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『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』二宮和也・西島秀俊・綾野剛

 

作品紹介

『おくりびと』滝田洋二郎監督×主演:二宮和也
西島秀俊、綾野剛、宮崎あおい、竹野内豊ほか共演による
絢爛豪華な感動作が始動!

『母と暮せば』(2015)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した二宮和也。その最新主演映画で初タッグを組むのは、『おくりびと』(2008)でアメリカのアカデミー賞外国語映画賞受賞という日本映画史上初の快挙を成し遂げた名匠・滝田洋二郎監督。共演は、西島秀俊、綾野剛、宮崎あおい、西畑大吾(関西ジャニーズJr.)、竹野内豊、笈田ヨシら超豪華俳優陣。
そして本作の企画を担当する秋元康をはじめ、製作陣も日本最高のチームが集結。

原作は、伝説のTV番組『料理の鉄人』を手がけた作家・田中経一。脚本は『永遠の0』(2013)で賞賛を浴びた林民夫。音楽は、ジャンルを超えて幅広く活動する若き名手・菅野祐悟。さらに絢爛豪華なメニューの映像化には料理界の重鎮・服部幸應が全面協力する。物語は、天才的な味覚を持つ男が料理によって過去を辿っていくという、斬新な発想のミステリー。そして、感動の結末・・・。


ストーリー

現代と戦前。二つの時代に現れた、二人の天才料理人。
ラストレシピ。それは失われた70年をつなぐ、壮大な愛のメッセージ。

 <現代>
依頼人の「人生最後に食べたい料理」を再現して高額の報酬を得る、通称=最期の料理人・佐々木充。彼はすべての味を記憶し再現することのできる、絶対味覚“麒麟の舌”の持ち主である。

幼少時に両親を亡くした充は、同じ境遇の柳沢健とともに施設で育ち、自らの才能を頼りに起業。しかし経営に失敗して多額の借金を抱え込み、いまや料理への情熱も失いつつあった。そんなとき、巨額の依頼が舞い込んできた。依頼人は中国料理界の重鎮・楊 晴明(よう せいめい)。

楊の依頼とは、かつて満洲国で日本人料理人・山形直太朗が考案したという、伝説のフルコース[大日本帝国食菜全席]のレシピの再現であった。太平洋戦争開戦直前の満洲国で、山形の身に何が起きたのか…?なぜ料理は発表されないまま歴史の闇に消えてしまったのか…?70年の時を超えて、充は、真実へと辿りつくことができるのだろうか。

 

<1930年代>
天皇の料理番・山形直太朗は国命を受けて、究極の日本料理フルコース[大日本帝国食菜全席]のメニュー開発のため、妻・千鶴とともに満洲国に移住する。

現地での助手は満洲人の楊晴明と、日本人青年の鎌田正太郎。たった4人で満漢全席を超える料理を考案できるのだろうか…。

しかし、山形には特殊ともいえる才能があった。一度食べた味を記憶し再現できる、絶対味覚“麒麟の舌”。やがて山形は、メニュー開発に没頭していく。愛する家族のことも顧みず…。

そんなとき、ハルビン関東軍司令部の陸軍大佐・三宅太蔵から、満洲国への天皇行幸が決定したという知らせを受ける。

その晩餐会で、大日本帝国食菜全席をお披露目するのだ。しかしその裏には、戦争へと傾倒する日本軍部が画策した、巨大な陰謀が渦巻いていた。それに気付いた山形は、レシピにあるメッセージを遺そうとするのだが…。

作品レビュー

情熱や信頼を失ってしまった、孤独な天才料理人・佐々木充(二宮和也)。愛に人生を捧げ世界中の人々を料理で喜ばすことに心血を注いだ、悲運の料理人・山形直太朗(西島秀俊)。

70年の時経て、時代こそ異なる神の舌を持つ、ふたりの料理人の物語。

2002年、借金返済が目的で、70年前の『大日本帝国食菜全席』のメニューを再現する依頼を受けた、料理人・佐々木充。

太平洋戦争直前の1930年代、帝国主義を貫く日本は中国東北部を満州国を設立。

一度食べた料理の味は再現できる、絶対味覚『麒麟の舌』を持つ直太朗は、日本軍の命により、世界中の食材が集まる満州で、国の垣根を超え歴史に残る料理を開発するために、中国人料理人の楊、若き料理人の蒲田正太郎(西畑大吾)、直太朗を支える妻の千鶴(宮崎あおい)、家族や仲間との支え合いで、料理の腕を上げていく直太朗。しかし軍事国家の中で、彼らは数奇な運命の渦に巻き込まれていく。

 

直太朗に縁のある人物の足跡を追う充。
当初は金の為と割り切った調査だったが、充は次第に直太朗の軌跡を追うことに夢中になっていく。

料理に妥協の無い直太朗が周囲の助言を聞き、人と人の繋がりに感謝し、愛情をかけた料理で才能を開花していく。それを知り料理に愛なんて必要ないと、辟易とする充。

自分に似て非なる部分を持つ直太朗を軽蔑する充。しかし70年前の直太朗を知るに連れて、充の中の冷めた心に次第に変化が起きてくる。

70年の時を超えた、壮大なスケールのドラマで、緻密に計算された展開には息を飲んだ。そのミステリー仕立てのストーリーは、否応無しに推測させられてしまう。
対照的な2名の料理人の人生は、我々の意図と別の方向に進み驚くことになるだろう。

劇中でふんだんに登場する、見事な食材や料理の数々。その中でも、豚の角煮と牛カツの、そのシズル感にお腹が鳴ってしまう。

充の子供の頃からの親友、柳沢健役に綾野剛。優しくて熱い情熱を持ち友達思い。筋肉隆々の腕で中華鍋を振り、チャーハンを作る姿に、うっとりと見惚れて、さらにまたお腹が空いてしまうのだ…

映画では充が直太朗の人生を追う形で二部構成となっている。
どちらの時代も、ふたりの料理人の成長物語がテーマとなっていて、人の縁で変化していく様子は素晴らしいと、大きな感動をもらうことができた。

キャスト/スタッフ

二宮和也 西島秀俊 綾野 剛/宮崎あおい
西畑大吾 兼松若人 竹嶋康成 広澤 草 グレッグ・デール ボブ・ワーリー 大地康雄
竹野内豊/伊川東吾 笈田ヨシ

監督:滝田洋二郎
企画:秋元康
原作:田中経一(幻冬舎文庫)
脚本:林民夫
上映時間:126分

公式サイト

(C)2017 映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会
(C)2014 田中経一/幻冬舎

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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