本作は、長編映画監督デビュー作『岬の兄妹』でSKIP シティ国際Ⅾシネマ映画祭2018にて観客賞と優秀作品賞、北欧最大の国際映画祭・ヨーテボリ国際映画祭(2019)でイングマール・ベルイマン賞にノミネートされるなど、国内外から高い評価を受け、日本映画界、そして映画ファンに激震を与えた片山慎三監督の最新作です。主演を務めるのは、映画、テレビドラマ、演劇、バラエティ番組、さらには映画監督に至るまで、マルチに活躍を続ける佐藤二朗。
本作ではそのユーモラスなパブリック・イメージを封印し、不穏な言葉を残して娘の前から姿を消した父・原田智役を務めます。苦悩や、単純に割り切れない人間の善悪の曖昧さを、説得力あふれる演技で見事に演じています。そのほか、『湯を沸かすほどの熱い愛』『空白』などの伊東蒼や、『渇き。』『ホットギミック ガールミーツボーイ』『東京リベンジャーズ』などの清水尋也、「全裸監督」の森田望智など、実力・個性ともに備えた気鋭の若手俳優陣も出演した、唯一無二の衝撃作が誕生しました。
また本作は、アジア最大規模の映画祭である 第26 回釜山国際映画祭ニューカレンツ(コンペティション)部門への出品も正式に決定! ニューカレンツ部門は、釜山国際映画祭唯一の国際コンペティション部門であり、アジアの新進気鋭の映画監督の第1~2 作目が対象となる部門。デビュー作で国内外から大きな評価を受けた片山監督の最新作に、早くも海外からも熱い注目が集まり始めています。
大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。
「お父ちゃんな 、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。 しかしその翌朝、智は煙のように姿を消す。
ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、 警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。
それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん」と呼ぶが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。失意に打ちひしがれる中、 無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る楓。 そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった。
大阪に住む片山監督の父親が指名手配犯を電車内で見かけた、という実体験から生まれたオリジナル作品。ニュース報道で観るような、トラブルや犯罪を普遍的に交ぜた衝撃的なストーリー。
母親を亡くし父の原田智と暮らす、中学生の楓。「指名手配中の連続殺人犯見たんや。 捕まえたら300万もらえるで」と父親の智が言った翌日、父は行方不明になる。父が働く日雇いの現場を尋ねると、謎の男が父と同姓同名であった。訳が判らないまま、父の手がかりを探す楓だが、事件は思わぬ方へと向かっていく。
猟奇的殺人事件、行方不明、格差と貧困、難病、尊厳死・孤独・フェチズムなど、現代の日本が抱える問題で追い詰められ、心に闇を抱えた者たちが人生を狂わせていく。
映画『さがす 』では、 観客が驚愕するような展開がある。「どうすれば観客を裏切ることができるのか?」が、片山監督が特にこだわった点だ。楓・智・殺人犯・山内(清水尋也)の視点によって場面は切り替わり、中盤以降で暴走し衝撃を受ける。
父・智役を演じた、佐藤二朗のコミカルなイメージとは程遠い、重苦しい雰囲気や演技が秀でている。影と異質感のある女子中学生・楓役の伊東蒼は、難役を見事に演じ、カメレオン俳優と評される清水尋也は、異様な存在感を発揮している。
ホラー映画のような恐怖感と、観客の意表をついた底知れない闇と生々しさを表現している。
ポン・ジュノ作品で助監督を務めた経験を持つ、片山監督の手法は、韓国映画を観ているような見応えと、どんでん返しがある。片山監督のこだわりと才能に是非触れてみてほしい。
佐藤二朗
伊東蒼 清水尋也
森田望智 石井正太朗 松岡依都美
成嶋瞳子 品川徹
監督・脚本:片山慎三
配給:アスミック・エース
上映時間: 123分
PG12
公式HP
©2022『さがす』製作委員会 英題:Missing