母娘のふたり家族、肉子ちゃんとキクコ。食いしん坊で能天気な肉子ちゃんは、情にあつくて惚れっぽいから、すぐ男にだまされる。小学5年生、多感なお年頃のキクコは、そんな母のことが最近ちょっと恥ずかしい。共通点なし、漁港の船に住む母娘の秘密が明らかになるとき、ふたりに最高の奇跡が訪れる――。
原作は第152回直木賞を受賞した西加奈子の累計発行部数35万部超のベストセラー小説『漁港の肉子ちゃん』。EX「アメトーク!」の<読書芸人>回では、ピースの又吉直樹が本書を紹介し、大きな反響を呼んだ。
この魅力的な物語に惚れ込み、劇場アニメ化を熱望したのは、お笑い界の国民的スター、明石家さんま。2018年に配信されたNETFLIXドラマ『Jimmy~アホみたいなホンマの話~』で、ドラマの企画・プロデュースをおこなっているが、劇場公開されるアニメーション映画をプロデュースするのは今回が初めて。映画化のオファーを、明石家さんま自ら、原作者・西加奈子に打診してから5年、ついに想いを実現させた。
いつも全力、底抜けの明るさでパワフルに生きる肉子ちゃん。そんな肉子ちゃんの口グセは「普通が一番ええのやで!」。と、いいながらちょっと“普通”ではない訳アリ母娘が、精一杯生きる愛おしい姿に、笑って泣けて、そっと勇気をもらう感動のハートフルコメディ。“生きてるだけで丸儲け”の明石家さんまが、劇場アニメ映画で日本中に元気をお届けします!
愛情深い性格ゆえに、これまでの人生、ダメ男ばかりを引き寄せては、何度もだまされてきた母・肉子ちゃん。とんでもなく豪快で、子どもみたいに純粋な母に比べて、しっかりもので大人びた性格の11才の娘・キクコ。ふたりは肉子ちゃんの恋が終わるたびに各地を放浪し、北の漁港の町へと流れ着く。
漁港で途方にくれる母娘の胃を満たしたのは、一軒の焼き肉屋「うをがし」の焼肉だった。妻に先立たれ、店をたたもうとしていた店主・サッサンは、目の前に現れた肉子ちゃんを“肉の神様”だと思い、「決しておなかを壊さないこと」を条件に肉子ちゃんを雇い入れる。こうして、サッサンが所有する漁港の船を住処に、肉子ちゃんとキクコの新しい生活が始まった……!
キクコは地元の小学校に転入する。土地の言葉をきちんと使い、運動神経がよく、まわりの友達から「かわいい」と言われることが多いキクコは、大阪出身でもないのに大阪弁で思ったことをすぐ口に出し、町中でマトリョーシカと噂される母・肉子ちゃんの存在を、最近ちょっと恥ずかしいと思っている。一方、学校での、この年頃特有の女子グループ間のやっかいな派閥争いや、風変わりな少年・二宮との出会いなどを通して、キクコは少しずつ成長し、この漁港の町をどんどん好きになっていく。
肉子ちゃんの次の恋が終わったら、またこの町を出て行かなければならない。
そんな不安がよぎるキクコだったが、ある日、キクコと肉子ちゃんの大きな秘密が明らかになり……
『漁港の肉子ちゃん』というユニークなタイトルで、明石家さんまプロデュースと聞くと子供向けの可愛らしいファンタジーと思いきや、西加奈子原作の小説で思春期以上の大人向けアニメーション。
肉子ちゃんの声を大竹しのぶ、キクコ役にCocomi 、二宮役は花江夏樹が務めている。
ダメ男を引き寄せては何度も騙され、男の借金のため働きボロボロになる“母・肉子ちゃん”の黒歴史が冒頭で紹介され驚く。お人好しで優しく、しかし困難には負けず、明るくひたむきで、食べるのが大好きな肉子ちゃんの逞しさを知る。
肉子ちゃんには全く似ていない、スレンダーな美少女で11歳の娘・キクコとの関係がよく判らないまま話は進むが、キクコの小学校のクラスの圧力や仲間はずれというディープな内容もあり、子供の社会は大人社会の写し鏡のようだ。
やがて同級生の二宮と親しくなることでキクコの心は成長し、母・肉子ちゃんへの思いにも変化が見えてきた頃、母娘の真実が明らかとなる。
美しい港や町の様子が印象的で、焼き肉屋「うをがし」のミスジ肉が美味しそう。ラストはエンドロール後まで観るとクスッと笑える描写がある。『漁港の肉子ちゃん』は家族の愛にまつわる物語である。
画・プロデュース:明石家さんま
声: 大竹しのぶ Cocomi 花江夏樹
中村育二 石井いづみ 山西惇 八十田勇一 下野紘
マツコ・デラックス 吉岡里帆
原作:西加奈子「漁港の肉子ちゃん」(幻冬舎文庫)
監督:渡辺 歩
脚本: 大島里美
音楽:村松崇継
主題歌:稲垣来泉「イメージの詩」
作詞・作曲:吉田拓郎
編曲:武部聡志
サウンドプロデュース:GReeeeN (よしもとミュージック)
エンディングテーマ:GReeeeN「たけてん」(ユニバーサル ミュージック)
アニメーション制作:STUDIO4℃
配給:アスミック・エース
製作:吉本興業株式会社
2021年/日本/95分/5.1ch/カラー/デジタル
公式サイト
©2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会