新海誠の代表作であり、“新海ワールドの原点”と呼ばれる劇場アニメーション『秒速5センチメートル』が、18年の時を経てついに実写映画化される。
監督は、映像監督・写真家として国内外で高い評価を受ける奥山由之。『ポカリスエット』のCMや、米津玄師「感電」「KICK BACK」、星野源「創造」などのMVを手がけた気鋭のクリエイターであり、本作が初の大型長編商業映画監督作となる。
主演を務めるのは松村北斗。『すずめの戸締まり』で声優としても新海誠監督から信頼を寄せられ、俳優としても多くのクリエイターに高く評価されている。本作が松村にとって初の単独主演映画となる。
共演には高畑充希をはじめ、森七菜、青木柚、木竜麻生、宮﨑あおい、吉岡秀隆ら豪華俳優陣が集結。
主題歌は米津玄師「1991」。物語の舞台である1991年は、登場人物が出会った年であり、米津自身の誕生年でもある。劇中歌には山崎まさよし「One more time, One more chance」のリマスター版を使用。
東京や種子島などで四季をまたいで撮影された本作は、監督が「自らの中に残るセンチメンタルをすべて置いていく」と語るように、静かで切ない青春の時間を描き出す。
1991年、春。東京の小学校で出会った貴樹と明里は、互いの孤独を埋めるように心を通わせていった。
しかし、卒業を前に明里が転校し、二人は離れ離れになる。離れても文通を続ける二人は、手紙を通じて確かな絆を感じていた。
中学一年の冬、吹雪の夜。栃木・岩舟で再会した二人は、雪の中に立つ一本の桜の木の下で「2009年3月26日、またここで会おう」と約束を交わす。
時は流れ、2008年。東京で働く貴樹は、仕事に追われながらも、どこか心の奥で“止まったままの時間”を抱えていた。
そして再び、遠い記憶と共に、あの日の約束を思い出す。
一方、明里もまた、過ぎ去った季節の中で静かに日々を生きていた。
18年という時を異なる速さで歩んできた二人。
それぞれの人生の果てに、あの桜の木の下で交わした約束の行方が静かに重なり合う。
――人と人を隔てる“時間”と“距離”を超えて、想いはどこまで届くのか。
大切な人との巡り合わせを描く、淡く切ない約束の物語。
One more time,One more chance-
少年は少女に、少女は少年に救われた。
彼と彼女の18年間を描いた新海誠監督による劇場アニメーション「秒速5センチメートル」が、「SixTONES」の松村北斗主演で実写映画化となる。
「君の名は。」「すずめの戸締まり」、そして個人的には「言の葉の庭」も捨てがたいところだが、実写になるのならば確かに「秒速5センチメートル」が最適だったなとこの作品を見て感じた。
夢を見失い惰性で生きる孤独な主人公・遠野貴樹(松村北斗)
誰にも興味が無さそうな彼なのだが、その心の中あるのは温かくて優しい思い出の数々。クールすぎるほどクールな現在の姿との違いが哀しい。
こんなにも人と距離を置いてしまっていると、誤解される事も多いだろうと心配にもなる。
彼自身がその状況を作っているとも言えるのだが、時折見え隠れする諦めが見ていてやりきれない。
あまりにも取っつきにくい上に周りに対する気遣いある言葉も少ない為、正直なところ付き合いづらい人物なのだが、それでも手を差しのべてくれる人がいるということに安堵する自分がいた。
東京の小学校で彼と出会った篠原明里(高畑充希)もまた、卒業と同時に離ればなれになった貴樹の事を思う。
懐かしい曲を耳にした時、美しい景
色を見た時。ふとした瞬間に思い浮かぶ思い出は、時が経っても色褪せない大切なものだと思う。
アニメでも印象深い美しくも切ない桜の木は、実写でも重要な役割を担っていた。
メインキャストは勿論だが、森七菜、青木柚、木竜麻生、宮﨑あおい、吉岡秀隆など豪華な顔ぶれが揃う。
映像の質感や使われる音楽、そして俳優たちの演技。台詞の無い場面での演技も丁寧で、様々な部分でこだわりを感じる事の出来る作品だった。
出演:
松村北斗 高畑充希
森七菜 青木柚 木竜麻生 上田悠斗 白山乃愛
岡部たかし 中田青渚 田村健太郎 戸塚純貴 蓮見翔
又吉直樹 堀内敬子 佐藤緋美 白本彩奈
宮﨑あおい 吉岡秀隆
原作:新海誠 劇場アニメーション『秒速5センチメートル』
監督:奥山由之
脚本:鈴木史子
音楽:江﨑文武
主題歌:米津玄師「1991」
劇中歌:山崎まさよし「One more time, One more chance 〜劇場用実写映画『秒速5センチメートル』Remaster〜」
配給:東宝
上映時間:121分
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