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アニメ映画『ひゃくえむ。』9/19公開 作品レビュー

作品紹介

原作は「チ。―地球の運動について―」で手塚治虫文化賞マンガ大賞を最年少受賞した魚豊の連載デビュー作『ひゃくえむ。』(講談社刊)。陸上競技の世界で「100m」という一瞬の輝きに魅せられた者たちの情熱と狂気を描き、完結後も熱狂的な人気を誇るスポーツ漫画を映画化。監督はアニメ『音楽』でアニー賞にノミネートされた岩井澤健治。声の出演は松坂桃李、染谷将太をはじめ、内山昂輝、津田健次郎ら豪華声優陣。
主題歌はOfficial髭男dismの書き下ろし曲「らしさ」。今年一番の興奮がトップスピードでスクリーンを駆け抜ける。

ストーリー

生まれつき足が速く「友達」も「居場所」も手に入れてきたトガシと、辛い現実を忘れるために走っていた転校生の小宮。トガシは小宮に速く走る方法を教え、二人で放課後に練習を重ねる。やがて小宮は打ち込むものを見つけ、記録を追うようになり、二人はライバルであり親友ともいえる関係を築いていく。数年後、勝ち続けることへの恐怖に怯える天才ランナーのトガシの前に、トップランナーとなった小宮が立ちはだかる。

作品レビュー

「チ。 地球の運動について」で知られる漫画家・魚豊の連載デビュー作をアニメ映画化。

「チ。 地球の運動について」は今まであまりみたことのないタイプの作品だったが、「ひゃくえむ。」もまた独特。
“ひゃくえむ”つまりは”100メートル走”に命を燃やすトップアスリートの物語だ。
陸上部に所属していた自分には胸に刺さる言葉満載でどれもこれも響いたが、これらの名言たちはなにも陸上に限った話ではない。
人それぞれ、何のために、誰のために苦悩を乗り越えるのかは様々。
自分が自分を信じることが出来るか。そしてどう生きるのか。テーマ自体は至極シンプルなのが面白い。

とは言え、陸上競技の世界で「100メートル」というのは他の競技とはまた違う煌めきがある。
約10秒の為に、青春を、人生を捧げる者たちの狂気と情熱。
映画「ひゃくえむ。」にはその一瞬の輝きだけでなくそこに付随する孤独や焦燥もある。いや、寧ろ作中の大部分に於いてもがき苦しむ人間らしさが描かれていた。

生まれつき足が速いという事を幼い頃から冷静に受け止めている主人公・トガシと、つらい現実を忘れるためがむしゃらに走り続けていた転校生の小宮。
トガシは小宮に速く走る方法を教え、いつしか2人はライバルとも親友ともいえる関係になる。

松坂桃李がトガシ、染谷将太が小宮の声をそれぞれ演じているのだが、近いようで遠い2人の距離感がその声でうまく表現されていた。
共演には内山昂輝、津田健次郎ら豪華声優陣が集結。

今作を通して、天才たちが見ている景色とその苦しみに少しだけ触れた気がした。

『ひゃくえむ。』


原作:魚豊『ひゃくえむ。』(講談社「マガジンポケット」所載)
監督:岩井澤健治
脚本:むとうやすゆき
キャラクターデザイン・総作画監督:小嶋慶祐
音楽:堤博明
主題歌:Official 髭男 dism「らしさ」(IRORI Records / PONY CANYON)
声の出演:松坂桃李、染谷将太、笠間淳、高橋李依、田中有紀、種﨑敦美、悠木碧、内田雄馬、内山昂輝、津田健次郎
製作:『ひゃくえむ。』製作委員会(ポニーキャニオン/TBS テレビ/アスミック・エース/GKIDS)
配給:ポニーキャニオン/アスミック・エース
公式サイト
©魚豊・講談社/『ひゃくえむ。』製作委員会

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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