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待望の後編!『ウィキッド 永遠の約束』3月6日公開 作品レビュー

作品紹介

『ウィキッド 永遠の約束』は、世界的ヒットを記録した前作『ウィキッド ふたりの魔女』に続く二部作の後編であり、「オズの魔法使い」へと至る物語を描く壮大なフィナーレだ。
善と悪、友情と裏切り、信念と妥協。相反する価値観の狭間で揺れ動く登場人物たちの選択が、オズの世界を形作っていく過程を丁寧に描き出す。

監督は前作に引き続きジョン・M・チュウ。主演のシンシア・エリヴォとアリアナ・グランデが、それぞれエルファバとグリンダを再び演じ、友情の行方とその行き着く先を圧倒的な歌唱と表現力で体現する。
ミュージカルならではの音楽表現と、幻想的で色彩豊かな世界観が融合し、感情の高まりとともに物語はクライマックスへと向かっていく。

ストーリー

前作で決別したエルファバとグリンダは、それぞれ異なる立場でオズの世界を生きている。
エルファバは今や「悪い魔女」として忌み嫌われ、オズの森で身を潜めながら、言葉を奪われた動物たちの自由を取り戻すために戦い続けていた。彼女が執拗に追い求めているのは、オズの魔法使いの正体にまつわる真実である。

一方グリンダは、“善”を象徴する存在としてエメラルドシティで暮らし、人々に安心と希望を与える役割を担っている。マダム・モリブルのもと、魔法使いの政権を支える華やかな存在となった彼女は、その立場ゆえの葛藤を抱えながら日々を過ごしていた。

互いに異なる場所で生きる二人の選択は、やがてオズの運命そのものを揺るがしていく。すべての出来事が収束していく中で、友情が迎える結末と、この世界が「オズの魔法使い」へとつながっていく道筋が、静かに示されていく

作品レビュー

前作では、心をぐっとつかまれるような切ない友情の別れと、それぞれが別の道を選び、人生が大きく分かれていく瞬間が描かれていた。友情を大切に思っていたからこそ、同じ場所には立ち続けられなかったという選択が、強く印象に残る物語だった。

本作では、友情に加えて恋愛や家族関係がより前面に描かれ、とくに腹違いの妹ネッサローズとの確執は、エルファバの内面を大きく揺さぶる重要な要素として描かれている。守りたいという思いから生まれた行動や善意が、誤解や恐れ、そして小さな疑念へと姿を変え、それらが少しずつ積み重なって、やがて取り返しのつかない大きな歪みへとつながっていく。

それは決して特別な世界の出来事ではなく、私たちの人間社会でも起こりうることであり、その結果として誰かが傷つき、命を落とし、悲しい結末へと向かってしまう。そうした人間社会の縮図が、ファンタジーの物語を通して描かれていると感じた。

また本作では、『オズの魔法使い』に登場するブリキの木こりが、なぜ「ブリキの存在」になっていくのかという背景も描かれている。その描写は説明的になりすぎることなく、オズの世界がどのように形作られていったのかを理解させる重要な要素として機能していた。

さらに物語は、やがてドロシーへと受け継がれていくオズの運命を、あくまで控えめに、しかし確実に示していく。本作ではドロシー自身について多くは語られないものの、彼女の物語が始まるための土台が、すでにこの世界で整えられていることが伝わってくる構成になっている。

本作はもともと、『オズの魔法使い』の前日譚として作られた、いわば後付け的な位置づけの物語である。しかしその点を踏まえても、二部作全体を通して張られてきた伏線は、すべて『オズの魔法使い』へと続く道として丁寧に回収されており、エルファバ誕生の秘密が明かされることで、物語としてきちんと完結し、観客が納得できる構成になっていると思う。

歌の素晴らしさも、本作の大きな魅力だ。主人公エルファバを演じたシンシア・エリヴォ、そしてグリンダ役のアリアナ・グランデの歌唱は圧巻で、ミュージカル作品としての完成度の高さを強く感じさせてくれる。感情の揺れが、歌とともにまっすぐ観客に届く構成になっていた。

また、お花畑が登場する幻想的な風景や、動物たちが住むファンタジー色の強い世界観も非常に印象的だった。異世界的なビジュアルを前面に押し出しながらも、その中で描かれる友情、恋愛、姉妹の対立といった感情は非常に現実的で、物語の重さと幻想性のバランスがうまく保たれていると感じた。

二部作という構成だからこそ、前作で描かれた友情の別れや人生の分断が、本作でより重い意味を持ち、最終的に「なぜこの世界が、あの『オズ』へとつながっていくのか」が明確になる。後付けの前日譚という難しい立ち位置にありながらも、物語としてきちんと完結し、観終わったあとに納得と余韻を残す作品だった。

『ウィキッド 永遠の約束』


キャスト
エルファバ:シンシア・エリヴォ
グリンダ:アリアナ・グランデ
フィエロ:ジョナサン・ベイリー
ネッサローズ:マリッサ・ボーディ
オズの魔法使い:ジェフ・ゴールドブラム
マダム・モリブル:ミシェル・ヨー
監督:ジョン・M・チュウ
脚本:ウィニー・ホルツマン
共同脚色:デイナ・フォックス
原作:グレゴリー・マグワイア
原題:WICKED FOR GOOD
上映形式:スコープ・サイズ/ドルビーデジタル
上映時間:2時間17分
字幕翻訳:石田泰子
日本語吹替翻訳:桜井裕子
配給:東宝東和
公式サイト
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投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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