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アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』作品レビュー

作品紹介

「ストロボ・エッジ」に恋して、「アオハライド」で青春したすべての人へ
咲坂伊緒が贈る青春三部作、最終章―
咲坂伊緒の伝説的人気少女コミック「ストロボ・エッジ」と「アオハライド」。2014年、15年に映像化されると、更なる大きなムーブメントとなり、日本中が咲坂伊緒の世界観にときめき、一緒に青春した。そして2020年、前2作に続く、「咲坂伊緒 青春三部作」の最終章、原作シリーズ累計部数500万部を突破する「思い、思われ、ふり、ふられ」が満を持して映像化。アニメーション&実写のW映画化という稀にみるビッグプロジェクトが、「咲坂伊緒 青春三部作」の集大成を飾る。

アニメーション制作は、大ヒット作品『劇場版 ソードアート・オンライン-オーディナル・スケール-』のA-1 Pictures。監督には「舟を編む」(第21回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞)の黒柳トシマサ。ときめきや切なさといった細やかな感情を、アニメの魔術によってよりドラマチックに描ききる。
声の出演には島崎信長、斉藤壮馬、ヒロインに潘めぐみと、人気・実力を兼ね備えた豪華キャストが集結。さらに、Wヒロインの一人“由奈”を、オーディションを満場一致で勝ち取った大注目の新人声優、鈴木毬花が演じる。4人の高校生が過ごす、青春時代の何気ないようで特別な時間。その中で生まれた、真っすぐな“好き”の気持ちを瑞々しく描いた、青春恋愛映画の新たな金字塔が誕生!

ストーリー

全員片思い -あの子が好きな君を、好きでいてもいい?-
偶然出会った、全くタイプの違う【朱里】と【由奈】、朱里の義理の弟の【理央】と由奈の幼馴染の【和臣】は、同じマンションに住み、同じ学校に通う高校1年生。夢見がちで恋愛に消極的な由奈は、理央に憧れるが、自分に自信がなく一歩踏み出せずにいる。理央はかつて朱里に想いを寄せていたが、親同士の再婚により、気持ちを告げられないまま、想いを胸のうちに抱えていた。また、恋愛に対して現実的な朱里は、率直でどこかつかみどころない和臣のことが気になり出し、割り切れない初めての感情に戸惑う。そして和臣は、ある“秘密”を目撃し、葛藤を抱えることになり…。それぞれの思いは複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違って—。

作品レビュー

心に響くストーリーと魅力的なキャラクターが登場する青春恋愛コミック「思い、思われ、ふり、ふられ」通称”ふりふら”は「ストロボ・エッジ」「アオハライド」で人気の漫画家・咲坂伊緒による青春三部作の最終章。
浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二のキャストで実写映画化となる。
三部作の原作はどれも大好きで読んでいるが、登場人物が皆ただのいい人というわけではないのが人間らしくて好感が持てる。
中でも、咲坂先生の真骨頂(?)でもある”ちょうど良いじれったさ”と”何気なく発する一言の威力”は「ふりふら」が最強だろう。

物語の中心となるのは4人の男女。
社交的で恋愛にも積極的だが実は周りに気を使いすぎて自分の気持ちを押し殺す所もある不器用な性格の朱里。
絵本の王子様に憧れる夢見がちな女の子でそんな自分に自信が持てない由奈。
朱里の義理の弟の理央と由奈の幼なじみの和臣。
この4人は皆高校1年生で、偶然か必然か同じマンションに暮らしている。
非常に少女漫画的だがそれでもドキドキしてしまうのは何故だろう。
やはりこのシチュエーションは永遠の憧れなのかもしれない。

友情・恋愛だけでなく、将来や夢、家族との関わり方など深い部分迄描かれているのは映画も同様。
全12巻にも及ぶ原作から、「これはハズせない!」と思っていた部分を巧くまとめて高校生ならではの感情を導き出しており満足いく仕上がりになっていた。
学校での明るさとは裏腹に家では理想的な家族である事を重視し自分の感情を押し殺すという二面性の表現が難しい朱里と理央だが、浜辺美波・北村匠海という実力派若手俳優によりそんな2人の人物像がリアルに浮かび上がる。
原作でも圧倒的な人気を誇る理央(浜辺さんの推しも理央らしい)は一見軽そうに見える為今まで北村匠海が演じてきた役柄とは異なるが、彼が抱えるジレンマや切ない恋愛感情を考えると適任とも言える。
由奈役の福本莉子と和臣役の赤楚衛二も、2人のキャラクターが持つピュアさを持ち合わせていてうまくハマっていた。
巻を追うごとに感情豊かになり可愛くなっていった由奈だが、福本莉子もそのように見える。
そして、個人的推しである和を演じた赤楚衛二。
他の人には言いにくい悩みも何故か話せてしまうような優しくて真面目な空気感や、クールに見えて子供のような屈託のない笑顔を見せる姿は申し分ないくらい和だった。
こんな幼馴染みが欲しい。

監督は「アオハライド」「フォルトゥナの瞳」など数々の青春・恋愛映画を手がける三木孝浩。
主題歌となるOfficial髭男dismの「115 万キロのフィルム」は彼等の随分前の楽曲なのだが、不思議とこの映画の為に作られたかのように感じるくらい合っている。
三木孝浩監督が特別編集した特別映像が観られるので、それにも注目して欲しい。

恋愛だけに焦点を充てず、家族や自分自身の内面との向き合っていく勇気、すれ違いながらも想いを伝える姿など四者四様のさまざまな思いが詰まったこの作品。
爽やかで眩しいだけでなく、苦さもまた青春時代の重要なスパイスだ。

予告動画

アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』

【キャスト・スタッフ】

島崎信長  斉藤壮馬 潘めぐみ 鈴木毬花
井上喜久子 田中秀幸 久川 綾 井上和彦 堀江 瞬 佐倉綾音
原作:咲坂伊緒「思い、思われ、ふり、ふられ」(集英社マーガレットコミックス刊)
監督:黒柳トシマサ
脚本:吉田恵里香

(C) 2020 アニメ映画 「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
(C) 咲坂伊緒/集英社

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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