イタリアを驚愕させ、やがて世界が変わる大きなきっかけとなった事件が、40年の時を経て映画化。主人公のニーノとジャンニには、新星俳優ガブリエーレ・ピッツーロと、ダンサーとしても活躍するサムエーレ・セグレート。数百人のオーディションを勝ち抜き、彗星のごとく現れた2人が瑞々しい演技を魅せる。
監督を務めるのは、イタリアで俳優として活躍するジュゼッペ・フィオレッロ。初監督ながら、イタリア最古の映画賞で新人監督賞を受賞した。本国イタリアでは、『君の名前で僕を呼んで』 のルカ・グァダニーノ監督が大絶賛するなど、口コミが広がり爆発的ヒットを遂げた最高純度の実話ラブストーリーが、遂に日本上陸。
1982年、初夏の日差しが降りそそぐイタリア・シチリア島で、16歳のニーノと17歳のジャンニは運命的な出会いを果たす。育ちも性格もまるで異なる2人は一瞬で惹かれあい、友情は瞬く間に激しい恋へと変化していく。だが、少年たちの眩しすぎる恋は、ある日突然の終わりを迎えるのだった—。
1982年、2人の少年が死んだー
『シチリア・サマー』は、1980年にシチリア島で実際に起きたある事件に基づいた美しくて心に残る作品だった。
愛に溢れた家族の中で育ったニーノ。
生きている意味すら見失ってしまいそうな状況におかれていたジャンニ。
2人の結末は切なく哀しいものだが、それはイタリアを、そして世界を変えた。
撮影が行われたのはイタリア・シチリア島。
透き通るような青空と広い海、生命力溢れる木々の緑がこの島の美しさを教えてくれる。
そこで生きるニーノの家族は、明るくて優しい非常に理想的な空気を纏っている。
そんな家族でさえ受け入れる事の出来ない同性愛。2人はただ純粋に恋に落ちた。それだけだったのに。
時代的に彼らの恋は憎悪や侮蔑による厳しい目があり決して許されなかったというが、自由に人を愛することが出来る権利はこの事件以降次第に守られていくことになる。
多様性を重視する動きが高まってきている現在であっても、実際に自分の家族がそうだと知った時にそれを応援出来る人はどのくらいいるのか。
また、それとは別に描かれる親子の共依存。
母が子を想う気持ちは強く尊く素晴らしいものだが、ジャンニと母親との親子関係は不幸としか思えない。
どちらにとっても苦しいにも関わらず、その渦中にいると見えてこない打開策。
そこから抜け出すのは容易でなく、断ち切れない関係に苦悩する子どもたちは日本にも多くいるのではないだろうか。
見て見ぬふりをしないまわりのサポートは必須だ。
どちらも難しい問題だと思うが、多くの人が少しずつ他人に優しくなれる世界になって欲しい。
監督:ジュゼッペ・フィオレッロ
主演:ガブリエーレ・ピッツーロ、サムエーレ・セグレート
2022 年/イタリア語/134 分/スコープ/カラー/5.1ch/
原題:Stranizza d’Amuri
後援:イタリア大使館
配給:松竹
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