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『僕が跳びはねる理由』4月17日札幌公開 作品レビュー

  • 2021年4月4日

作品紹介

自閉症者の内面を語った内容が大反響を呼び、世界30か国以上で出版された大ベストセラーを映画化!

『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール、角川文庫、角川つばさ文庫)は会話のできない自閉症という障害を抱える作家・東田直樹がわずか13歳の時に執筆したエッセイ。

他者との会話が成立しづらいため、今まで理解されにくかった自閉症者の内面の感情や思考、記憶を分かりやすい言葉で伝えた内容が大きな注目と感動を呼び、その後30か国以上で出版され現在117万部を超える世界的ベストセラー作品に。

サンダンス映画祭で観客賞受賞など、海外映画祭で絶賛!

このベストラー作品をもとに映画化された『僕が跳びはねる理由』は世界最大のインディペンデント映画祭としても有名なサンダンス映画祭(第36回/2020年1月開催)ワールド・シネマ・ドキュメンタリーコンペティション部門において観客賞を受賞、更に同じく2020年10月に開催された第39回バンクーバー国際映画祭の長編インターナショナルドキュメンタリー部門観客賞とインパクト大賞のダブル受賞など、高い評価を受けた。

2005年、わずか13歳の少年が紡いだ言葉が海を越え、今もなお世界中の自閉症者やその親たちに希望を与え続けている。

自閉症者が見つめ、感じ、生きる世界を通じて、‟普通“とは何か、そして‟会話”の大切さを描く、感動のドキュメンタリー!

この映画は自閉症者の内面がその行動にどのような影響を与えるか、また彼らにとって自閉症という障害が意味するもの、そして彼らの世界が“普通”と言われる人たちとどのように異なって映っているのかを、世界各地の5人の自閉症の少年少女たちの姿やその家族たちの証言を追い明らかにしていく、誰も観たことのない驚きと発見に満ち溢れている。

そして、「普通とは?」「個性とは何か」という普遍的な疑問、「会話(=コミュニケーション)の大切さ」「多様性の重視」など…他者と分断されている今を生きる誰もが共感しうる、感動のドキュメンタリー映画である。

作品レビュー

自閉症の人々の日常や知られざる気持ち、その親の思いが丁寧に描かれている。

一般には理解されにくい彼らが、やはり自閉症である日本人の少年がその内面世界を綴ったことにより、世界とつながった。

長きにわたり、彼らは誤解され続け、心無い言葉や態度にさらされ、ひどい差別を受けてきた事実に心が痛む。人というものは自分の理解の範囲を越えた物事に対して嫌悪し、拒絶する傾向があるものだと感じる。私自身もそのような性質を持ち合わせている。未熟であるほどその傾向が強いのかもしれない。

原作者の東田氏は他人と会話することができない重度の自閉症であるらしい。そんな彼はどれほどのエネルギーを費やし内なる思いを綴ったのであろうか。彼らを取り巻く世界を変えたいと願い、多くの人々にわかる言葉で見事に表現してみせた。それは悩み苦しむ人々への理解を促すことにつながり、いまもその思いは広がり続けているに違いない。

すぐになんでも理解できるわけではないだろう。それでも私達は、互いをもっと知ろうとすることはできる。わからない物事に対して怖がったり、忌み嫌ったり切り捨てるのではなく、まずは知ろうとすることは取り組むべき姿勢ではないだろうか。

自閉症に限らず、マイノリティーに属する人々にとって、世界は心地よい場所ではなかっただろう。隠され、排除され、理解していない多くの人々から一方的に決めつけられ、孤独と生きづらさに苦しんできた人も多くいるはずだ。

これまで残念なことに、社会はその人たちにとって過ごしやすい世界として追いついてはいなかった。

それでも少しずつ、世界は動き成熟の道をたどれると思うし、変化を続けてきたはずだ。

どんな人々も、互いを尊重する姿勢を目指すならば、世界はより良い場所になれるのだろう。

多くの困難にさらされてきた彼らだが、確かな歩みをすでに実現させていた。彼らに適した学びの場を、気持ちを共有できる笑顔でいっぱいの場をすでに創り出していた。

人も、世界もどんな形にも変わってゆける。そんなメッセージを感じられた。

ラストは希望にあふれていて力強く私達に語りかけてくる。私達には世の中を変えられる力があることを思い出させてくれる。

自閉症に関して身近に感じている人も、そうでない人にも、多くの人に知って欲しい作品であった。

予告動画

『僕が跳びはねる理由』4/2全国公開 4/17シアターキノで公開

原作:東田直樹『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール、角川文庫、角川つばさ文庫)
翻訳原作:『The Reason I Jump』(翻訳:デイヴィッド・ミッチェル、ケイコ・ヨシダ)
監督:ジェリー・ロスウェル
原題:The Reason I Jump
2020年/イギリス/82分/シネスコ/5.1ch/字幕翻訳:高内朝子//字幕監修:山登敬之
配給:KADOKAWA
©2020 The Reason I Jump Limited, Vulcan Productions, Inc., The British Film Institute
公式サイト

投稿者プロフィール

Kana
Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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