• 道内最大級の映画レビューサイト

劇場版『チェンソーマン レゼ篇』9/19公開 作品レビュー

作品紹介

世界が熱狂するチェンソーマン、初の映画化!絶大な人気を誇るエピソード“レゼ篇”が、ついにスクリーンへ!

原作はシリーズ累計発行部数 3,000万部を突破し、現在「少年ジャンプ+」(集英社)で人気連載中の漫画『チェンソーマン』。 著者は、2024 年に大ヒットし、第48回日本アカデミー賞にて、「最優秀アニメーション作品賞」を受賞した劇場アニメ『ルックバック』も記憶に新しい、鬼才の漫画家・藤本タツキ。
2022 年には、アニメスタジオ MAPPA(『呪術廻戦』『進撃の巨人 The Final Season』など)による TVアニメが放送され、国内だけでなく、世界中で高い評価を獲得。現在まで 200 か国以上の国と地域で配信されている。

そして今回、連載当時から熱狂的な人気を博したエピソード“レゼ篇”が映画化。主人公・デンジが偶然出会った少女・レゼに翻弄されながら予測不能な運命へと突き進む物語が、スケールアップした疾走感溢れるバトルアクションと共に描かれる。

主題歌は、世界的ヒットとなったTVアニメのオープニングテーマ「KICK BACK」に続き、米津玄師と再び競演。本作のために書き下ろした「IRIS OUT」が、レゼ篇の世界に新たな鼓動を与えている。

恋も欲望も、人間も悪魔も全てを巻き込むド派手な血戦の幕が、ついに上がる!

ストーリー

悪魔の心臓を持つ“チェンソーマン”となり、公安対魔特異4課に所属するデビルハンターの少年・デンジ(戸谷菊之介)。

憧れのマキマ(楠木ともり)とのデートで浮かれている中、急な雨に見舞われ、雨宿りしていると偶然“レゼ”(上田麗奈)という少女と出会った。

近所のカフェで働いているという彼女はデンジに優しく微笑み、二人は急速に親密に。

この出会いを境に、デンジの日常は変わり始めていく……

作品レビュー

――青春と破滅の狭間で輝く“映画のための物語” スクリーンに宿る「映画的完成度」

原作でも屈指の人気を誇る「レゼ篇」。その鮮やかな起承転結から「映画のために描かれたのでは」とまで言われたエピソードが、ついに大スクリーンに姿を現した。試写会で鑑賞した本作は、予想を遥かに超える完成度で、映像のクオリティ、音響の迫力、緊張感を途切れさせないテンポ感が見事に調和し、上映時間を一瞬のように感じさせる。

本作を語るうえで欠かせないのがヒロイン・レゼの存在だ。「もし身近にいたら、きっと好きになってしまう」と思わせる無邪気さと、どこか影を漂わせる危うさ。その二面性を、声優・上田麗奈が見事に演じ切っている。甘やかな声色が笑顔を際立たせたかと思えば、一瞬で空気を変える冷ややかさへと転じ、観客はデンジと同じようにレゼの魅力に翻弄されてしまう。

映像が積み重ねる情緒があったからこそ、デンジとレゼが見せる「学校での青春」はいっそう眩しく映った。放課後の何気ない時間や、夏祭りで灯りに照らされた笑顔は、「この瞬間が永遠に続けばいい」と思わせるほど切なく、血と暴力にまみれた物語の中で異彩を放つ輝きを放っている。

さらに心を打つのはデンジ・アキ・パワーの関係性だ。テレビシリーズ序盤の頃は互いにぎこちなく、同居生活はどこかちぐはぐだった。だが今ではすっかり家族のような関係へと変わり、アキのさりげない言葉やパワーの奔放な態度の奥にある信頼が温もりを生んでいる。その背景があるからこそ、デンジがレゼに惹かれていく姿はより鮮烈に、より切実に観客の胸に迫ってくる。

「レゼ篇」はアクションとラブストーリーの融合であると同時に、デンジの成長を描いた物語でもある。これまでの彼は欲望に正直で倫理観も未成熟な“子ども”だった。だがレゼとの出会いを経て、恋や憧れといった「思春期らしい感情」に初めて真正面から向き合う。その揺らぎや戸惑いが、血みどろの戦いよりも強く観客の心に突き刺さる。

音楽面も語らずにはいられない。前作『KICK BACK』は米津玄師と常田大希の共作色が濃く、攻撃的なグルーヴが印象的だった。対して今回の主題歌『IRIS OUT』は、米津玄師らしさ全開の楽曲に仕上がっている。繊細な旋律と重厚なサウンドが、作品全体のテーマである「青春と破滅」を鮮やかに映し出していた。さらにエンディングでは宇多田ヒカルとのフィーチャリング曲が流れ、透明感ある歌声が物語を包み込み、レゼ篇の切なさを一層際立たせていた。劇場を後にしても耳に残り続けるその余韻は、まさに“映画音楽”の醍醐味といえる。

『チェンソーマン レゼ篇』は、原作の人気エピソードをただ映像化したのではない。レゼというキャラクターの魅力、仲間との家族のような絆、デンジの成長、そして新キャラクターたちの息吹。すべてが織り重なり、観客に濃密な体験を与える作品へと昇華されていた。血と暴力、愛と裏切り、青春と破滅。そのすべてが交錯する99分間は、公開後にもう一度劇場で味わいたくなること必至だ。

劇場版『チェンソーマン レゼ篇』


キャスト
デンジ:戸谷菊之介 ポチタ:井澤詩織 マキマ:楠木ともり
早川アキ:坂田将吾    パワー:ファイルーズあい
東山コベニ:高橋花林 ビーム:花江夏樹 暴力の魔人:内田夕夜
天使の悪魔:内田真礼   岸辺:津田健次郎 副隊長:高橋英則
野茂:赤羽根健治 謎の男:乃村健次

台風の悪魔:喜多村英梨   レゼ:上田麗奈

スタッフ
原作:藤本タツキ(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:原達矢
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
配給:東宝
制作:MAPPA
主題歌 : 米津玄師 「IRIS OUT」(Sony Music Labels Inc.)
エンディング・テーマ: 米津玄師, 宇多田ヒカル「JANE DOE」(Sony Music Labels Inc.)
挿入歌:マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ(全体推定70%解禁edit)」(Warner Music Japan)
上映時間: 99分

公式サイト
© 2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト ©藤本タツキ/集英社

投稿者プロフィール

もぐたん
プロ野球とゲームやアニメが大好きです。
error: Content is protected !!