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「ハロー!プロジェクト」の青春!松坂桃李主演『あの頃。』レビュー

作品紹介

ハロー!プロジェクトにすべてを捧げた男たちの笑いと涙の青春の日々。
センセーショナルな内容が注目を集めた『娼年』(18/三浦大輔監督)、衝撃のバイオレンスで日本中を熱狂させた『孤狼の血』(18/白石和彌監督)、権力とメディアの裏側に切り込み話題を呼んだ『新聞記者』(19/藤井道人監督)――。2009年の役者デビューから、11年経った今も尚、攻めた作品選びで果敢な役柄に次々と挑み続ける俳優・松坂桃李。若手実力派俳優の中でも群を抜いた貫録を放っている松坂が、今回演じるのは「ハロー!プロジェクト」に青春を捧げるアイドルオタク役。同じ趣味を持つ仲間と出会い、遅れてきた青春を謳歌していく。

個性豊かなハロヲタ仲間を演じるのは、映画、ドラマ、舞台と幅広い分野で活躍する仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、そして本作が映画初出演となるお笑いコンビ「ロッチ」のコカドケンタロウ。彼らは、劇中でハロプロメンバーへの熱い想いを語ったり、ハロプロの楽曲をカバーし演奏するなど、強烈なキャラクターたちを熱演している。

メガホンをとるのは、いま映画界から最も熱い視線を集めている今泉力哉。リアルな恋愛模様を映し出し大ヒットを記録した『愛がなんだ』(19)をはじめ、『アイネクライネナハトムジーク』(19)、『mellow』(20)、『his』(20)、コメディードラマ「時効警察はじめました」など、新境地へ精力的に挑んでいる。脚本は、これまで『南瓜とマヨネーズ』(17)などで監督・脚本を手掛けてきた俊英・冨永昌敬。日本映画界を牽引するクリエイターがタッグを組んだ。振り返ってみれば「どうかしていた」としか思えないほどバカバカしくて笑えるのに、ちょっぴり切ない、誰もが経験した「あの頃」の記憶を描く。

ストーリー

中学10 年生の夏休みのような、そんな毎日が永遠に続くような気がしていた――大学院受験に失敗し、彼女なし、お金なし、地獄のようなバンド活動もうまくいかず、どん底の生活を送っていた劔(つるぎ)。ある日、松浦亜弥の「♡桃色片想い♡」のMV を見たことをきっかけに、劔は一気にハロー!プロジェクトのアイドルたちにドハマりし、オタ活にのめり込んでいく。藤本美貴の魅力を熱く語るケチでプライドが高いコズミンをはじめとした個性的なオタク仲間と出会い、学園祭でのハロプロの啓蒙活動やトークイベント、また「恋愛研究会。」というバンドを結成しライブ活動を行うなど、くだらなくも愛おしい青春の日々を謳歌する劔。しかし時は流れ、仲間たちはハロプロのアイドルとおなじくらい大切なものを見つけて次第に離れ離れになり…。

作品レビュー

誰にだってある。毎日が楽しくて刺激的だったあの頃。
バイトが辛くても嫌な事があっても乗り越えられる力をくれる存在。
劔(松坂桃李)にとってはそれがオタ活だった。

のめり込んでいた音楽活動がうまくいかず、彼女もお金も楽しい事も何もない劔。
そんな彼が突然ハマったのはハロー!プロジェクト所属のアイドル、松浦亜弥。
たまたま貰ったDVDを観て衝撃を受けCDショップに駆け込む気持ちは分からないでも無い。
確かに自分にも、1曲聴いた事でその後の人生が変わるようなそんな出会いをしたアーティストがいたからだ。
ジャンルこそ違えど、心臓が震えるような出会いというのはあると思う。
劔はあややにハマった事がきっかけでハロプロのアイドルたちにのめり込んでいくわけだが、大学の友達や後輩は突如としてドルヲタになった彼を一歩引いて見ているのがなんだかリアルだった。

あるきっかけがあり個性的なオタク仲間と一緒に「恋愛研究会。」を結成し、まるで学生時代の部活動のような生き生きとした楽しい日々を送るようになる劔が微笑ましい。
遅れてきた青春とも言える仲間との活動はバカバカしいのに真剣で面白かった。
彼等が推しについて語り合うだけのトークイベントや学園祭でのアイドルの啓蒙活動(その際の男女の温度差がまた笑える)、遂には自分達でバンドを組んでアイドルの曲を熱唱するという突っ走りっぷり。
やるならとことん!そんな男気すら感じた。

映画の中ではプライドが高く性格の悪いコズミン(仲野太賀)が特にフューチャーされているが、他の仲間達のキャラにも惹きつけられる。
いつもどこか冷静なナカウチさん(芹澤興人)は存在感があるし、ロビさん(山中崇)が一言発してくれる事でフラットに笑えたりもした。皆にとってのいじられキャラであるイトウ(コカドケンタロウ)はこういう人グループに1人いるかも?と思わせてくれるし、実はかなり破天荒な西野(若葉竜也)もスパイスを効かせてくれている。

それぞれが大切なものを見つけてアイドルへの愛が落ち着いてしまっても、くだらなくて愛おしいあの日々は消え去る事が無い。
そんなほろ苦さまで感じさせてくれるストーリーだった。

原作は「神聖かまってちゃん」などのバンドや音楽ユニットにかかかわってきた劔樹人の自伝的コミックエッセイ「あの頃。男子かしまし物語」。
今泉力哉監督がメガホンをとり実写化となった。

予告動画

https://youtu.be/dPzKhT03SCs

 

『あの頃。』

監督:今泉力哉
脚本:冨永昌敬
音楽:長谷川白紙
原作:劔樹人「あの頃。 男子かしまし物語」(イースト・プレス刊)
出演:松坂桃李  仲野太賀
山中崇  若葉竜也  芹澤興人 / コカドケンタロウ
大下ヒロト 木口健太 中田青渚 片山友希 / 山﨑夢羽(BEYOOOOONDS)/ 西田尚美
配給:ファントム・フィルム
上映時間: 117分
©2020『あの頃。』製作委員会

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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