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最高の青春ムービー!実写版「心が叫びたがってるんだ。」中島健人 芳根京子 あらすじ/感想

「心が叫びたがってるんだ。」

最高の青春ムービー 人生最高の《失恋》は、あなたをきっと強くする

大ヒット劇場版オリジナルアニメが待望の実写化!

2015年9月に公開され大ヒットを記録した、劇場版アニメーション『心が叫びたがってるんだ。』、通称『ここさけ』。原作のない完全オリジナルストーリーであり、アニメファンの裾野を広げた名作アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の原作者としても知られる「超平和バスターズ」(長井龍雪、岡田麿里、田中将賀)による新作として、公開前から注目を集めた。その『ここさけ』が、なんと実写映画化。原作の持つ雰囲気を忠実に守りながら、実写ならではの良さを作るべく、考えられる最高のスタッフとキャストが集まった。監督は『ニライカナイからの手紙』、『君に届け』の熊澤尚人。恋愛や友情だけに留まらない、高校生が抱える心の機微を描くことのできるスペシャリスト。なんと監督のオファーが来る前からアニメ『あの花』と超平和バスターズの大ファンだったという。原作の良さを実写で新しく見せると意気込む。

そして注目のメインキャストには、中島健人、芳根京子、石井杏奈、寛一郎という同世代の実力派およびフレッシュな面々が集結した。両親の離婚をきっかけに内向的になり、思ったことを言わず妥協してばかりの主人公・坂上拓実を演じるのが、中島健人。アイドルグループSexy Zoneでは王子様のような輝きが人気の彼だが、この作品では一転。表情を落とし、徹底したロートーンの芝居を見せる。そして物語の鍵を担う成瀬順役に、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』でお茶の間の人気者となった芳根京子。明るい笑顔が印象的な芳根だが、言葉を発することができない=気持ちを周囲に伝えられないという難役に挑戦している。セリフが極端に少ない前半は、表情や動きで感情を見せるしかない。後半に向かうにつれて気持ちが変化していく様も必見だ。チアリーダー部の部長として常に明るさを見せつつも、拓実と交際していた中学時代のことが今も心に引っかかっている仁藤菜月役は、E-girlsのパフォーマーであり近年は女優としての評価も高まる石井杏奈が演じる。拓実と順の関係を複雑な思いで見守る姿に、親近感を持つ人は少なくないだろう。腕の怪我で挫折を経験した野球部の元エース田崎大樹役には、注目の新人俳優・寛一郎が大抜擢された。その実力は未知数ながら、存在感のある佇まいにスタッフは満場一致で大樹役に彼を選んだ。この映画を通して成長していく様子も見どころの一つ。そのほか、4人にミュージカルというアイデアを出し、クラスを温かく見守る担任教師の城嶋に荒川良々。しゃべれない娘との確執を解消できずにいる順の母・成瀬泉に大塚寧々と、ベテラン俳優が脇を支える。

心の殻に閉じ込めてしまった大切な人への想い。でも本当は伝えたい―

祖父母と暮らしながら、高校生活を淡々と過ごしている坂上拓実。感情をあまり表に出さない性格の拓実だったが、学校行事の実行委員に選ばれてしまう。そのほかのメンバーは、野球部の田崎大樹、拓実の元カノ仁藤菜月、そして成瀬順。学校で誰ともしゃべらない順は、クラスでも浮いた存在だった。担任の薦めによりクラス全員でミュージカルを上演する案が出されたが、しゃべることもままならない順の存在もあって、大樹をはじめとするクラスメートはミュージカルに反対を唱える。しかし「歌の方が気持ちが伝えられる」という拓実の言葉を聞いた順だけは、ミュージカルにひとり興味を抱く。子供の頃の無邪気な一言で家族がバラバラになり、それをきっかけにしゃべれなくなっていた順には、誰かに伝えたいことがあったのだ。順が紡ぐ空想の物語をピアノで歌にしてくれる拓実に、ほのかな恋心を抱いていく順。一方、中学時代に拓実と付き合っていた菜月は、別れた今でも拓実に心残りを感じていた。そして、実行委員に選ばれながらも非協力的な態度ばかりを見せる、野球部の大樹。腕の怪我によってイライラが募る日々だったが、必死にミュージカルをやろうとする順に心を動かされていく。伝えたい想いを心の内に抱えながら、それを言えずにいる4人。ミュージカルを成功させ、心に閉じ込めている本当の気持ちを叫ぶことはできるのか。誰かを想う気持ちは届くのだろうかーー。

名曲が生み出す感動のシーンの数々!

