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有村架純主演『前科者』作品レビュー

作品紹介

「ビッグコミックオリジナル」(小学館)にて連載中の漫画「前科者」を、『二重生活』『あゝ、荒野』で数々の賞を受賞した岸善幸監督が実写映画化。原作は、テレビドラマ「監察医朝顔」(原作)や、『クヒオ大佐』(09)『羊の木』(18)といった映画脚本も手掛ける香川まさひとが「前科者」達の更生・社会復帰を目指す保護司を描いた作品。
有村架純、森田剛、磯村勇斗、リリー・フランキー、木村多江、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河など豪華俳優陣が出演。正解のない問いと向き合う人たちの希望と再生を描いた感動作。

ストーリー

罪を犯した者、非行のある者の更生に寄り添う国家公務員、保護司。保護司を始めて3年の阿川佳代(有村架純)は仕事にやりがいを感じ、様々な「前科者」のために奔走していた。そんな中、佳代が担当していた物静かな工藤誠(森田剛)は更生を絵に描いたような人物で、佳代は誠が社会人として自立する日は近いと楽しみにしていた。しかし、誠は忽然と姿を消し、再び警察に追われる身に。一方その頃、連続殺人事件が発生。捜査が進むにつれ佳代の壮絶な過去や、若くして保護司という仕事を選んだ理由も次第に明らかになっていき――。

作品レビュー

ビッグコミックオリジナルで連載中の漫画、「前科者」の実写映画となる本作公開に先駆けて、ドラマ版としてWOWOWで6話の連続ドラマが放送され、Amazon Primeビデオでストリーミング配信されている。

非常勤の保護司とは国家公務員だが、報酬は一切もらえないそうだ。主人公の阿川佳代(有村架純)は、その非常勤の保護司をしながら、コンビニで働いて生計を立てている。正義感が強くて真っ直ぐで勇気ある女性だ。

保護司は社会奉仕の精神を持ち、犯罪した者の更生を助け、犯罪予防のための啓発に務め、前科者たちの仮釈放期間に寄り添う仕事だが、非常勤の保護司はボランティアで賄われている。肉体的精神的にきつい仕事が無償と知り、憤りを感じる。
ドラマ版の佳代は新人の保護司として、元受刑者の前科者と関わり、互いに成長していく物語で、前科者の背景に触れることで、腹立たしさや悲しみなど様々な気持ちがこみ上げてくる。

主人公・佳代は何故非常勤の保護司をするようになったのか?の伏線がドラマで敷かれるが、映画で回収される。
ドラマと映画がセットなので、映画を観る前に必ずドラマ版をストリーミングで観てほしい。

映画版の前科者・工藤誠役を演じるのは森田剛。母親を父親に殺されて弟と施設で育つ。工藤は虐待された過去を持ち、ある殺人事件の加害者として服役した後、仮釈放中は佳代が保護司として社会復帰の手助けを担当する。

工藤は佳代の手作り牛丼を美味しそうに食べ、無事に仮釈放が終わろうとしていたが、ある衝撃的な事件が発生し、重厚な人間ドラマから連続殺人事件のサスペンスへと変化する。

上映時間は133分だが、ドラマ版を6話分見た後に劇場版を観ると、かなり見応えのある犯罪ヒューマンドラマへと仕上がっているのがわかる。

森田剛と有村架純の圧巻の演技力に引き込まれ「格差・貧困・虐待」にも言及した『前科者』は涙なしには見られず重く暗いテーマではあるが、緊迫感ある社会派エンターテイメントとなっている。

予告動画

監督: 岸善幸
キャスト: 有村架純、森田剛、磯村勇斗、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、北村有起哉、宇野祥平、リリー・フランキー、木村多江
上映時間:133分
PG12指定
製作: WOWOW、日活
配給: 日活
公式サイト

© 2021香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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