• 道内最大級の映画レビューサイト

堺雅人主演「平場の月」11月14日公開 作品レビュ

作品紹介

朝倉かすみの同名小説を原作に、第32回山本周五郎賞を受賞した話題作がついに映画化。
中学時代の初恋相手だった男女が、年月を経て再会し、再び心を通わせていく“大人の恋愛”を繊細に描く。

主人公・青砥健将を演じるのは堺雅人。
妻と別れ、地元に戻った男の静かな再生を、等身大の姿で演じる。
相手役・須藤葉子を井川遥が務め、『半沢直樹』以来の共演が実現した。

監督は恋愛映画の名手・土井裕泰(『花束みたいな恋をした』)。
脚本は『ある男』の向井康介。
埼玉県内でのロケを中心に、現実と記憶が交錯するような美しい映像で“もう一度、恋をする”二人の物語を描き出す。

ストーリー

妻と別れ、地元に戻って印刷会社に再就職し、慎ましく、平穏に日々を生活する、主人公・青砥健将(あおと けんしょう)。その青砥が中学生時代に想いを寄せていた須藤葉子(すどう ようこ)は、夫と死別し今はパートで生計を立てている。

お互いに独り身となり、様々な人生経験を積んだ二人は意気投合し、中学生以来、離れていた時を埋めていく――。ある日、アパートの部屋から月を眺めていた須藤。「お前、あのとき何考えてたの?」青砥にそう問われ、「夢みたいなことだよ。夢みたいなことをね、ちょっと」そう答えた須藤。再び、自然に惹かれ合うようになった二人。

やがて未来のことも話すようになるのだが・・・。

作品レビュー

主演に今や大物俳優といっても過言ではない堺雅人を据えた大人の恋愛映画が完成した。

堺雅人と恋愛映画の組合せに違和感を覚える人も多いかと思う。堺雅人といえば変わり者の弁護士や流行語を生み出した銀行員、超人的な工作員という裏の顔を持つ商社マンなど、恋愛とはかけ離れた役で常に日本中を夢中にさせてきた。そんな彼がごく一般的な中年のサラリーマン役とはとても贅沢に思える。

さて、本作は酸いも甘いも経験してきた大人の第二第三の恋愛映画だ。中学の同級生との再会という一見ベタな始まり。堺雅人演じる主人公の青砥と井川遥演じる須藤。訳あってお互い現在は独身だ。中学時代の須藤は家庭環境に恵まれていなかったことから闇を抱えていた。そんな事情を知りながら彼女を見守っていた青砥。大人の現在と思春期の頃の模様が常に交差されながら物語は進行していく。大人になっても「青砥」「須藤」と呼び合う2人の関係性が妙に照れ臭い。

そして髪を後ろで一つにまとめ服装も地味な須藤役の井川遥だが、病院で初めて髪を下ろしているシーンでは美しさに魅了される。台詞の言い回しもぶっきらぼうで表情も乏しい役柄だが、とき折見せる笑顔は本来のオーラを隠しきれていない。芯の強い大人の女性でありながら不器用な生き方をしてきた須藤にもどかしさを感じるが、井川遥はそれを見事に演じきっている。

親の介護や自身の病気などリアルな日常の中での大人の恋愛。いくつになっても真剣だが若い頃に比べると圧倒的に苦さを増すのが大人の恋愛だろう。本作は主人公たちと同年代にこそ刺さりやすい作品だと思う。

「平場の月」


キャスト:堺雅人 井川遥
坂元愛登 一色香澄
中村ゆり でんでん 安藤玉恵 椿鬼奴 栁俊太郎 倉悠貴
吉瀬美智子 宇野祥平 吉岡睦雄 黒田大輔 松岡依都美 前野朋哉
成田凌 塩見三省 大森南朋
原作:朝倉かすみ「平場の月」(光文社文庫)
監督:土井裕泰 (『花束みたいな恋をした』『罪の声』『映画ビリギャル』)
脚本:向井康介 (『ある男』)
主題歌:星野源「いきどまり」(スピードスターレコーズ)
製作:映画『平場の月』製作委員会

上映時間 : 117分
公式サイト

©2025映画「平場の月」製作委員会

投稿者プロフィール

坂本早苗
札幌市内で働くOL。
ストレス発散はテニスで体を動かすことと大好きなパンを求め全国のパン屋さんの情報収集。着る服は骨格診断を意識しています。
映画は年齢と共にミニシアター系が好みに。
沢山の映画と出会い、観て聴いて考えてお気に入りを探していきたいです。
error: Content is protected !!