第68回ベルリン国際映画祭 正式出品作品
監督:行定勲 × 原作:岡崎京子 × 主題歌:小沢健二
河原に放置された“死体”がつなぐ、秘密の共有と歪んだ絆―。
欲望と焦燥の中でもがきながら生きる若者たちを描き、青春漫画の金字塔として熱狂的な支持を集める岡崎京子の『リバーズ・エッジ』がついに映画化!
監督は『ナラタージュ』の行定勲、主演に『私の男』の二階堂ふみ他、日本映画の新時代を担っていく華やかな若手キャスト達が集結。
主題歌は。岡崎京子と長年公私ともに深い絆を持つ盟友・小沢健二が書き下ろした。
どうしようもない欲望と孤独を持て余し、生きることにもがく若者たちの姿を鮮烈に描き出した伝説のコミックが遂 に映画化!日本映画の新時代を担っていく華やかな若手キャストたちが、衝撃的な岡崎ワールドに体当たりで 挑み、鮮烈かつリアルな「生」をスクリーンに叩きつけた。
若草ハルナ(二階堂ふみ)は彼氏の観音崎がいじめる山田を助けたことをきっかけに、夜の河原へ誘われ、放置された死体を目にする。
さらに宝物として死体の存在を共有しているという摂食障害のモデル・吉川こずえが現れ、三人は友情とは違う歪んだ絆で親しくなっていく。
その一方で、父親のわからない子どもを妊娠するハルナの友人・ルミと、ゲイであることを隠した山田に好意を寄せるクラスメイト・カンナは過激な愛情を膨らませていく。それぞれが愛に飢え、暴力に逃げ、生きることを感じた時、また新たな死体が生まれてしまう―。
原作はカリスマ漫画家として名高い岡崎京子が20年以上も前に連載した作品。
時代背景もスマホやSNSがない当時に合わせており、行定勲監督が原作の世界観を壊すことなく寄り添っている感が伺える。
欲望と孤独にもがく青春真っ只中の高校生。
それが描かれた中でまず感じるのは閉塞感である。
高校生が生きている世界は小さく狭い。
閉ざされた日常の中で揺らぎながら不器用に生きる彼らはとても切ない。
ちなみに作品はR15指定で、過激なシーンやセリフが乱発される。
主役を演じる二階堂ふみは「私の男」での圧倒的な演技力を観てから注目していたが、今回も絶大な存在感を放ち、どこか空虚さを抱えた主人公を演じている。
もう1人重要な役柄を担っていた吉沢亮も整った容姿からゲイ役がとてもマッチしていたように思う。後半の狂気に満ちた表情には息が詰まる。
物語に差し込まれるインタビューシーンはそれぞれが演じるキャラクターを通して若者特有の感情を持って語られるが、キャスト本人の言葉のように受け取れるくらいリアルで効果的な演出だったと思う。
吉沢亮演じる山田に「僕の秘密の宝物」といって或るものを見せられる主人公ハルナ。
それを心の拠り所としている別の人物も含め共有物があることで繋がりが強固される関係。
若い頃、見たりそばに置くと心が落ち着くような、そんな特定のものを抱えていた人はもしかしたら懐かしく感じるのではないかと思う。
大きな川と橋、近くに見える夜の工場地帯、広い薮、学校の屋上や裏庭、廃墟化された古い校舎。
高校生の彼らだけではなく、これらの背景も含めて岡崎京子の空気感を堪能できたらきっとラストに救いを見出せるのではないだろうか。
出 演:二階堂ふみ 吉沢亮
上杉柊平 SUMIRE 土居志央梨 森川葵
監 督:行定勲『GO』『パレード』『ナラタージュ』
脚 本:瀬戸山美咲
原 作:岡崎京子(「リバーズ・エッジ」宝島社)
主題歌:『アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)』 小沢健二(ユニバーサル ミュージック)/作詞・作曲:小沢健二
配 給:キノフィルムズ
映倫区分:R15+
配給:キノフィルムズ
©2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社