思春期ならではの他人に話せない悩み、そしてほのかに灯る恋心を、「歌」を通して解放していく青春群像劇。物語の鍵を握るミュージカル、歌という要素にも力を入れている作品でもある。原作アニメで使われた『悲愴』『Over the Rainbow』をはじめとした楽曲を大切にするべく、歌やミュージカル、舞台演出のプロフェッショナルが集結。キャストの熱演も相まって、高校生らしく爽やかで感動的なミュージカルシーンに仕上がっている。原作ファン、アニメファンも注目している今作だが、原作を制作・配給したアニプレックスがプロデュースを務めており、原作の世界観は徹底的に守られていることにも注目してほしい。生身の人間による「歌」は、実写ならではの特長だ。

生まれてはじめて<本当の気持ち>を伝える感動のシーンは、思い叶わぬ展開なのに、なぜか温かい涙が溢れてしまう。心を閉じ込めてしまった高校生たちが、自らの力で心を叫ぶ。ただそれだけのことが、再び多くの人の心を揺さぶるのだろう。

ストーリー

目の前の“大切な人に”好きと言えない4人の物語

高校3年生の坂上拓実は、ある日、担任の城嶋から、地域のイベント「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に選ばれたのは、全く接点のないクラスメイトの成瀬順。彼女は他人と話すことが出来ず、コミュニケーションは筆談のみ。周囲からは「変わった子」と言われていた。そして拓実と中学時代に交際し、自然消滅したまま気持ちを確認できないでいたチアリーダー部の部長の優等生・仁藤菜月。さらには、肘を壊し夢を諦めた野球部の元エース・田崎大樹も選ばれた。拓実が戸惑っていると、これまでずっと黙っていた順が立ち上がり、精一杯の言葉を振り絞って「イヤ…です!」と叫んだ。その日から、拓実は順のことを気にかけるようになる。

実行委員を辞退したいと城嶋に申し出た拓実だったが、逆に城嶋から出し物としてミュージカルを提案されてしまう。そんな中、順には何か言いたいことがあるのではと察した拓実は、彼女に「ミュージカルをやりたいか?」と問いかける。すると順は“喋れなくなった理由”を携帯の画面に打ち込みはじめた― 幼い頃、自分が親に言った一言で家族がバラバラになり、「全部お前のせいだ」と言われたことから、喋ろうとすると腹痛が起きる呪いにかかってしまった。以来、伝えたい想いはすべてノートに書き溜めていると告白する順。

「ミュージカルは奇跡が起こる」という城嶋の一言に、勇気を出した順は詞を書くことを決意し、さらに主役に立候補する。

クラスメイトたちは順の行動に驚くとともに、その勇気に刺激を受け、オリジナルのミュージカル『青春の向う脛』を演ることに。実行委員4人が主要人物を演じ、言葉を奪われた主人公の少女役は原作者である順に決まった。順の気持ちを理解した拓実は、順が伝えたい想いに曲をつけることに。やがて、ふれ交を成功させるためにクラス全体が一丸となる。さらに、拓実の優しさに触れて好意を持ちはじめた順。2人のやりとりに、菜月は拓実への想いを諦め、大樹は夢を追う順の姿に好意を寄せ始める。目の前の人に好きと言えず、すれ違う4人―

いよいよ、ふれ交前日。クラスみんなの想いが一つになりかけたその夜、拓実と菜月の会話を聞いてしまった順は、黙って学校を飛び出してしまう。そして、舞台当日、「やっぱり、歌もダメでした」―とメールを残し順は姿を消してしまい、拓実は順を探しに行く。しかし、舞台は主役不在のまま幕をあける。

作品レビュー

小学生の女の子は無邪気でお喋りなもの。しかしそのお喋り癖のせいで両親が離婚してしまう。それがトラウマとなり、声を出すことができなくなった成瀬順。高校生になっても筆談でしか会話ができない。
クラスメイトの坂上拓実の献身的な優しさによって、彼女の心の呪縛が次第にクリアになっていく。
地域ふれあい交流会の準備を進めるにあたり、彼らの4人の恋は動き始める。甘くて苦しい青春の辛さと苦い恋心に胸が痛く感じた。
順を演じるのは、芳根京子。NHK朝ドラの『べっぴんさん』で、ヒロインを演じた芳根京子が朝ドラ主演後、初の映画主演となる。
芳根京子の抜きに出る演技力と、豊かな表情で声に出せない気持ちを表現する女優としては流石の貫禄。

主人公・坂上拓実役の中島健人は、キラキラでモテモテの学園恋愛物に比べると、地味ではあるが誠実で優しい男子高校生を柔らかく演じている。

大切な人に好きと言い出せない気持ち。自分の心を封印する苦い恋愛は、誰もが経験する通り道だろう。思わず胸がキュンとなる懐かしいような切ないような、ハートを揺さぶる恋愛映画です。

キャスト: 中島健人 芳根京子  石井杏奈 寛 一 郎 / 荒川良々 大塚寧々

原作:超平和バスターズ
監督:熊澤尚人

配給:アニプレックス

上映時間: 119分

オフィシャルサイト

(C)2017映画「心が叫びたがってるんだ。」製作委員会 (C)超平和バスターズ

 

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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