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矢口史靖監督 ミュージカル・コメディ『ダンスウィズミー』作品レビュー

作品紹介

『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『ハッピーフライト』の矢口史靖監督最新作は、従来のミュージカル映画に一石を投じる『ダンスウィズミー』。構想16年、「突然歌って踊り出すのおかしくない?」をテーマに、奇想天外で全く新しい笑えるミュージカルを作り出した。妻夫木聡、上野樹里、綾瀬はるか等をスターダムに押し上げてきた矢口監督が、本作で500人のオーディションからヒロイン・静香に選んだのは、今最も輝く若手女優/モデルの三吉彩花。


ミュージカル苦手女子・静香の前に現れ物語の“重要なカギ”を握るのは、こズルい調査員の渡辺(ムロツヨシ)、お金とイケメンに弱いフリーターの千絵(やしろ優)、ワケありストリートミュージシャンの洋子(chay)、嘘くさい先輩エリート社員の村上(三浦貴大)、インチキ催眠術師のマーチン上田(宝田明)といったワケありのクセものたち。本格トレーニングを受けたキャストが自ら演じるミュージカルシーンに加え、ジワる笑いの連続でみんなをハッピーにする、予測不能なコメディミュージカルが誕生した!

ストーリー

子供の頃からミュージカルが苦手な静香は、ある日突然、音楽が聞こえるとミュージカルスターのように歌い踊り出すカラダになってしまった!スマホ音や街中に溢れる音楽に反応して所かまわず歌い踊るせいで、彼女の日常はハチャメチャに。調査員の渡辺に依頼し、原因を探すため日本中を奔走するが…。そこには、裏がありそうなクセものたちとの出会いと予測不能の展開が待っていた!果たして静香は無事に元のカラダに戻れるのか!?

作品レビュー

ミュージカルが苦手な方でも楽しめるミュージカルを!というコンセプトで製作された本作。ミュージカル映画は『何故突然歌って踊り出すの?おかしいでしょ?』という疑問が、いつも頭の片隅にあったという矢口史靖監督。

私も実はミュージカルが苦手な一人である。『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』は確かに素晴らしい映画だ。だが何故キャストが突然歌って踊り出すのか?いきなり歌い踊らずとも、物語は成立するはずではないか?

監督は、ある日その疑問に対する答えを見つけることができた。それがまさしく”催眠術”なのだ。歌手でもダンサーでもない、ごく普通のOLが、音楽がかかるとミュージカルをしでかす催眠術にかかった物語を作り上げることで、突然歌って踊り出す謎は必然となってしまう。

そんなミュージカル嫌いな方も楽しめる『ダンスウィズミー』は、催眠術で音楽を聴くと突然歌って踊ってしまうヒロイン静香が、フリーターの千絵と共に催眠術師マーチンを探して北へ旅に出るミュージカル・ロードムービー。なんと函館もロケ地のひとつである。

また彼女たちが行く先々で様々なハプニングがあり、困難も何故か歌とダンスで大胆に乗り切っていく。美しく華やかなモデルの三吉彩花が演じるヒロインだけに、恋愛ありきのミュージカルかと思いきや、恋愛を匂わせたのは冒頭のみ。

フリーター・千絵役のやしろ優が、催眠術で生のタマネギを美味しいと演じるシーンでは、本物の催眠術師・十文字幻斎が『タマネギがリンゴのように甘く感じる』という催眠術をやしろにかけて撮影をし、催眠術のリアル感を演技に取り入れた。

怪しい催眠術師マーチン役の宝田明は、日本を代表するミュージカル俳優。スクリーンで歌って踊るのは実に55年ぶりだという。またムロツヨシや三浦貴大、chayと個性あふれるキャストが物語を盛り上げる。

ミュージカル苦手女子・静香が突然踊って歌い出すところは、イタくて逆に気持ちがいい。公共の場所でいきなり踊り出し、それを唖然として見る周りの人たちのギャップが堪らない。私のお気に入りは結婚披露宴でまさかの名曲、シュガー『ウェディングベル』を歌うシーンで大笑い。


曲は40歳代以上の人なら聞き覚えのある楽しい曲が流れ、ヒップホップやジャズダンスなど多彩なジャンルを華麗に踊る静香とバックダンサーたち。
各地で勝手にミュージカルをやらかす静香を見て、お腹をかかえて笑ってしまった。

催眠術によって静香が忘れていた自分を見つける、価値ある自分探しも含まれ、矢口史靖監督の構想16年が実現した。お盆休みになにか劇場で映画を観たいなと思う方には、絶対オススメ。ハッピーなコメデイ・ミュージカルというだけあって、幸せな気持ちにさせてくれるだろう。
予告動画

『ダンスウィズミー』8月16日 札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌 他で公開

原作・脚本・監督:矢口史靖(『ウォーターボーイズ』『ハッピーフライト』)
出演:三吉彩花 やしろ優 chay 三浦貴大・ムロツヨシ 宝田明
上映時間 : 103分

公式サイト
配給 : ワーナー・ブラザース映画

©2019「ダンスウィズミー」製作委員会

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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