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劇場版「Dr.コトー診療所」 作品レビュー

作品紹介

2003年フジテレビの木曜10時枠で放送された連続ドラマ「Dr.コトー診療所」。医療ヒューマンドラマの原点として語り継がれているシリーズが16年ぶりに新たな物語を紡ぐ。
東京から僻地の離島に赴任してきた外科医“Dr.コトー”こと五島健助を演じるのは、吉岡秀隆。日本を代表する俳優のひとりである吉岡が、自身の代表作であり代表役ともいえる“コトー”を、16年ぶりに演じる。そして、診療所を支える看護師であり、コトーの妻となった五島彩佳を演じるのは柴咲コウ。さらには時任三郎、大塚寧々、大森南朋、朝加真由美、泉谷しげる、筧利夫、小林薫という日本を代表する名優たち、さらに一度は俳優を引退した富岡涼が本作のためだけに復帰、再集結した。加えて、診療所にやってくる新米医師に高橋海人、彩佳の背を追う看護師として生田絵梨花が出演。歴史ある「コトー」の世界に新たな風を吹き込む。

本作の監督を務めるのは、ドラマシリーズでも演出を務めた中江功。脚本は、同じく連続ドラマ全作を執筆してきた吉田紀子。そして主題歌はシリーズの代名詞とも言える、中島みゆき「銀の龍の背に乗って」。さらにはカメラマンや美術チームをはじめスタッフ陣も本作のために再結集。名作ドラマシリーズを世に贈り出したオリジナルキャスト(&新キャスト)&スタッフが、「Dr.コトー診療所」の“今”を描く。放送から16年。世界はめまぐるしく変化してきた。
蒼い空と美しい海に囲まれ、雄大な自然を内包する島で、今もなお、そこに生きている人々。時を経て変わるもの、変わらないもの、そして何よりも尊い人と人とのつながりを丁寧に、大切に描く。そんな「Dr.コトー」は今、この世界に、何を届けるのか。

ストーリー

日本の西の端にぽつんと在る美しい島・志木那島。本土からフェリーで6時間かかるこの絶海の孤島に、19年前東京からやってきた五島健助=コトー(吉岡秀隆)。以来、島に“たったひとりの医師”として、島民すべての命を背負ってきた。長い年月をかけ、島民はコトーに、コトーは島民に信頼をよせ、今や彼は、島にとってかけがえのない存在であり、家族となった。数年前、長年コトーを支えてきた看護師の星野彩佳(柴咲コウ)と結婚し、彩佳は現在妊娠7ヶ月。もうすぐ、コトーは父親になる。二人と共に暮らす彩佳の両親・正一と昌代、漁師の原剛利、ご意見番の重雄や漁師仲間、スナックを営む茉莉子、診療所を手伝う和田らが、今日もそこで静かに暮らしている。
2022年現在、日本の多くの地方がそうであるように、志木那島もまた過疎高齢化が進んでいる。現実を前にしながらも、コトーの居る診療所があればまあ大丈夫だろうと、皆心のどこかで思っていた。16年間経った今も蒼く広がる海や水平線、波の音、夜空の星の輝きは変わらないが、島は少しずつ変化している。そんな診療所の穏やかな日常にもある変化が忍び寄っていることを、誰もまだ気づいてはいない―

作品レビュー

「そして、ここに生きている。」

日本中に愛され、人々に優しさと感動を与えてくれたコトーこと五島健助(吉岡秀隆)。

あれから16年経った今も、彼は変わらず島の人々と寄り添いながら生きていた。

島に在住するたった1人の医師として島民たちの命を背負ってきたコトー先生。

島民とコトーとが長い年月をかけて築いてきた信頼関係は、そのまま出演陣とスタッフとの信頼関係のようにも感じられた。

主演の吉岡秀隆は、空き時間に自転車で島を走ると島民から「コトー先生!」と声をかけられたと言うが、まるでコトーが実在するかのようにこの島に溶け込んでいるのが映像からも伝わってくる。

Dr.コトー診療所は医療ドラマと言う枠をこえてこの島に根付き、実際にそこに住む人たちにとって大切な存在になっているのだろう。

それは俳優陣にとっても同じ事。

主演の吉岡秀隆をはじめ柴咲コウ、時任三郎、大塚寧々、神木隆之介、蒼井優、伊藤歩、堺雅人、大森南朋らおなじみのキャストが再結集し、原剛洋役の富岡涼は芸能界を引退していたにも関わらず本作のために復帰。

今もなお、医療ヒューマンドラマの金字塔として語り継がれているこの作品に新たに加わった髙橋海人(King & Prince)、生田絵梨花も作品の重さをしっかりと受け止め、この世界に溶け込んでいたように思う。

映画化には中江功監督の並々ならぬ想いもあったのだろう。スタッフや脚本の吉田紀子などドラマ版を手がけた顔ぶれが揃って今作を撮る事に成功した。

映画の話に戻るが、診療所があるこの島の人たちの健康管理はいつの間にかたったひとりの医師コトーに頼りきりだった。

そんな志木那島に、へき地医療の勉強の為 新米医師・織田判斗(髙橋海人)が期間限定でやって来る。
物事を冷静に見ている彼の言葉は、コトーにも島民にもすぐには受け入れ難いものがあったと思うが、今後のへき地医療に関して一石を投じたとも言える。
コトーの働き方は彼自身の方針であり、彼の良心や献身により機能しているだけのもの。

その苦労は並大抵の事ではなく、同じ事を他の医師に望んでもそれは難しいだろう。

更に言うと、誰か1人が全てを請け負い無理をする事で成り立つような状況は、へき地医療の根本的な解決にはなっていないのだ。

自分を犠牲にしてまで他者を救おうとする生き方について、涙し、深く考えさせられるストーリーだった。

日本の西端、自然豊かな孤島・志木那島は19年前も今も雄大な景色や島の美しさはそのまま。

これは是非劇場の大きなスクリーンで堪能して欲しい。

「Dr.コトー診療所」12月16日公開


【キャスト】吉岡秀隆 柴咲コウ
時任三郎 大塚寧々 高橋海人(King & Prince) 生田絵梨花
蒼井優 神木隆之介 伊藤歩 堺雅人
大森南朋 朝加真由美 富岡涼 泉谷しげる 筧利夫 小林薫
原作:山田貴敏「Dr.コトー診療所」(小学館)
監督:中江 功
脚本:吉田紀子
主題歌:中島みゆき『銀の龍の背に乗って』
上映時間: 135分
公式サイト
©山田貴敏 ©2022映画 「Dr.コトー診療所」製作委員会

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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