遙か宇宙の彼方、トランスフォーム(変形)するロボット生命体トランスフォーマーが暮らすサイバトロン星。変形能力を持たない、オプティマスプライム(オライオンパックス)とメガトロン(D-16)は固い友情で結ばれ、いつかヒーローになることを夢見て暮らしていた。ある日、偶然謎のSOS通信を発見した二人は、仲間のバンブルビー(B-127)とエリータ-1と共に、侵入が禁止されている地上世界に足を踏み出し、惑星全体を揺るがす恐ろしい陰謀と強大な敵の存在を知るのだった。強大な敵に立ち向かうため、変形能力
を授かったオプティマスとメガトロンだったが、二人の正義感には少しずつ隔たりが生まれつつあった。トランスフォーマー史上最大の激戦・サイバトロン星の戦いの始まりが迫る中、二人の友情がいま試される。
映画『トランスフォーマー/ONE』は、シリーズの新たな魅力を再確認させる一本だ。これまでの実写版は視覚的な迫力に重点を置き、物語やキャラクター描写が物足りなさを感じさせることが多かった。
しかし本作は、派手なアクションに加えて、キャラクターたちの心情や葛藤を深く描き、ロボット社会に潜む格差や労働環境という社会的なテーマにも踏み込んでいる。
特に若きオライオン・パックスとD-16の友情は、観客に強い印象を残す。彼らが後に敵対する運命を知っているからこそ、その友情はより切ないものとして響く。また、メガトロン(D-16)の内なる葛藤や、オプティマス・プライムの希望に満ちたリーダーシップは、長年親しまれてきたキャラクターに新たな深みを与えている。
本作では人間キャラクターが登場せず、トランスフォーマーたちの多様性や独自の世界がよりリアルに感じられるのも特徴だ。その結果、トランスフォーマーたちの成長や感動的な要素が際立ち、シリーズファンはもちろん、これまで作品に触れてこなかった人々にも強く訴えかける内容となっている。
日本語吹き替え版と字幕版の両方にそれぞれの魅力があり、年代を問わず多くの人に楽しんでもらえる作品としておすすめしたい。スケールの大きさ、意外性のあるプロット、そしてキャラクターの成長が絶妙に組み合わさったこの作品は、シリーズの新たなスタンダードとなるだろう。
監督:ジョシュ・クーリー(『トイ・ストーリー4』)
キャスト(声):クリス・ヘムズワース、ブライアン・タイリー・ヘンリー、スカーレット・ヨハンソン、キーガン・マイケル・キー、ジョン・ハム、ローレンス・フィッシュバーン
日本語吹替キャスト(声):中村悠一、木村昴、吉岡里帆、木村良平、玄田哲章
配給:東和ピクチャーズ
上映時間: 104分
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