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東野圭吾作品史上、最も泣ける感動作「ナミヤ雑貨店の奇蹟」Hey!Say!JUMP山田涼介 あらすじ 感想

  • 2017年8月15日


東野圭吾作品史上、最も泣ける感動作

世界累計800万部を突破し、「東野圭吾史上、最も泣ける感動作」と発売より高い支持を受ける小説「ナミヤ雑貨店の奇蹟」が待望の映画化!
主演に山田涼介、雑貨店主に西田敏行。共演に、尾野真千子、村上虹郎、寛 一 郎、林遣都、成海璃子、門脇麦、萩原聖人と豪華俳優たちが顔を揃えました。監督は『余命1ヶ月の花嫁』『PとJK』の廣木隆一。

ストーリー

2012年。幼馴染の敦也、翔太、幸平の3人は、ある日夜を明かすため1軒の廃屋に忍び込む。そこはかつて悩み相談を受けることで知られていた「ナミヤ雑貨店」だった。今はもう廃業しており、自分たち以外誰もいないはずの店内に、突然シャッターの郵便口から手紙が落ちてくる。なんとその手紙は32年前に書かれた悩み相談だった。敦也たちは戸惑いながらも、当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書く─。 次第に明らかになっていく雑貨店の秘密と、相談者たちと敦也たちの共通点。彼らがこの雑貨店に忍び込んだのは偶然ではなかったのか─? そして、敦也たちがある人物からの“最後の手紙”を受け取ったとき、彼らの運命は一変する。 ─隠された繋がりの謎が明らかになる時、思いもよらない感動と衝撃のラストが待ち受ける。

試写の感想

東野圭吾原作。世界累計800万部を突破。主演は西田敏行。好きな役者さんなので期待していた。もうひとりの主役はアイドルグループHey! Say! JUMPの山田涼介。若手アイドルに馴染みはなかったが、演技は実力派だった。

ある夜、盗みを働いた3人の若者たち。逃走用の車が故障し、下調べしていた空き家へ逃げ込む。そこから時を超えた、不思議なストーリーが始まる。

忍び込んだのは年季の入った空き家「ナミヤ雑貨店」。物語は現代である2012年とナミヤ雑貨店が営業していた1979~80年、あるいは他の年代が交差してゆく。西田敏行演じる店主の浪矢は界隈の人々から愛され親しまれていた。浪矢あてに日々悩み相談の手紙が寄せられ、どんな手紙にも彼はいつも真摯に返事を書いていた。

ナミヤ雑貨店や周囲の建物は懐かしい昭和の風景だ。ロケ地は大分県の豊後高田市だという。夜の光が灯された画は幻想的で、レトロで美しい情景にどきりとした。

若者たちは逃げ込んだ空き家に手紙が届くことを警戒する。やがて店主が悩み相談をしていたことを知り、ひとりが返事を書きたいと言い出す。不思議なめぐり合わせで、過去の人物たちと、青年たちとの文通が始まる。

ストーリーは異なる時間軸の人々の心の交流が描かれ、不思議な世界を織りなしている。
雑貨店の店主浪矢の相談への返事は思いやりに満ちていたが、不幸な生い立ちである青年たちが返す返事は手厳しくネガティブな内容だった。それでも文通するうち、彼らも真剣に相手の幸せを願うようになってゆく。

劇中に流れる楽曲「REBORN・再生」も秀逸だ。登場人物のひとりが作曲したという設定で、門脇麦が演じるセリという女性歌手が歌うのだが、表現力が素晴らしく豊かで心打たれた。ストーリーとリンクする歌詞も感動的だ。

この曲はあの国民的アーティスト山下達郎が映画のために書き下ろした渾身の作品である。エンディングでは山下本人のバージョンも聴けて、こちらもまた素晴らしい。彼のキャリアは皆が知るところだが、映画や原作ある小説に合わせる形でこれほどの作品を創り出す底力にも脱帽だった。

見知らぬ他人から寄せられる相談へ日々真剣に、相手の幸せを願いながら返事を書く。
浪矢店主の愛あふれる行為に心が温まる。人々を励まし、勇気づけていた彼の愛は、他者の愛を呼び起こし循環してゆく。

物語は短編的なストーリーが複数に分かれているが、最終的に、それぞれがつながって一貫したストーリーになる。会えないはずである人物たちの時間が重なるとき、感動で胸がいっぱいになった。

役者陣の演技、音楽もすばらしく、原作も読んでみたくなる。
名作と呼ばれるにふさわしい新たな邦画の誕生を嬉しく思う。

予告編

作品情報

【製作/スタッフ】
原作:東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』角川文庫刊/監督:廣木隆一
脚本:斉藤ひろし
主題歌:山下達郎「REBORN」(ワーナーミュージック・ジャパン)

【出演】
山田涼介/村上虹郎/寛 一 郎/成海璃子/門脇麦/林遣都/鈴木梨央/山下リオ/手塚とおる/PANTA/萩原聖人/小林薫/吉行和子/尾野真千子/西田敏行

製作:「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会  配給:KADOKAWA/松竹
上映時間:129分
公式サイト
Ⓒ2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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