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太賀、吉田羊 登壇【母さんがどんなに僕を嫌いでも】初日舞台挨拶 2018年11月16日 札幌シネマフロンティア

 

壮絶な過去がありながら、人と寄り添い合う事の大切さに気付くまでのストーリー。
母の愛を諦めなかった 歌川たいじさんの実話をもとにした作品「母さんがどんなに僕を嫌いでも」の初日舞台挨拶が2018年11月16日に札幌シネマフロンティアで行われた。

主人公・タイジを演じた大賀さん、息子を拒絶し虐待してしまう母・光子役の吉田羊さん(以下:吉)による豪華な舞台挨拶。

自身として初となる北海道での舞台挨拶という大賀さん(以下:大)は9月に同様の機会がありつつも地震の影響で断念したという経緯もあり、自分達の手でこの映画を届けられるという事に一層強い想いがあったように感じられた。

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司会:今回のテーマはかなり重いテーマだとは思うのですが、演じられてて大変だった事を教えて頂けますか。

大:どれも大変な事ばかりでしたし、歌川さんの人生を演じるというのは生半可な気持ちでは出来ないなと思ってました。
自分自身が演技としてリアリティを持ってどうやって表現していくのか。
喜びも哀しみも取りこぼす事なく誠実に体現出来れば。そんな思いでやりました。

吉:今回実在の人物を演じるわけですが、監督に「この映画はドキュメンタリー映画ではありません。母と息子のラブストーリーで、ある種のファンタジーです。」と仰って頂きましたので、”光子さんを再現する”という事から一旦離れさせて頂きました。


彼女が何故 虐待をしなければならなかったのかというのが1番考えるべき所だったのですが、虐待をする人としない人の境界線というのは非常に危ういものだなと感じました。


今回の光子さんの場合その一線を越えさせたものというのは孤独や孤立、又は未成熟さ。そういうものが理由だったように思います。
ただ、それらを言い訳にして虐待を肯定すべきでは無いという風に思いました。


彼女の未熟さを未熟なまま演じきる事で、逆説的に息子であるタイジがそんな未熟な母親でも愛を求めずにはいられないんだという事が強く伝わればいいなと。覚悟を持って演じさせて頂きました。

司会:監督から「こんな風に演じて欲しい」という部分はありましたか?

大:監督は常々「今生きている日常の世界から10センチ浮いた世界観で演じて欲しい」と。
普段リアリティを大事にしながらお芝居をする事が多かったので、10センチというものを考える作業がありました。
哀しい物語かもしれないですが、その哀しみを乗り越える勇気や希望もある。その乗り越える力というものを表現するのに必要だったのが10センチなのではないか。
それは監督とのディスカッションの中で生まれていったように思います。

吉:監督は「光子さんは少女のようにデコボコで不安定なまま演じて下さい」と言って下さって、虐待を肯定する事は出来ないですがそれでも光子さんには虐待に至る何かがあってそれを演じる時に彼女の”少女性”や”魅力さ”みたいなものがきっと助けになるという風に思いました。
本編を観て頂いて皆さまそれぞれに、光子さんの想いを想像して頂けたら嬉しいです。

司会:脇を固める役者の皆さんの演技の中で心に残る言葉を残してくれますけれど、お2人にとって今まで人生の中で心に残る言葉を聞かせて頂いても宜しいでしょうか。

大:映画同様、僕のおばあちゃんから言われた言葉なんですけど。
割と破天荒で普段も真面目な事を言わないしどちらかと言うと「おばあちゃん、しっかりしてくれよ」と僕が言うくらいの関係性なんですけど、(役者を始めていた)僕に対して「やりたい事が出来たのだったらそれを続けなさい、とにかく続けなさい。続けた先には何かがあるから」と言ってくれて。それがすごく心に残っています。

吉:沢山ありますけど、10年前にある友人に当時の不遇を嘆いていた時に「お前には感謝が足りひんのや」と言われて。日々感謝しているつもりだったけれど、それは本当に”つもり”だったのかもしれないなと思って。
その時友人から提案された”1日に起きた感謝すべき出来事を書き出し可視化して、今日1日は良い日だったんだと思い直して眠る”という事を毎日続けています。
私にとってその作業というのは必要な事だと思いますし、必要なタイミングでその様な言葉をかけてくれる友人が与えられたのだなと思っています。

 

司会:最後にメッセージを一言ずつお願いします。

大:この映画は人と人とが寄り添い合う事の重要性を描いている作品です。
この映画を観て下さる人に寄り添うような映画であってくれたらいいなと思いながら作りました。
渾身作でもあるので、どうか楽しんで頂けたらと思います。

吉:この映画は虐待撲滅映画ではありません。
人生には人との出会い、そして自分の考え方次第でいくらでも人生をポジティブに変換していけるという前向きなメッセージが込められています。

希望のある映画ですので、それを感じて頂けると幸いです。

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敢えて、必要以上のコミュニケーションは取らなかったという2人。
意識をして距離を取っていた事で生まれたある種の緊張感がこの作品に於いては非常に重要だったように思う。
悲しみが溢れ暗い部分もある映画だが、前向きに生きられるきっかけになる仲間との出会いや母への想いの強さも描かれている。
ゴスペラーズの主題歌「Seven Seas Journey」も、観た人の心を優しく染み込む。
多くの人に観て欲しい作品だ。

『母さんがどんなに僕を嫌いでも』11月16日(金)より札幌シネマフロンティア、イオンシネマにて公開

息子と母の実話を映画化「母さんがどんなに僕を嫌いでも」あらすじ・感想

出演: 太賀、吉田 羊、森崎ウィン、白石隼也、秋月三佳、小山春朋
監督: 御法川修
脚本:大谷洋介
原作:歌川たいじ「母さんがどんなに僕を嫌いでも」(KADOKAWA 刊)
主題歌:ゴスペラーズ「Seven Seas Journey」(キューンミュージック)
2018年/104分/5.1ch/シネマスコープ
配給: REGENTS

公式サイト 

©「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会

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撮影/ フォトグラファーA-Co
札幌在住の女性プロフォトグラファー、物件写真、スチール撮影、ライブ撮影、CDジャケット撮影、商品撮影、フード撮影など様々な分野で活躍中。ファッション写真を撮影するのが得意のため、女性を更に美しく撮ります。

Photo: A-Co © 2018 A-Co All Rights Reserved.

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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