本作は、移住によって離れ離れになった幼なじみのふたりが24年後、36歳の夏にNYで再会する7日間を描く、大人のラブストーリー。既に公開を迎えた各国では、共感と絶賛の嵐が巻き起こり、映画レビューサイト・ロッテントマト98%の高評価を獲得※、世界の映画祭でも高い評価を得ている本作は、賞レースの幕開けを飾るゴッサム賞で、見事作品賞を受賞!先日発表されたゴールデン・グローブ賞では『オッペンハイマー』や『バービー』など名だたる作品と肩を並べ作品賞(ドラマ部門)・監督賞・脚本賞をはじめ主要5部門へノミネート、受賞に王手をかけている。
その他、インディペンデント・スピリット賞への5部門ノミネートやAFI(アメリカン・フィルム・インスティテュート)2023年映画トップ10、IndieWire誌やHollywood Reporter誌、Rolling Stone誌、複数の海外メディアの<ベストムービー>にも選ばれ、第96回アカデミー賞で作品賞と脚本賞にノミネートされた。
物語は「運命」の意味で使う韓国の言葉“縁—イニョン—”がキーワード。見知らぬ者がすれ違ったときに、袖が偶然触れるのは、前世―PAST LIVES―でふたりの間に“縁”があったから。登場人物達が感じるいくつもの「もしも…」が、観客一人ひとりの人生における「あの時」の選択に重なり、心の中に存在する“忘れられない恋”の記憶を揺り起こす。これは、あなたの物語。
ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソン。ふたりはお互いに恋心を抱いていたが、ノラの海外移住により離れ離れになってしまう。12年後24歳になり、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいたふたりは、オンラインで再会を果たし、お互いを想いながらもすれ違ってしまう。そして12年後の36歳、ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れる。24年ぶりにやっとめぐり逢えたふたりの再会の7日間。ふたりが選ぶ、運命とはーー。
第96回アカデミー賞で作品賞、脚本賞にノミネートされた本作。
それは是が非でも観てみたいと興味が注がれたが、何とも形容し難い、刺さる人を選ぶ作品だなと正直感じた。派手さは無くアカデミー賞にノミネートされたと後から知ったら驚いたことだろう。
だが、とても丁寧に韓国人男女の恋愛を描いており私はとても心に響いた。
物語は12年ごとに展開される。
子供の頃に両思いだったが女の子ノラは一家で韓国を離れアメリカに移住することになる。大人になりFacebookでお互いを探し出し盛り上がり、時差がある中リモートで愛を育むが長くは続かない。そして更に12年経過しニューヨークで2人は再会を果たす。
その時ノラは既にアメリカ人アーサーと結婚しているのだが、ヘソンは承知の上でノラに会いに行っている。やましいことが無いノラは全てをアーサーに話し、ヘソンにニューヨークを案内するのだが、ここでのニューヨークの景色が素晴らしい。
私はノラとアーサーの信頼関係が美しい景色を生み出しているのだと思った。もしノラがアーサーに隠れてヘソンと密会するような形で再会していたら夜の繁華街ばかりになっていただろう。
本作でテーマとなっている言葉が「イニョン」である。韓国語で縁や運命、輪廻転生と言った意味だ。
前世のどこかで繋がっていたから今世でこうして出会っている、では来世ではどんな形で出会っているのかと語り合うシーンが印象的だ。
人生では幾度となくターニングポイントが訪れる。ノラとヘソンのターニングポイントは間違いなくリモートで盛り上がっていた頃にヘソンの勇気が足りなかったことだと思う。あの時に会いに行っていたら2人の関係は違っていただろう。
だが、ノラの台詞にもあるようにヘソンの性格は良くも悪くも典型的な韓国人男性で保守的なのだ。比べてノラは野心家で上昇志向が強い女性であることを考えると結局は上手くいかなかったかもしれない。
2人は厳密に言うと恋人関係だったわけでもなくすれ違いだらけだった。成就しなかった恋愛はいつまでも心に引っ掛かりを作るが最後に良い思い出となり決着をつけることができたのは確かだ。
ラストシーンは身につまされる思いになる。ずっと強気なノラだったが実は色々と堪えてたんだなと実感できるだろう。
それにしてもアーサーは理解ある夫で素晴らしい。
監督/脚本:セリーヌ・ソン
出演:グレタ・リー、ユ・テオ、ジョン・マガロ
2023年/アメリカ・韓国/カラー/ビスタ/5.1ch/英語、韓国語/
原題:Past Lives/106分/G
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
公式サイト