2019年ドイツのバイエルン映画祭で最優秀作品賞に輝き、アメリカ、イギリス、フランスなどの映画祭で次々と観客賞を贈られた映画『キーパー ある兵士の奇跡』本作は、第二次世界大戦で捕虜としてイギリスの収容所に送り込まれたナチス兵士のバート・トラウトマンが、終戦後にイギリスとドイツを結ぶ平和の架け橋となり、やがて国民的ヒーローとして敬愛されたという驚くべき実話から生まれた物語。なぜ、そんな奇跡を成し遂げられたのか? そこには、これが真実だとはとても信じられないほどのドラマティックかつ波乱万丈の人生があった。
トラウトマンには『愛を読むひと』のデヴィッド・クロス、彼の妻のマーガレットには『サンシャイン/歌声が響く街』のフレイア・メーバー、脇を固めるキャストには『天使の分け前』のジョン・ヘンショウ、『ハリー・ポッター』シリーズのハリー・メリング、『リトル・ダンサー』のゲイリー・ルイスと、英国屈指の実力派俳優が揃った。監督は、ドイツ国内で数々の賞を受賞してきたマルクス・H・ローゼンミュラー。敵とみなしていた相手を人として愛し始め、やがて固い絆で結ばれていく2人の姿に誰もが心を深く揺さぶられるだろう。いくつもの逆境に立たされながらも、唯一自分にできる素晴らしいプレーを貫くことで、人々に勇気を与え続けたトラウトマン。どんな悲しみも憎しみも、自らが選んだ生き方で愛に変えることができると教えてくれる感動の実話がこの秋、いよいよ日本で公開される。
1945年、ナチスの兵士だったトラウトマンはイギリスの捕虜となる。収容所でサッカーをしていた時、地元チームの監督の目に留まり、ゴールキーパーとしてスカウトされ、名門サッカークラブ「マンチェスター・シティFC」に入団。ユダヤ人が多く住む街で、想像を絶する誹謗中傷を浴びながらも、トラウトマンはゴールを守り抜いた。やがて彼の活躍によって、世界で最も歴史ある大会でチームを優勝へ導き、トラウトマンは国民的英雄となる。だが、彼は誰にも打ち明けられない“秘密の過去”を抱えていた。そしてその秘密が、思わぬ運命を引き寄せてしまう…。
物語の舞台は第二次世界大戦後のイギリス。
第二次世界大戦前後の実話をもとにした映画は数多くあるがこの作品もその内の1つ。
元ナチス兵でありながら、敵国のイギリスで国民的英雄になった実在のサッカー選手バート・トラウトマンの半生が描かれている。
終戦当時、捕虜となった敵国でまわりからどのように扱われるのかは想像に難くない。それが全世界から恐れられたナチス兵相手にとなれば尚更だろう。
精神的にも肉体的にも追い詰められ、わずかに残る誇りすらも奪われ自死していった仲間もいる。
それも事実なのだろう。
彼の持つ大きな秘密は、それぞれ具体的な内容こそ違えど戦争を経験し前線で戦っていた人ならば皆が抱える事となったトラウマなのではないだろうか。
ただ、この作品は悲壮感だけに支配されておらず度重なる逆境も自分の手で変える事が出来るという光ある未来を教えてくれている。
トラウトマンを演じたのは「愛を読むひと」などに出演しているドイツ人俳優デビッド・クロス。
哀しみを抱えたトラウトマンがマーガレットと出会い、その表情が優しさと幸せで満たされていくのが演技とは思えぬほどだった。
イギリス映画らしい皮肉が入り交じる会話劇も微笑ましく、劇中で目に耳にする音楽も美しい。
トラウトマンと、妻 マーガレット。彼等が家族3人で過ごす日々が愛おしい。
トラウトマンの人柄やサッカーでの実力も申し分なく、だからこそ彼は人種をこえて多くの人々に感動を与えてくれたのだろう。
自分はサッカーに詳しくないのでこの映画を観るまで彼の名前を知らなかったのだが、例え知らなくても彼の功績は十分に伝わってきた。
出演:デヴィッド・クロス『愛を読むひと』、フレイア・メーバー『サンシャイン/歌声が響く街』、ジョン・ヘンショウ『天使の分け前』、デイヴ・ジョーンズ『わたしは、ダニエル・ブレイク』
英題:The Keeper(2018年/イギリス・ドイツ/英語・ドイツ語/119分/スコープ/カラー/5.1ch)
配給:松竹
宣伝:ロングライド