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密室サスペンス「十二人の死にたい子どもたち」あらすじ・感想

 

作品紹介

見知らぬ十二人の未成年たちが〈集団安楽死〉を求める。
極めてショッキングな題材の『十二人の死にたい子どもたち』は、「天地明察」「マルドゥック・スクランブル」の冲方丁が初めて手がけた現代を舞台にした長編サスペンスにして、第156回直木賞候補にもなった傑作小説だ。  

 時系列や舞台となる廃病院の構造を利用し、かつ、個性的な登場人物それぞれの背景などが緻密に組み上げられた物語は映像化困難であると作家自身も思われていたが、『トリック』『SPEC』『イニシエーション・ラブ』『人魚の眠る家』の堤幸彦がその高い山に挑み、予想の斜め上を超える心理戦のスリルを、計算に計算を重ねた隙のない演出と、定評のある映像美によってまとめあげ、原作者からも絶賛される仕上がりとなった。

とりわけカメラ5台で最長40分の長回しによる、十二人全員の緊張感が漲る真相に踏み込んでいく場面は、その生々しさに息を呑む。

真相を知った後でもう一度観ると、俳優たちが各々、微妙な表情をしているところを楽しめる趣向もあり、何度も観たく なるだろう。  

十二人が各々廃病院に集まって来るところ、死の恐怖に怯えながら真相を求めてうろつくところは、観客もいっしょにさまよい歩くような臨場感がある。

騙し騙され、ドンデン返しの先にある、さらなるサプライズが。  先の読めないノンストップ未体験・密室サスペンスゲームが始まる!

ストーリー

未体験リアルタイム型・密室ゲームがスタート!

ミッション:集団安楽死 / 場 所:廃病院 / 参加者:12人の未成年 / 謎:13人目の死体 死にたいけど、殺されるのはイヤ。

その日、12人の未成年たちが、安楽死を求め廃病院の密室に集まった。 「みんなで死ねば、怖くないから」ところが、彼らはそこで13人目のまだ生あたたかい死体に遭遇。 突然の出来事にはばまれる彼らの安楽死。あちこちに残る不自然な犯行の痕跡、次々起こる奇妙な出来事。 彼らだけしか知らない計画のはず。

まさかこの12人の中に殺人鬼が……? 死体の謎と犯人をめぐり、疑心暗鬼の中ウソとダマしあいが交錯し、12人の死にたい理由が生々しくえぐられいく。 全員、ヤバい。気が抜けない。 

いつ誰が殺人鬼と変身するのか!?パニックは最高潮に。

彼らは安心して“死ねるのか”怯えながら“殺されるのか” 監督 堤幸彦(「SPEC」「イニシエーション・ラブ」)が仕掛ける、出口無しのノンストップ未体験・密室サスペンスゲームの幕が上がる。

試写の感想

堤幸彦監督が仕掛ける密室サスペンス、『十二人の死にたい子どもたち』

冲方丁原作で直木賞候補ともなった今作に、「大逆転ムービーをやりたい」という監督とプロデューサーが出会い映画化が実現。
杉咲花・新田真剣佑・北村匠海・高杉真宙・黒島結菜・橋本環奈などの豪華若手俳優が勢揃いとなった。
この世代の人気&注目俳優が一堂に会するというだけでもインパクト大だ。

総勢12人のはずが13人いるという不測の事態。
本来いるはずのない人は誰なのか。
殺人鬼が紛れ込んでいるのかを解明するのは誰なのか。
この密室サスペンスの謎を解くには一言一言が聞き逃せなく、ましてやひと時も目が離せない。

恐怖映画では無いので、怖い映画が苦手な人でも大丈夫。
ミステリーやサスペンスが好きで見慣れている大人には心理戦が物足りなく感じるかもしれないが、この作品が伝えたいのはそこの部分よりも命についてなのではないだろうか。
12人、全員が抱えているのはそれぞれの事情と死にたいという強い思い。
現実でも起こり得る、もしくはもう既に似たような出来事は起こっている。

悩みの大きさはその人自身が決める事。
いじめやパワハラやセクハラも同様で、本人が自身の置かれている状況をどう捉えているかという事だとも言える。
自分はそう思わなくても、相手は苦痛に感じているかもしれない。
そう考えると心に傷を負った人は多いように思う。
世の中には悩みは抱え込まずに相談しようというメッセージも多く見られるが、果たして皆が皆 人に悩みを話せるのだろうか。
私はそこが疑問で、人から悩みを聞く事はあるが自分自身は相談出来るタイプではない。
正直、死にたいと思った事も無いので特に何事も無い日々を過ごしてきたのかもしれないし家族や友人や気の置けない仲間に話さずとも救われてきたのだろう。

原作者や監督が伝えたいメッセージはこの映画を最後まで観ていると十分伝わって来る。
映画や音楽や本に力を貰ったり、同じような苦しみを持つ人もいるという事に気付かされたりもするだろう。
悶々と過ごすだけでなく、そういった物たちに力を貰うのも良いと思う。
死にたいと思う程の苦しい日々から逃れられる何かが見つかる事を願うばかりだ。

予告動画

『十二人の死にたい子どもたち』 

キャスト: 杉咲花 新田真剣佑
北村匠海 高杉真宙 黒島結菜
秋川莉胡  吉川愛 萩原利久
渕野右登 坂東龍汰 古川琴音
竹内愛紗  

監督:堤 幸彦 
原作:冲方 丁「十二人の死にたい子どもたち」(文春文庫刊)
脚本:倉持 裕  
音楽:小林うてな 主題歌:The Royal Concept「On Our Way」(ユニバーサル ミュージック)   
配給:ワーナー・ブラザース
上映時間:1時間58分
指定:G
公式サイト
#しにたい12 

© 2019「十二人の死にたい子どもたち」製作委員会 

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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