーンがあるが、このセリフに尽きると思う。主人公は妻や母親よりも女でありたかった。なんなら母性すら彼女から感じることはなかった。家庭に収まるようなタイプでは元々なかったのた。結果、家族を不幸にしてしまい罪深い女である。

そんな主人公、塔子を演じたのは夏帆。それぞれタイプの異なる3人の男とのシーンでは彼女の表情に注目して欲しい。おそらく小鷹といるときの塔子が素なのだろうと夏帆の演技で感じ取ることができる。繊細かつ大胆な演技で新境地を開いたと言っても過言ではない。

鞍田役には憂いを帯びた色気が漂うようになった妻夫木聡。職場では一匹狼的な役所であったが、どこかミステリアスな鞍田のような男が職場にいたら現実では誰も放っておかないだろう。

この2人の妖艶な演技に寄り添うような劇中歌「ハレルヤ」の孤高な響きと美しいピアノの旋律が切なさをより演出していた。

『Red』2月21日 ユナイテッド・シネマ札幌他全国ロードショー 

監督:三島有紀子
出演:夏帆、妻夫木聡、 柄本佑、間宮祥太朗 他
脚本:池田千尋、三島有紀子
音楽:田中拓人
原作:島本理生『Red』(中公文庫)
上映時間: 123 分
R-15指定 
配給:日活
公式サイト
©2020『Red』製作委員会

投稿者プロフィール

坂本早苗
坂本早苗
札幌市内で働くOL。
ストレス発散はテニスで体を動かすことと大好きなパンを求め全国のパン屋さんの情報収集。着る服は骨格診断を意識しています。
映画は年齢と共にミニシアター系が好みに。
沢山の映画と出会い、観て聴いて考えてお気に入りを探していきたいです。
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