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⼭崎まさよし主演の異色犯罪ミステリー『影踏み』作品レビュー

作品紹介

原作=「クライマーズ・ハイ」「64ロクヨン」の巨匠・横山秀夫(祥伝社⽂庫)! 孤高の《泥棒(ノビ師)》が真実を解き明かす! 事件の秘密と数奇な人間模様を類稀なエンターテイメントに昇華させた “異色”の犯罪ミステリー!

その特異な⼩説技法ゆえに、⻑らく映像化不可能とされてきた横⼭秀夫の「影 踏み」が、満を持して待望の映画化!! 警察内の⼈間模様に主眼を置く横⼭作品の中では、泥棒という「犯罪者」を主⼈公にした唯⼀の例外・異⾊作!圧倒的な存在感で主⼈公・真壁修⼀を演じたのは、⽇本の⾳楽シーンで不動の位置を占めるシンガーソングライター、⼭崎まさよし。

ストーリー

深夜、⼈のいる家に忍び込む「ノビ師」の真壁は、ある家で眠る夫に放⽕しよ うとする妻に遭遇、彼⼥を⽌めた瞬間に刑事に逮捕されてしまう。2年後、服 役を終えた真壁は、⾃分を陥れたあの⼀件について調べ始める。裏社会につな がる闇に満ちた真実に少しずつ迫っていく中で、新たな事件が…!

作品レビュー

山崎まさよしの映画俳優デビュー作で、彼の代表作でもある『月とキャベツ』
主題歌となった「One more time,One more chance」は何年経っても色褪せない名曲だ。
そこから約23年。
今作『影踏み』は『月とキャベツ』以来の山崎まさよし・篠原哲雄監督、再タッグとなる。

山崎まさよしが演じるのは主人公・真壁修一。
ノビ師(住人が寝静まった深夜の民家に侵入して盗みを働く泥棒)の中でも別格の凄腕で、”ノビカベ”と呼ばれている。
小説や漫画やスポーツなどで登場する様々な通り名に惹かれてしまう自分としては、この”ノビカベ”というネーミングは少し格好悪く感じてしまったのだがそこは好みの問題だと思うので致し方ない。

そんな修一がある夜に仕事場(勿論そこは忍び込んだ他人の家である)で思わぬ場面に遭遇し逮捕されてしまう。
いくつかの不明点は留置所の中で考え抜き解決したものの、未遂のままとなっている放火殺人の謎・20年前の事件への後悔など修一の抱える苦悩は尽きないどころか増える一方だ。
そんな修一を支えたり焚きつけたりするのが、相棒・啓二。
啓二を演じるのは若手俳優随一の実力派・北村匠海。
彼の演じる役柄は周りから一歩引いて多くを語らない役が多いのだが、どちらかと言うと今回は修一がそのタイプ。
それでいてどことなく2人の持つ雰囲気が似ているのも良かった。

修一を取り巻く人物にも豪華キャストが集結。
修一と啓二をよく知る久子役を尾野真千子、またそんな久子に想いを寄せる久能役を滝藤賢一が演じた。
中尾明・大竹しのぶの熱演も光る。

導入部こそ重苦しい雰囲気があるが、ただ暗いだけではなく深みを感じられる映画となっていたのは原作者・横山秀夫の丁寧な人物描写に負う所が大きいだろう。
個人的に好きだった『64 ロクヨン』のスケールとはまた異なるが、観終えた後に虚無感に襲われない『影踏み』にはどこか救われた気がした。

予告動画

『影踏み』11月15日 札幌シネマフロンティア 他で公開

監督:篠原哲雄
出演:⼭崎まさよし、尾野真千⼦、北村匠海、中村ゆり、⽵原ピストル、中尾明慶 藤野涼⼦、下條アトム、根岸季⾐、⼤⽯吾朗、⾼⽥⾥穂、真⽥⿇垂美、⽥中要次 滝藤賢⼀、鶴⾒⾠吾/⼤⽵しのぶ
公式サイト
上映時間:112分
配給 :東京テアトル

© 2019「影踏み」製作委員会

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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