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パンク・スピリット音楽映画『パーティで女の子に話しかけるには』作品レビュー

作品紹介

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督待望の最新作!

斬新なのに懐かしい、刺激的だけど切ない〈ボーイ・ミーツ・ガール〉ムービーの新たなる傑作!
今もなお「生涯のベスト1」の声多き名作『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』。
その伝説は、1997年のオフ・ブロードウェイの舞台から始まった。

オビー賞を始めとする数々の栄誉ある賞を受賞してロングランを記録し、物語の生みの親であり、主演も務めたジョン・キャメロン・ミッチェルは、たちまち時の人となったのだ。
さらに、ミッチェルの手で2001年に映画化が実現、マドンナや故デヴィッド・ボウイなどのアーティストの熱狂的な支持も後押しとなり、日本をはじめ全世界で一大ブームを巻き起こした。

そして2017年、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の反骨スピリットと愛を求め続ける熱い魂を引き継いだ、ミッチェル監督の待望の映画最新作が遂に完成!
奇しくも10月には、舞台「ヘドウィグ~」のミッチェル主演のオリジナル版が日本初上演を果たす。
ブッ飛んでるのにハートに沁みる、ジョン・キャメロン・ミッチェル・フェスティバルが幕を開ける!

セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、ヴィヴィアン・ウエストウッド・・・
パンクだけに夢中だった僕が恋に落ちたのは、遠い惑星の女の子でした──
1977年、ロンドン郊外。パンクなのに内気な少年エンは、偶然もぐりこんだパーティで、反抗的な瞳が美しい少女ザンと出会う。

大好きなセックス・ピストルズやパンク・ファッションの話に共感してくれるザンと、たちまち恋におちるエン。
だが、ふたりに許された自由時間は48時間。彼女は遠い惑星へと帰らなければならないのだ。
大人たちが決めたルールに反発したふたりは、危険で大胆な逃避行に出るのだが──。

惑星から来た美少女ザンには、ソフィア・コッポラやウディ・アレンの新作も控える、エル・ファニング。
女優としてもイノセントなプリンセス役の『マレフィセント』から、野心に目覚めたトップモデルに扮した『ネオン・デーモン』まで幅広い役柄を見事に演じ分け、ハリウッドの若手俳優の中でも特別な地位を築いた。

本作でも、まだ何者でもない少女の強さと弱さ、不安と怒りを圧倒的な説得力で体現、“遠い惑星から来た女の子”にリアルな命を与えた。

内気なパンク少年エンには、ブロードウェイデビューを果たした舞台で、史上最年少でのトニー賞主演男優賞を受賞したアレックス・シャープ。

いつも女の子にうまく話しかけられず苦手だったパーティで、一生で一度の恋におちてしまったパンク少年の成長を、ユーモアとセンシビリティを添えて演じた。
また、「ジョン(・キャメロン・ミッチェル)のためならなんだってやるわ」と宣言するオスカー女優のニコール・キッドマンが、ヴィヴィアン・ウエストウッドで働いていたがクビになったという、

若きパンクロッカーたちを仕切るラスボス的存在を強烈なインパクトで演じている。

ファンタジー小説とパンク・ミュージック& ファッションのミックスから生まれた世界にひとつのラブ・ストーリー
原作は、ヒューゴー賞やカーネギー賞を受賞したニール・ゲイマンの短編集「壊れやすいもの」に収められた自伝的小説。
イギリスの人気作家で、アニメーション映画となった「コララインとボタンの魔女」で知られている。
 

70年代に生まれ、日本にも爆風の如く吹き荒れたロンドン・パンクが全編に流れると共に、「クラッシュは死んだも同然」など、パンクカルチャーにまつわる会話が飛び交い、クスリと笑わせてくれる。

当時の若者たちの破壊的な生き方そのものだったパンクファッションと、遠い惑星の誰も見たことのないスタイルを手掛けたのは、アカデミー賞Rに12度ノミネートされ、3度受賞したサンディ・パウエル。

すべてのひとが、いちばん輝いていた甘くて切ない恋と再会できる、音楽とファッションに彩られたラブ・ストーリーの傑作が誕生した。

ストーリー

1977年、イギリス中がエリザベス女王即位25周年の祝典に沸いていた。
けれども、エン(アレックス・シャープ)にとっては、そんなことはどうでもよかった。大事なのは音楽、それもファッションからライフスタイルまでハマっているパンクだ。
もうひとつ気掛かりなのは、内気なあまりパーティで女の子に話しかけられないことだった

