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定年後の人生のヒント!「終わった人」舘ひろし・黒木瞳 あらすじ 感想

映画紹介

「定年って生前葬だな・・・」
この衝撃的な書き出しで始まり、定年を迎えたエリートの悲哀を綴って大反響を呼んだベストセラー長編小説「終わった人」。大河ドラマ「毛利元就」やNHK連続テレビ小説「ひらり」など、数々の脚本を手がけヒット作を世に送り出してきた内館牧子による、シニア世代の今日的問題をシリアス且つユーモラスに描いた定年小説の決定版が、満を持して映画化となる。
いまや、4人に1人が65歳以上となる超高齢化社会。日本が抱える大きな課題の一つであり、高齢者を取り巻く環境の中で避けられない普遍的テーマとなる「定年」にスポットを当てた本作は、第二の人生と向き合っていく高齢者の実態とリアルな夫婦・家族の在り方を、心地良いユーモアと味わい深い人間ドラマが交差する、心温まるコメディとして描かれている。

高度成長期を仕事一筋で駆け抜けたサラリーマンが、新たな生きがいを求め、第二のキャリアを築くために、戸惑い、足掻き、奮闘していくその姿と出会う様々な人とのつながりを、優しさ溢れる空気感と等身大の人間模様で綴った定年コメディ『終わった人』を是非ご堪能下さい。

ストーリー

一流企業のエリート街道を歩んでいた田代壮介(舘ひろし)は、同期のライバルに負けたことで出世コースから外れ、子会社に出向させられてしまう。そのまま銀行に戻ることなく、ついに定年の日を迎えてしまった。
<やることがない・・・>

仕事一筋だった壮介は、翌日から時間を持て余してしまう。公園、図書館、スポーツジムなど時間を潰すために立ち寄った先は、至る所に老人ばかり・・・。美容師として忙しく働く妻・千草(黒木瞳)につい愚痴をこぼし、次第に距離を置かれてしまう。このままではマズイと職探しを始めるも、高学歴・高職歴が邪魔をして思うように仕事が見つからない。

しまいには、千草や娘・道子(臼田あさ美)から「恋でもしたら?」とからかわれる始末。ある日、大学院で文学を学ぼうと思い立った壮介は、勉強の為に訪れたカルチャースクールの受付嬢・浜田久里(広末涼子)に想いを寄せるようになる。

さらに、通い始めたスポーツジムで知り合った新興IT会社ゴールドツリー社長・鈴木直人(今井翼)から会社の顧問になって欲しいと頼まれ、壮介の人生が大きく変わろうとしていた。

定年を過ぎて仕事に恋に、第二の人生を歩み出した壮介。順風満帆に思えたのも束の間、次々と壮介の身に災難が降りかかってしまう。そして、ずっと支えてくれていた千草からも愛想を尽かされ、「卒婚」を提案されるのだった。

感想レビュー

2年前に”定年”を経験した小生にとって、「終わった人」という題名は、胸にぐさりと刺さるフレーズだ。

世の定年オヤジたちを一刀両断する、なんと強烈なメッセージだろう。

定年を迎えた冴えない夫を、館ひろしがコミカルにカッコ悪く演じていて共感をもてるが、60歳=定年=終わった人と、妻の目線なのか、それとも原作者の内館牧子なのか、女性たちはなんとも冷ややかに見ている。

その冷ややかさを妻役の黒木瞳が憎らしいほど醸し出し、この作品を貫いている。

次第に居場所を無くしていく夫とは裏腹に、妻が着実に自立していくストーリーは、世のオヤジたちにとって悲しくも辛い現実だ。

「終わった人」と切り捨てられていく男の、残された人生を思うと、つい”ふざけるな!”と叫び声を上げたくなった。

ただ、この主人公はその現実を、静かに受け入れ、僅かに残された道に自分の活路を見いだしては、妻のお荷物にならないよう別れていく。

ここに来て、ようやくカッコいい男の姿が戻ってくる。なおかつ館ひろしのダンディーさが花を添えた。

「終わった人」は「始まる人」に、このあとの人生を”余生”ではなく、第二の人生として生き直す絶好の時だと、締めくくってる。

世の定年を迎えた情けないオヤジたちに贈られる、ささやかな応援歌として、観て損のない作品だ

予告動画

終わった人 

出演:  舘 ひろし 黒木 瞳
広末涼子 臼田あさ美 今井 翼
ベンガル 清水ミチコ 温水洋一 / 高畑淳子 岩崎加根子 渡辺 哲
田口トモロヲ  笹野高史

原作:内館牧子「終わった人」(講談社刊)  

監督:中田秀夫
上映時間:125分

公式サイト
©2018「終わった人」製作委員会

投稿者プロフィール

植田 研一
昭和26年生まれ。若い時に演劇を志したが、夢破れテレビ界でサラリーマン生活を送る。昨年退職し、現在隔月でひとり語りを開催している。
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