宮川サトシの大人気エッセイ漫画を『さよなら渓谷』『日日是好日』などで高い評価を得ている大森立嗣監督が映画化。
主演には『愛しのアイリーン』「下町ロケット」などの話題作で、硬派な役から個性的な役まで幅広く演じる安田顕。
母・明子には、黒澤明・今村昌平など数多くの名監督とタッグを組んできた倍賞美津子。サトシを支える恋人・真里にNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」「まんぷく」の松下奈緒、父と兄には、石橋蓮司、村上淳と日本映画界を代表する実力派俳優が集結!
音楽は「あまちゃん」の大友良英が担当、主題歌「君の歌はワルツ」はBEGINが本作のために書き下ろし、作品を暖かく包み込みます。
頼りないが優しい息子・サトシと明るくてパワフルな母・明子。平凡でユーモラスな宮川一家の日常は、母が突然ガンを宣告されたことによって変化していく。
サトシは恋人の真里に励まされながら母のために奔走し、家族は戸惑いながらも支えていく。そして・・・母と別れて1年後、やっと家族それぞれが新たな人生へのスタートをきった頃、サトシの元に突然、母からプレゼントが届く。
それは想像をはるかに超えた特別な贈り物だった-。
最近のライトノベルタイトルを彷彿させるギョッとするタイトルだ。
だが途中で既に「うん、これは食べても仕方ない」と納得してしまう。
それくらい母と息子の愛は強くて深い。
私自身に男兄弟や息子はいないが、母親というのは娘より息子により献身的で執着心が強く特別な感情を抱きやすいように思う。
良くも悪くも俗にいうマザコンを世に産み育てているのは他ならない母親だと思う。
この映画で母親演じる倍賞美津子は毎晩塾の仕事で帰りの遅い息子を寝ずに待っているのだが女の私としては正直引いた。
中高生ならまだしも大の大人となっている息子(娘ならまだしも)の帰りは待たんでもよかろうにと思ってしまう。
しかも信号も少なそうな田舎道を車で帰る息子を。
そんな溺愛され育ったマザコン男を演じるのは幅広い役柄ですっかり演技派俳優となった安田顕。洗練とは程遠い地味でちょっと頼りないサトシを違和感なく演じている。
その嫁役には現在の朝ドラでも活躍中の松下奈緒。常識的な面倒見の良い素晴らしい嫁だ。
結婚前からサトシの母親を積極的に見舞い世話をしている。
そう、本作では女性の強さと男性の弱さを浮き彫りにしているのだ。
最も印象的なシーンは母親が死んで憔悴しきっていた父と息子2人が海に飛び込むシーン。それぞれの死んだ母に対する想いがエモーショナルに爆発する。
原作にはない映画オリジナルシーンだが、男って単純でバカだなーと呆れさせつつほっこりしてしまう。
原作者が漫画家ということもあってか途中途中で不思議なショットやユーモアが織り交ぜられているが、果たして笑っていいものか判断しかねた。
ラストは母親の強い愛に魂を揺さぶられている息子にグッとくるだろう。
そして自分の母親には父親より1日でも長く生きて欲しいと更に切に願わずにはいられない。
監督:大森立嗣
原作:宮川サトシ
出演:安田顕、倍賞美津子、松下奈緒、村上淳、石橋蓮司
主題歌: BEGIN 『君の歌はワルツ』
上映時間: 108分
©宮川サトシ/新潮社
©2019「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。」製作委員会
配給:アスミック・エース