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『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』10/11公開 作品レビュー

作品紹介

アカデミー主演男優賞を獲得、日本での動員4週連続No.1の大ヒットとなり、世界興行収入は1,500億円というR指定映画史上No.1の記録を樹立——まさに誰も成しえない社会現象となった前作『ジョーカー』同様、その話題性と傑作が約束された“ジョーカー2”。ジョーカーになった男のその後とは? ついに世紀のショーがはじまる。その笑いはもう、誰にも止められない。

ストーリー

理不尽な世の中の代弁者として時代の寵児となったジョーカー。彼の前に突然現れた謎の女リーとともに、狂乱が世界へ伝播していく。孤独で心優しかった男の暴走の行方とは? 誰もが一夜にして祭り上げられるこの世界——彼は悪のカリスマなのか、ただの人間なのか。ジョーカーは一体誰なのか? 衝撃のラストに備えよ。

作品レビュー

『ジョーカー2』は、前作が多くの賞を受賞し、世界中で注目を集めたことから、期待値の高い作品だ。ホアキン・フェニックスは、前作に続き、痩せこけた異様な姿で再びアーサー・フレックを演じている。

前作では、アーサーが「ジョーカー」としてカリスマ的存在に祭り上げられたが、それは虐待の末に4人を殺害し、さらには自らの母親を手にかけた後、テレビ番組の生放送中にホストのマレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)を射殺したことがきっかけだった。この事件を機に、ゴッサムシティは暴動の渦に飲み込まれ、アーサーは無意識のうちにその先頭に立つことになった。

『ジョーカー2』は、5人の殺害で起訴され、矯正施設に収容されたアーサーのその後を描く。物語は前作から2年後に始まり、アーサーは模範囚として過ごしているが、精神薬の効果で感情を抑え込んでいる。しかし、音楽療法のセッションで謎めいた女性、リー(レディー・ガガ)と出会うことで、アーサーの運命が大きく変わっていく。

リーはジョーカーの熱狂的なファンであり、アーサーは彼女との出会いを契機に薬の服用を止め、封じ込められていたジョーカーが再び目覚めていく。タイトルの「フォリ・ア・ドゥ」はフランス語で「二人の狂気」を意味し、一人の妄想がもう一人に伝染し、二人が同じ妄想を共有するという特異な精神障害を示している。アーサーとリーの親密な関係は、外界から隔絶された環境で次第にその狂気を加速させていく。

本作は、アーサーが再びジョーカーへと変貌していく様を描きながら、彼がサイコパス的な二重人格者であるかのような疑念を観客に抱かせる。狂気が増していく中で、リーとの共依存的な関係は観る者に強烈な印象を与えるだろう。

物語がサスペンスとして進行する一方で、リー役のレディー・ガガの登場によってミュージカル的な演出が色濃くなる。特に、ガガの歌唱力が大きな見せ場となり、これが物語にファンタジーの要素を加える結果となっている。この大胆な演出は賛否を呼ぶだろうが、フェニックスが繰り広げるサイコパス的な演技には、誰もが目を奪われるに違いない。

『ジョーカー2』は、アーサー・フレックの狂気とその裏に隠された人間性をさらに深く掘り下げ、前作を超える挑戦的な作品となっている。その実験的なスタイルが観客にどう受け入れられるかは、公開後の反応を待つことになるだろうが、少なくとも、ホアキン・フェニックスの圧倒的な演技が再び語り草となることは間違いない。

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』10月11日公開


監督: トッド・フィリップス
キャスト: ホアキン・フェニックス、レディー・ガガ、ブレンダン・グリーソン、キャサリン・キーナー、ザジー・ビーツ
配給:ワーナー・ブラザース
上映時間: 139分
公式サイト
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投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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