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『2度目のはなればなれ』10月11日公開 作品レビュー

作品紹介

2度オスカーを受賞したふたりが2度目の共演!!

マイケル・ケイン×グレンダ・ジャクソン名優マイケル・ケイン引退作!老夫婦が起こした感動の実話!
お互いに2度のオスカー受賞という名優マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンが『愛と哀しみのエリザベス(原題:THE ROMANTIC ENGLISH WOMAN)』(75)以来50年ぶり2度目の共演にして、2度目の夫婦役を演じ話題になり、本国イギリスで10億超えの大ヒットを記録した『2度目のはなればなれ』。
グレンダは映画公開前の2023年6月15日に輝かしい女優人生に幕を閉じ、そして、マイケルも本作で華麗なる俳優人生に幕を下ろすことになった心温まる本作は、89歳の退役軍人が6月ノルマンディ上陸作戦70年記念式典に参加するため、老人ホームを抜け出した実話を基にした作品。『ハンナとその姉妹』(87)『サイダーハウス・ルール』(00)で2度のオスカー受賞したマイケル・ケインが主演を務め、本作で引退することを表明。
約70年にわたり180本以上の映画に出演してきた彼の、華麗なる俳優人生に幕を下ろす“引退作”となります。そして共演には、『恋する女たち』(69)『ウィークエンド・ラブ』(74)で2度のオスカー受賞したグレンダ・ジャクソン。全英公開を控えた2023年6月15日、87歳でこの世を去り、輝かしい女優人生に幕を閉じました。名優2人の最後の共演となる本作は、忘れられない感動を刻む心温まる名作となるでしょう。

ストーリー

2014年夏。イギリス・ブライトンの老人ホームで寄り添いながら人生最期の日々を過ごす老夫婦バーナード(マイケル・ケイン)とレネ(グレンダ・ジャクソン)のある行動が世界中の大ニュースとなった。ひとりバーナードはフランスのノルマンディへ旅立つ。彼が行方不明になったという警察のツイート(#The Great Escaper)をきっかけに、世界中で話題になったのだ。ふたりが離れ離れになるのは、人生で2度目。決して離れないと誓った男がどうしてもはなればなれにならなければならなかった理由とは…。必ず戻ってくると信じる妻の真実の想いとは…。

作品レビュー

89歳の退役軍人バーニー・ジョーダン(マイケル・ケイン)は、衰弱した妻レネ(グレンダ・ジャクソン)と共に介護施設で生活している。彼がノルマンディー上陸作戦(D-Day)70周年記念式典への公式ツアーに参加できなかったことで、一人フランスへ向かうことを決意し、介護スタッフや地元警察、さらにはメディアを巻き込む大騒ぎとなった。

本作は、典型的なイギリスのコメディと思われがちだが、その実、マイケル・ケインの90歳近い年齢を超えた演技力が光る作品だ。戦争の恐怖を抱えながら、ユーモラスな展開が織り交ぜられ、観客の涙を誘う人情物語や人々の優しさが描かれている。

また、戦争だけではなく、老いていくことへの恐怖や、老老介護の行方、愛する人との永遠の別れ、そして自分自身の死へのやるせない気持ちも織り込まれている。

実際のバーニー・ジョーダンの旅路をベースにしているが、映画は独自の物語を展開し、浅はかで思慮に欠けた先の大戦で、多くの人々が命を失ったことを想わせる。戦争の責任を政治に帰することで、勝者も敗者も戦後に抱える後味の悪さが、深く刻まれる内容となっている。

2024年の今年、80周年を迎えたD-Dayの記念式典がフランスで開催されたが、実際の戦場で戦った兵士たちはすでに100歳を超えているため、10年前のように退役軍人が集まり酒を飲む式典とは異なるものとなったであろう。

小規模な作品ながら、見逃せない珠玉の一作である。また、本作はグレンダ・ジャクソンの最後の映画出演作となり、彼女は撮影後に亡くなった。そしてマイケル・ケインも、本作をもって引退を決意した。二大巨匠が揃って幕を下ろす瞬間を見逃すわけにはいかない。

『2度目のはなればなれ』10月11日公開
監督:オリバー・パーカー 
脚本:ウィリアム・アイヴォリー
出演:マイケル・ケイン『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』
グレンダ・ジャクソン『恋する女たち』『ウィークエンド・ラブ』
ダニエル・ヴィタリス、ローラ・マーカス、ウィル・フレッチャー
2023年/イギリス映画/英語/97分
原題:The Great Escaper
配給:東和ピクチャーズ

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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