失った記憶、それでも大切な今がある。
島で一二を争う凄腕の漁師の主人公・池田徹(TAKAHIRO)が、とある事故をきっかけに記憶を失い、島の人々の優しさに触れるうちに、新しい自分を見つけ出す家族の絆と再生を描く感動の物語。
ある事故をきっかけにして、記憶を失った男、徹。その後の日々を優しく見守る、母と島の人々。本島から島へ来る留学生たちとの触れ合いの中で、徹の記憶は蘇るのか?島の愛は、人の心を救えるのだろうか?
その裏側には家族の、温かくも切ない秘密があった。漁に出られなくなった元漁師は島で懸命に今を生きようとするも、「ありがとう」を言いたい人も忘れ、心だけが前に進まない。そんな男を、島の人々の優しさが包み込む。雄大な自然に囲まれた島で、男は“自分自身”を見つけることができるのか?事故の真相を知った時、男は……。
ある事故をきっかけにして多くの記憶を失った元漁師、徹。
EXILEのTAKAHIROが、徹役で単独初主演を務める。
今作は隠岐の島での撮影。
この映画が伝えるものは廃れた漁村のそれではなく、島の景色も観ている人を穏やかな気持ちにさせる美しさが目立つものばかりだ。
島へ来た留学生たちとの触れ合いは、徹を変え、留学生自身をも変える。
映画全体の雰囲気としては明るい部分は少ないが、本島から島へ来る留学生たちが島の自然や人々の優しさに触れ素直になっていく描写からは明るさを感じられた。
記憶を無くした徹がその後をどう生き、周りの人達が彼をどのように支えたのかがクローズアップされている。
途中で知るのだが、徹が記憶を失ってからの年数は想像を遥かにこえていた。
いつ戻るか そして戻らないかもしれない記憶とどう向き合うかという途方も無い生活。
徹自身も辛いだろうが、そんな彼を見守り続けると決めた島の人達も同様だろう。
慌ただしい都会では成し得ないと思う。
これが独特の島文化なのか映画だからなのかはわからないが、私自身は家族以外にここまで協力出来るような人には出会った事がない。
それにしても、TAKAHIROは今まで演じてきた役柄とは大きく違う徹という人物に苦戦したのではないだろうか。
今後の作品では今回得た事が役者としてプラスになるだろう。
彼の涙に、新境地を見る事が出来た。
そして、徹を献身的に支える母を演じた松坂慶子の存在感も大きかった。
思い出したくても思い出せない大切な事。
そもそも何が大切なのかもわからないというのは相当な苦労だろう。
それでもまた、今日が終わり明日がやってくる。
記憶は無くしていなくても、自分の大切な人が何かしらの理由で虚無感におそわれているようであれば 急がずゆっくりと見守ってあげられる心の余裕を持ちたいと思う。
監督 : 錦織良成
エグゼクティヴ・プロデューサー: EXILE HIRO
脚本: 錦織良成、秋山真太郎
出演 :TAKAHIRO、山口まゆ、柴田杏花、板垣瑞生、浦上晟周、小野花梨、秋山真太郎、黒川芽以、小市慢太郎、松坂慶子
配給:LDH PICTURES
2019/日本/カラー/5.1ch/ シネマスコープ/96 分
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