• 道内最大級の映画レビューサイト

『BETTER MAN/ベター・マン』3月28日公開 作品レビュー

作品紹介

『グレイテスト・ショーマン』のマイケル・グレイシー監督による最新作。
幻想的かつ壮大なスケールのビジュアルと感動的な音楽が織りなすミュージカル・エンターテイメント作品。
伝説的ポップスターの<夢>と<挫折>と<希望>を描く。

ストーリー

ロビー・ウィリアムスはイギリスで生まれ、1990年代初頭にボーイズ・バンド「テイク・ザット」のメンバーに選ばれる。
瞬く間に世界的なポップスターとなるが、若くして名声を得たことにより、栄光と苦悩を同時に経験する。
愛される一方で常に他人の目に晒されることに悩みながら、夢を追い求める日々。
仲間や大切な人との出会いと別れ、人生の絶頂とどん底を経て、彼が選んだ人生とは――。

作品レビュー

イギリスの世界的歌手ロビー・ウィリアムス。そんな彼の半生を描いたミュージカル映画が今春、満を持して公開される。

とはいえ、日本での知名度は決して高くはない。私も本作を観て初めて彼を知った。
そこが正直悔しいが、そこに捉われることなく楽しめるエンターテイメントであることは初めに約束したい。

特筆すべき点は主人公ロビーは終始「サル」として描かれていることだ。

それは自らを「パフォーミング・モンキー」とした彼自身の視点を、監督であるマイケル・グレイシーが重視したためである。斬新で奇想天外な「サル」に序盤こそ不安になったがロビーの成長と共に違和感は消えていく。それほど「サル」は巧妙に人間の姿と差異なく表情豊かに繊細に表現されている。

ロビーは幼少期より内向的で自意識が高い。それは大人になっても変わらない。そして成功者の類にもれず孤独に打ちひしがれていく。だが実際の彼は決して孤独なんかではなかった。振り返れば常に味方である優しい祖母がいたし友達もいた。だが誰よりも愛されたかった父親の愛が足りなかった。父親は童心のまま歳だけ重ねた大人だった。家族を省みず自分の夢だけを追い求めて生きていた。だがロビーにとっては憧れであり、かけがえのない父親だったのだ。そんな父親の存在がロビーを形成しているといっても過言ではないだろう。

ボーイズグループ「テイク・ザット」のメンバーとして一度は成功するロビーだが、その破天荒な立ち振る舞いがメンバーとの間に亀裂を生み脱退することになる。薬物に溺れ、人を妬み、現実との境界線が見えなくなっていく過程は見ていて辛い。

さて、本作の何よりの見所は音楽でありミュージカルシーンである。

ここであえて多くを説明する必要はないだろう。「グレイテスト・ショーマン」の製作陣が作り出す演出は圧巻であり、是非ひとつも漏らすことなく大画面と大音響で堪能してもらいたい。

そして間違いなく鑑賞後は名曲「My Way」の素晴らしさを改めて思い出すだろう。

BETTER MAN/ベター・マン

監督: マイケル・グレイシー(『グレイテスト・ショーマン』)
出演: ロビー・ウィリアムス、ジョノ・デイビス、スティーブ・ペンバートン、アリソン・ステッドマン
制作国:イギリス、アメリカ、中国、フランス、オーストラリア
配給: 東和ピクチャーズ
PG12
公式サイト
©2024 PARAMOUNT PICTURES. All rights reserved.

投稿者プロフィール

坂本早苗
札幌市内で働くOL。
ストレス発散はテニスで体を動かすことと大好きなパンを求め全国のパン屋さんの情報収集。着る服は骨格診断を意識しています。
映画は年齢と共にミニシアター系が好みに。
沢山の映画と出会い、観て聴いて考えてお気に入りを探していきたいです。
error: Content is protected !!