仲間のヴィックとジョンと、ライヴハウスへと繰り出すエン。
かつてヴィヴィアン・ウエストウッドの下で働き、今ではこの界隈のパンクシーンのボス的存在であるボディシーア(ニコール・キッドマン)がマネージャーを務めるディスコーズが今夜の主役だ。
ライヴの後、打ち上げパーティに潜り込もうとしていた3人は、いつの間にか道に迷ってしまう。かすかに聴こえる音楽を頼りに進むと、古い一軒家にたどり着いた。

それはお目当てのパーティではなかったが、ドアを開けたステラがヴィックを気に入り、招き入れてくれる。
中では見たこともない斬新なスタイルの男女が踊っていた。どうやら外国から来た旅行者のグループらしい。
だが、やっぱり今夜もうまく話しかけられないエンは、仕方なく家を探索するうちに、反抗的な瞳が美しい少女ザン(エル・ファニング)と出会う。

ぎこちない会話の中で、エンが口走った「パンク」という言葉に興味を示すザン。
「ラモーンズやセックス・ピストルズ。アナーキーで、それがパンクさ」と説明していると、顔色を変えたヴィックに「逃げよう。ヤバいぞ」と急かされ家を後にするエン。

そこへ追いかけてきたザンに、一緒にパンクへ行くと言われたエンは、すっかり舞い上がる。
ただし、ザンに許された時間は「48時間」。エンはとりあえず母とふたりで暮らす家へとザンを連れて帰る。

エンがもうひとつ夢中になっているものに、レビュー誌作りがあった。音楽のレビューだけでなく、“ウイルス・ボーイ”と名付けたキャラクターを主人公としたエンのオリジナル・マンガも連載していた。
翌朝、イラストを見たザンにあらすじを話すと、「感動した」と目を輝かせるザンに「感動する」エン。

夜のライヴまで、街をさまようふたり。家を出て行ったエンの父親の話になった時、ザンは「私が保護者だったら、あなたを捨てない」とやさしく囁き、大切な指輪を靴ひもでペンダントにしてプレゼントしてくれる。
見つめ合うふたりは、互いの瞳の中に特別な想いが芽生えていくのを確かに感じていた。

「あと22時間よ。パンクを見たいわ」と待ちきれないザンを、ボディシーアが仕切るオープン前のライヴハウスへと連れて行くエン。
ザンはボディシーアに気に入られ、飛び入りで歌うことになる。

夢のような時は過ぎ、ザンが帰る時間が刻々と近付いてくる。エンはザンの仲間たちが、どこかおかしいことに気付き始めていた。
実はザンは遠い惑星から来た女の子で、地球を立ち去ると2度と戻って来ることはできないのだった。
「行かないで」と引き止めるエン、涙が止まらないザン。
ザンには故郷の星に、ある使命が待っていた──。

作品レビュー

原題は『How to Talk to Girls at Parties』で日本語タイトルは「パーティで女の子に話しかけるには」このタイトルは、ほぼ映画の内容には反映されていない。

1970年代後半のロンドンのパンクロックシーンに魅せられたジョン・キャメロン・ミッチェル監督が作り上げた一風変わった音楽映画と言うべきだろう。

キャストには、美少女エイリアンのエル・ファニングや、パンクシーンのゴッド・マザー役にニコール・キッドマンと意外な面々が、奇想天外なスタイルで出演している。

ロンドンのカルチャーとサブカルの融合とも言える本作では、イギリスのリアリティとファンタジーが混在し、カラフルでアートな世界観を作り上げている。

70年代のロンドンパンクファッションがクールで、時代を感じさせないのが不思議に思え、ちょっとイケてない内気な主人公エンが着る、缶バッジだらけのジャケットやロンドンのストリートファッションがとてもチャーミング。

パンクロックとエイリアンのラブロマンスだが、パーティで女の子に話しかけるにはどうすべきか?というハウツーもの映画ではない。

エイリアンとロンドンの若者が、窮屈な社会のルールからどう自立できるか?をテーマにした奇抜なパンクロック映画だが、かなり風変わりな物語のため凡人には全く理解できないというのが正直な感想だ。

予告動画

スタッフ&キャスト

監督・脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル
脚本:フィリッパ・ゴスレット
原作:ニール・ゲイマン
衣装:サンディ・パウエル
音楽:ニコ・ミューリー/ ジェイミー・スチュワート

キャスト
ザン: エル・ファニング
エン: アレックス・シャープ
ボディシーア: ニコール・キッドマン 
ステラ: ルース・ウィルソン
ウェイン: マット・ルーカス

原題:How to Talk to Girls at Parties
公式サイト
2017/イギリス、アメリカ/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/103分
配給:ギャガGAGA★
© COLONY FILMS LIMITED 2016

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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