累計発行部数8700万部の国民的大ヒット漫画を原作とする映画『キングダム』。
その壮大なスケールから実写化不可能と言われていたが、2019年に公開されると興行収入は57.3億円を突破し、その年の邦画実写作品で見事No.1を獲得。数々の映画賞にも選出されるなど映画界に大きなインパクトを与えた。
あれから3年。前作を凌駕するスケールへとパワーアップし、映画『キングダム2 遥かなる大地へ』としてスクリーンに帰ってくる。
これが天下の大将軍への第一歩だ―――新たなる戦いの舞台は、決戦の地・蛇甘平原。
「秦」国へと侵攻を開始した隣国「魏」を迎え撃つべく、国王嬴政の号令のもと行軍。信は歩兵として戦地へと赴き初陣に臨む。
初めて目の前にする本物の戦場で、運命をともにする新たな仲間との出会い。そして、絶望の戦場でたちはだかる強大な敵。
信は亡き友・漂と交わした「天下の大将軍になる」という宿願を果たすため、さらなる過酷な戦いへと身を投じていく―――。命をたぎらせ、生きろ。
漫画好きにも歴史好きにも絶大な人気を誇る、古代中華戦国大河ロマンを描いた原泰久の原作漫画「キングダム」
“実写化不可能”とまで言われていたこの作品がスクリーンで描かれ大ヒットを飛ばしたのは2019年の事だ。
大きな夢を描く若き青年と圧倒的な力を持つ個性豊かな武将たち。同じ時代を生きる彼等がそれぞれの守るべきものや強い信念を持って本気でぶつかり合う姿。
こんなにも壮大で胸が躍る作品にはそう出会えない。
待ちに待った続編は期待を裏切る事なく、いや、期待以上の熱量で心を揺さぶってくれた。
観終えた後の燃えたぎる闘志とやる気は特に何かに活かされるような事は無かったけれど、あの興奮を少しでも伝えたくて今これを書いている。
紀元前、春秋戦国時代の秦で天下の大将軍を志す戦災孤児の少年・信(しん・山﨑賢人)が主人公ではあるのだが、登場人物全てが魅力的で存在感がありどのシーンも目が離せない。
前作では弟のクーデターにより玉座を追われた若き王・嬴政(えいせい・吉沢亮)や、強力な相棒となった河了貂(かりょうてん・橋本環奈)との出会いが描かれていたが、今作はその半年後、隣国・魏が秦への侵攻を開始するところから始まる。
これは原作でも人気のある蛇甘(だかん)平原での戦いであり、ここでの信はまだまだ下っ端。無謀とも思える突撃命令における捨て駒的な歩兵として戦場へ赴く事になる。
窮地に立たされながらも戦術として告げられたのが最小戦闘単位「伍」
この”伍”がなかなか面白く、卑怯とは言われても1人でも多くの敵を倒し少しでも勝利の確率を上げていくような賢い戦い方だった。
こういう部分からも古代中国の戦争を知る事が出来るのが非常に興味深い。
また、信が属する事になった隊の指揮官・縛虎申(ばくこしん・渋川清彦)や謎の多い羌かい(清野菜名)など原作でも人気のキャラクターが新たに参加した事でストーリーはより深みを増した。
武将の最期の描き方にもまた心が震えた。
蛇甘平原での戦いはどのシーンも胸が熱くなるが、中でも大将戦は息を呑むほどに圧倒される。
“戦の天才”とまで言われ冷静沈着に戦況を分析する知略の呉慶(ごけい・小澤征悦)と本能の赴くまま武力で押し通す豪胆なひょう公(ひょうこう・豊川悦司)の勝負、そしてそれを見つめる底の見えない絶対的な強さを持つ将軍・王騎(おうき・大沢たかお)
彼等の迫力が大きなスクリーンから伝わり、その瞬間を一緒に観ているかのように痺れる。
当時の武将や将軍たちの求心力に引っ張られ、観終える頃には「一生ついて行きます!」と思わずにはいられない。
(ちなみに、自分は王騎将軍に惹かれてはいるけれど壁のようになりたい)
今作のストーリーは原作でいうところの序盤の序盤。
武将たちの命をかけた激闘と、中華統一をただの夢に終わらせない為に走り出した信の初陣が描かれる。
未だ原作未読の自分だったがあまりにも続きが気になり読んでみる事にした。
そのくらい、キングダムの世界に夢中になってしまったのだ。
原作自体の面白さもあるのだろうが、佐藤信介監督の力量も、俳優陣の覚悟も感じられる超大作。
是非劇場で観て欲しい。
そして続編の制作に期待をしながら漫画を読んで過ごそう!
【キャスト】
山崎賢人 吉沢 亮 橋本環奈 清野菜名
満島真之介 岡山天音 三浦貴大 濱津隆之 真壁刀義 山本千尋
豊川悦司
高嶋政宏 要 潤 加藤雅也 高橋 努 渋川清彦 平山祐介
玉木 宏 小澤征悦 佐藤浩市
大沢たかお
原作:「キングダム」原 泰久(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:佐藤信介
脚本:黒岩 勉 原 泰久
配給: 東宝
公式サイト
上映時間 : 134分
©原泰久/集英社
©2022映画「キングダム」製作委員会