小栗旬 × 星野源
日本中を震撼させた未解決事件。
脅迫テープに使われたのは、幼き頃の自分の“声”だった―
小栗旬×星野源。人気と実力を併せ持つ今の日本エンタメ界を牽引する2人が映画初共演となるこの秋最大の注目作『罪の声』。原作は、2016年の「週刊文春」ミステリーベスト10で第1位を獲得するなど高い評価を得た塩田武士のベストセラー小説。フィクションでありながら、日本中を巻き込み震撼させ、未解決のまま時効となった大事件をモチーフに、綿密な取材と着想が織り混ぜられ、事件の真相と犯人像に迫るストーリーが“本当にそうだったのではないか”と思わせるリアリティに溢れ、大きな話題を呼んだ。
事件に翻弄されながらも、その奥に眠る真実に向かって力強く進む2人の男。主人公の新聞記者、阿久津英士を演じるのは、ハリウッドにも進出し今や日本を代表する俳優となった小栗旬。35年以上前に起き、既に時効となっている犯罪史上類を見ない劇場型犯罪の真相と謎の犯人グループを追う記者を、その圧倒的な存在感で演じる。そして、もう一人の主人公・曽根俊也には、俳優・音楽家・文筆家など様々なフィールドで活躍する星野源。父から受け継いだテーラーを営み、家族と共に平凡な毎日を過ごす中で、偶然にも幼少時の自分が知らないうちにこの日本中を震撼させた未解決の大事件に関わっていたことを知ってしまう男を繊細に演じる。
監督は、『いま、会いにゆきます』『涙そうそう』『麒麟の翼』『ビリギャル』など映画ファンからも評価の高い数々の大ヒット作を手掛けてきた土井裕泰。
脚本は、「逃げるは恥だが役に立つ」「重版出来!」などで土井監督とタッグを組み、「アンナチュラル」や「MIU404」も手掛ける野木亜紀子が担当。
さらに、主題歌を担当するのは、ドラマ「テセウスの船」でも大きな話題を呼び、その独特の歌声と音楽性で多くのファンを魅了するUru。本作のために書き下ろした儚くも力強い楽曲「振り子」が、作品世界を優しく包む。
35年の時を経て蘇る哀しき宿命―
観るもの全ての心を突き刺す
感動のヒューマンミステリー大作が誕生する。
翻弄される運命。救うべきもの。本当の“罪”とは―
いま明かされる、日本中を震撼させた未解決事件の真相!
35年前、日本中を巻き込み震撼させた驚愕の大事件。
食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件は、誘拐や身代金要求、そして毒物混入など数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に、警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた挙句に忽然と姿を消した謎の犯人グループによる、日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪-。
大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は、既に時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、取材を重ねる毎日を過ごしていた。
一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源)は、家族3人で幸せに暮らしていたが、ある日、父の遺品の中に古いカセットテープを見つける。
「俺の声だ―」
それは、あの日本中を震撼させた未解決事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫テープと全く同じ声だった!
やがて運命に導かれるように2人は出会い、ある大きな決断へと向かう。
事件の深淵に潜む真実を追う新聞記者の阿久津と、脅迫テープに声を使用され、知らないうちに事件に関わってしまった俊也を含む3人の子供たち。
「正義」とは何か?「罪」とは何か?
昭和・平成が幕を閉じ新時代が始まろうとしている今、35年の時を経て、それぞれの人生が激しく交錯し、衝撃の真相が明らかになる―
グリコ森永事件の犯人像と犯行理由を推測した小説が原作で、興味深いストーリーに引き込まれる。約35年前のグリコ森永事件(劇中ではギン萬事件とされている)と、他食品会社も巻き込んだ大掛かりな誘拐・脅迫事件。
当時、思春期だった私は連日のように報道されていたこの事件を絵空事のように感じていた。スーパーから消えたグリコ森永のお菓子の陳列棚は空となり、社員たちは必死で在庫を手販売していた。犯罪への大企業の無力さに違和感を感じた。
かい人21面相や、キツネ目の男は謎のまま、誰一人死亡することも無く幕を引いたこの事件。グリコ森永事件の真相は時効になったことで闇に葬られてしまったが、本作を観て事件の真相はそうだったのではないか?と思わせる、リアルな物語となっている。
35年前の事件を洗い出すだけではなく、事件に関わった3人の子どもたちの録音された『罪の声』に焦点を当てていることは斬新で説得力がある。
食品企業に対して何かしらの利益を目的とした脅迫事件で、本人の意思に関係無く声を使われた罪を背負って生きた子供たちの、35年の人生には何があったのか?劇中で子供たちの未来を奪った罪と悲しみが露わとなり目頭が熱くなる。
当時5歳だった曽根俊也(星野源)は、事件の35年後に自分の声が、ギン萬事件に使われていたことを知る。父親の遺品から録音のテープ見つけたのだ。何故、自分の声が使われていたのか、事件を独自に調査する。
大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬)は事件を再度取り上げるため、当時の資料を元に、加害者と関わりがあった人物たちに聞き込みで取材をする。何かしらの忖度や圧力があり、警察に情報提供できなかった人々の証言が35年ぶりに取れ、少しずつ真相が紐解かれていく。
犯罪行為と知っていながら、組織や長いものに巻かれ、部分的に真実を知りながらも口を噤んでしまった者たちに怒りを感じた。おかしいなと思うことに異論を唱え、後世のことを考えるべき勇気ある人が周囲にいたら、この事件は解決しただろう。
やがて曽根と阿久津、出会うはずのない2人が出会うことで、事件の真相に近づいていく。
人気脚本家・野木亜紀子が手掛けたストーリーだけに、胸が熱くなる台詞が多い。142分の上映と邦画にしては少々長めだが、展開がスピーディーで飽きさせない。加害者と声を使われた家族の闇が明るみとなり、長年の胸のつかえが取れたようで、観てよかったと思う満足感ある作品だ。
出演: 小栗旬、星野源、松重豊、古舘寛治、宇野祥平、篠原ゆき子、原菜乃華、阿部亮平、尾上寛之、川口覚、阿部純子、市川実日子、火野正平、宇崎竜童、梶芽衣子
原作:塩田武士『罪の声』(講談社文庫)
監督:土井裕泰 『いま、会いにゆきます』『涙そうそう』『ハナミズキ』『麒麟の翼』『ビリギャル』
脚本:野木亜紀子 『図書館戦争』シリーズ、ドラマ「逃げ恥」「重版出来」「アンナチュラル」「MIU404」
上映時間:142分
©2020 映画「罪の声」製作委員会