市川染五郎×杉咲花 「四月は君の嘘」のフライングドッグ 10 周年記念作品! 歌舞伎界の超新星とイシグロキョウヘイ監督、 こだわり抜かれた音楽が若手トップ女優の競演が弾ける! 初のオリジナル劇場作品が弾ける! スクリーンで弾ける!
2020 年代、そのはじまりを告げる初夏―― サイダーのように甘く弾ける、少年少女たちの青春ラブグラフィティ。
17 回目の夏、地方都市——。 コミュニケーションが苦手で、人から話しかけられないよう、いつもヘッドホン を着用している少年・チェリー。彼は口に出せない気持ちを趣味の俳句に 乗せていた。矯正中の大きな前歯を隠すため、いつもマスクをしている少 女・スマイル。人気動画主の彼女は、“カワイイ”を見つけては動画を配信していた。俳句以外では思ったことをなかなか口に出せないチェリーと、見た目のコンプレックスをどうしても克服できないスマイルが、ショッピングモール で出会い、やがてSNSを通じて少しずつ言葉を交わしていく。ある日ふたりは、バイト先で出会った老人・フジヤマが失くしてしまった想い出のレコード を探しまわる理由にふれる。ふたりはそれを自分たちで見つけようと決意。 フジヤマの願いを叶えるため一緒にレコードを探すうちに、チェリーとスマイルの距離は急速に縮まっていく。 だが、ある出来事をきっかけに、ふたりの想いはすれ違って——。
眩しくキラめいてなんだか甘酸っぱいあの頃が描かれたこの作品は、初恋という名のいわゆる”青春”を思い出すー
とある田舎町のショッピングモールで偶然出逢った 俳句好きの高校生・チェリーとコンプレックスの出っ歯をマスクで隠す・スマイル。
人とコミュニケーションを取るのが苦手なチェリーと”カワイイ”を紹介する動画配信が人気を集めているスマイルという相反する2人が、俳句や音楽で距離を縮めていく姿がみていて微笑ましい。
学生にとってはかなりの一大事となる引っ越し。
今まで観てきた青春アニメでも引っ越しにまつわる悩みや恋愛のもつれは多くあったが、今作においては引っ越し自体への悲壮感はあまり描かれていない。
そのくらいチェリーがあまり人と深く接してこなかったという現れでもあるのだろう。
そんな彼が変わるキッカケとなったのがスマイルであるのも確かだが、気の置けない友人の大切さにも気付いたのではないだろうか。
宣伝ポスターの青空のような瑞々しいストーリーだった。
映画を観てから「サイダーのように言葉が湧き上がる」というタイトルを見ると随分と印象が変わる。
チェリーの俳句には自分がうまく伝えられない想いや言葉が詰まっており、彼の目に映る景色や心の内が美しく表現されていて気持ちが良い。
あまりにもリアルな絵柄のアニメキャラクターが少し苦手なので、この作品の作画はその点でも好みだった。
使用される楽曲も主題歌がnever young beach・劇中歌が大貫妙子というセンスの良さで、さすがはアニメ音楽レーベル「フライングドッグ」設立10周年記念作品だ。
これからの作品にも期待したい。
監督は本作がアニメ映画初監督となるイシグロキョウヘイ。
主人公のチェリーの声を歌舞伎俳優の市川染五郎・ヒロイン役のスマイルの声を女優の杉咲花が務める。
市川染五郎は初映画・初主演での声優初挑戦となるのだが、人と話すのがあまり得意ではない内気な青年チェリーの声にとてもマッチしていたように思う。
これは間違いなく俳優としても声優としてもますます声がかかりそうだ。
彼の歌舞伎役者としての姿も観に行ってみたいと思っているので、今後の彼の動向に注目していきたい。
出演:市川染五郎、杉咲花/潘 めぐみ、花江夏樹、梅原裕一郎、中島愛、諸星すみれ/神谷浩史、坂本真綾/山寺宏一 他
監督・脚本・演出:イシグロキョウヘイ
主題歌:「サイダーのように言葉が湧き上がる」never young beach
配給:松竹
上映時間: 87 分
公式ページ
©2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会