PLトラヴァースの小説「メアリー・ポピンズ」を基に1964年に公開され、アカデミー賞13部門ノミネート&5部門受賞した映画『メリー・ポピンズ』。ウォルト・ディズニーがそのヒロイン像に惚れ込み、最も映像化を望んだと言われ、実写とアニメーションが織り交ぜられた革新的な映像と印象的な音楽やダンスで観る者の心を掴み、今もなお世界中で愛され続けている名作が55年ぶりにスクリーンに蘇る。
舞台はロンドン─ミステリアスで美しい魔法使いのメリー・ポピンズが、母を亡くし、ピンチに陥った家族のために突然空から舞い降りた。ちょっと“上から目線”でエレガントな彼女の魔法によって、家族が再び希望を取り戻し、更なる困難に立ち向かって行く様子を描く。
大恐慌を迎え暗く厳しい時代のロンドン。バンクス家の長男でありかつて少年だったマイケル・バンクス(ベン・ウィショー)は、今では自らの家族を持つ親となっていた。
かつて父や祖父が働いていたフィデリティ銀行で臨時の仕事に就き、3人の子どもたち、アナベル(ピクシー・デイヴィーズ)、ジョン(ナサナエル・サレー)、ジョージー(ジョエル・ドーソン)と共に、桜通り17番地に暮らしていたが、ロンドンは大暴落の只中で金銭的な余裕はなく、更にマイケルは妻を亡くしたばかりだった。
子どもたちは「自分たちがしっかりしなくては」と躍起になるが上手くいかず、家の中は常に荒れ放題。さらに追い打ちをかけるように、融資の返済期限切れで家を失う大ピンチ!
そんなとき、魔法使いメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)が風に乗って彼らのもとに舞い降りた。20年前と同様にバンクス家の子どもたちの世話をしに来たと言う彼女は、一風変わった方法でバンクス家の子どもたちの “しつけ”を開始。バスタブの底を抜けて海底探検をしたり、絵画の世界に飛び込み、華麗なるミュージカル・ショーを繰り広げる。そんな彼女に子供達は少しずつ心を開き始めるが、実は彼女の本当の魔法は、まだまだ始まったばかりだった…。
子供の頃に小説でメリー・ポピンズを読んだことがある。
親とも学校の先生とも違う別の大人が身近にいるという違和感を抱いたのを覚えている。
日本でメリー・ポピンズのような存在は現代においても聞いたことがない。
住み込みのお手伝いさんですら皆無だ。
だからこそ余計に憧れがある。こんな素敵な大人の女性が側で寄り添ってくれたらどんなに素晴らしいだろう、と。
メリー・ポピンズは困難な時にちょっとしたヒントを与えてくれ、新しいモノの見方へ導いてくれる。更には素敵な魔法で夢を与えてくれる。
本作では実写とアニメーションが織り交ぜられた革新的な映像のみならず、大恐慌時代のロンドンの街並みを忠実に再現された大々的なセットも見所のひとつ。
音楽とダンスがそれらに彩りを添え、完璧なエンターテイメントとなっている。
「リターンズ」とあるが、メリー・ポピンズ を知らなくとも全く問題ない。
その主役を演じるのはエミリー・ブラント。
エレガントで気高いメリー・ポピンズを好演している。
注目して欲しいのは街灯点灯夫(実在した職業なのか!?)を演じるリン=マニュエル・ミランダだ。最初から最後まで出ずっぱりでかなり重要な役である。
彼の存在こそが本作のカギを握っており、その役目は充分果たされている。
作詞家や作曲家に劇作家という肩書きもあり、沢山の楽曲を世に送り出しているようだが、歌やダンスも素晴らしく多才であることが証明されている。
特に街灯点灯夫の仲間たちとメリー・ポピンズ のダンスは最も盛り上がるシーンとして心踊る演出がされているので楽しい。
私は本作で彼の存在を認知したがこれからの活躍に是非とも注目していきたいと思う。
3人の子供たちもとても愛らしく癒されるが、着ている服がどれもとにかく可愛い。
自然とジョージ王子やシャーロット王女を彷彿させられる。
子供だけでなく、大人になった者たちには忘れていた子供の心を思い出させてくれるメリー・ポピンズ 。
是非とも家族で楽しんでもらいたい映画である。
監督:ロブ・マーシャル
キャスト:エミリー・ブラント、リン=マニュエル・ミランダ、ベン・ウィショー、コリン・ファース、メリル・ストリープ 他
上映時間: 131分
公式サイト
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2018 Disney Enterprises Inc.