第71回カンヌ国際映画祭【パルムドール】(最高賞)受賞!
日本アカデミー賞最優秀作品賞他全6冠受賞『三度目の殺人』の是枝裕和監督最新作!家族を描き続けてきた名匠が、“家族を超えた絆”を描く衝撃の感動作
『三度目の殺人』が数々の賞で称えられた是枝裕和監督の長編14作目となる待望の新作『万引き家族』。様々な“家族のかたち”を描き続けてきた是枝監督が、この10年間考え続けてきたことを全部込めたと語る渾身作。東京の下町にで質素に暮らす、一見どこにでもいそうな平凡で貧しいありふれた家族。しかし、彼らは生計を立てるため、家族ぐるみで軽犯罪を重ねていたのだったー。犯罪でしかつながれなかった家族の “許されない絆”が、ある事件をきっかけに衝撃の展開を迎える。人と人との関係が希薄な今の時代に、真の “つながり”とは何かを問う、心揺さぶる衝撃の感動作が誕生した!
息子と協力して万引きを重ねる父・治をリリー・フランキー、その妻・信代を安藤サクラ、彼女の妹・亜紀を松岡茉優、家族の“定収入”として年金を当てにされる祖母・初枝を樹木希林が演じる。さらに、池松壮亮、高良健吾、池脇千鶴、柄本明、緒方直人、森口瑤子ら実力派俳優たちが集結。そしてオーディションで抜擢された城桧吏(じょう・かいり)と佐々木みゆの2人の子役が瑞々しい表情を見せている。
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。
冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。
だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。
家族とは何か、血の繋がりが全てなのか。
観る人に考えさせるような内容が多い是枝裕和監督作品だが、今回もまた少しの幸せといくつもの悲しさのある深い作品だった。
東京の下町に暮らし年金と万引きで食いつなぐ貧しい”訳あり家族”
祖母・初枝(樹木希林)の家で隠れるように暮らす一家の物語だ。
日雇い仕事の父・治(リリーフランキー)とクリーニング店で勤務する妻・信代(安藤サクラ)
共にその演技力は高く評価されているが、今回も自然体の演技で本当にいる家族の日常を観ているかのように思わせるのは流石である。
ぶっきらぼうに感じた信代から大きな愛や優しさが見えてくると、気付けば彼女と一緒に泣いてしまう程に引き込まれていた。
リリーフランキーは是枝監督作品の『そして父になる』で庶民的な父親を好演して以降『海街diary』『海よりもまだ深く』と出演が続いている事からもわかるように、監督からの信頼度は相当なものなのだろう。
個人的にリリーフランキーの出演作が好きで是枝監督作に限らず観ているのだが、『凶悪』での彼の演技は圧巻だった。
ここ数年、彼の怪演に頼りすぎて作品自体がそれに追いついていないように感じる映画も少なからずあり残念に感じていた中で拝見した『万引き家族』
またここで新たなリリーフランキーに出会えた事に感謝したい。
妹として共に生活する亜紀役は松岡茉優が演じ、今までとは少し違った顔を見せてくれる。
鬱々とした想いを抱えて生きる現代の若者。
彼女の姿からは、そんな若者たちの苛立ちや感覚を共有出来る者同士の強い絆を感じさせられた。
緒形直人や池松壮亮など実力派のキャストが揃う中、オーディションで選出された子役2人にも注目したい。
特に息子・祥太役の城桧吏は、無邪気な子供らしさと利発さとが備わっていてこれからの活躍が期待出来る。
子役2人には台本が渡されていないというのにも驚いた。
だからこそ観る事の出来た表情や空気感が確かにそこにあった。
出演陣の演技どれもがハイレベルで、豪華な顔ぶれを無駄にしていない映画と言える。
真の家族とは、愛とは、幸せとは。
この作品で取り上げられたいくつもの悲しみは、今まさに現実社会で起きている事だ。
映画の中だけの話ではなく、すぐそばで起こり得る出来事。
目を背けてはいけない現在の日本の社会の闇。
5年後、10年後。
これらの闇が払拭されているような未来は今の所見えてこない。
監督・脚本:是枝裕和
出演: リリー・フランキー・安藤サクラ・松岡茉優・池松壮亮
城桧吏・佐々木みゆ・高良健吾・池脇千鶴・樹木希林
製作国 日本
配給会社 ギャガ
上映時間:120分
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