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「カサノバ~最期の恋」 作品レビュー

  • 2020年9月8日

作品紹介

18世紀に実在したイタリアの文筆家ジャコモ・カサノバ。数々の浮き名を流した男の、すべてを賭けた恋フランスの名優ヴァンサン・ランドン主演で贈る、新たな“カサノバ”の激しくも静かな男女の物語!その恋は甘く蕩ける罠だった―

カサノバ役には『ティエリー・トグルドーの憂鬱』でカンヌ国際映画祭の男優賞、セザール賞の最優秀男優賞を受賞し、コメディからシリアスまで幅広い演技に定評のあるフランスの名優、ヴァンサン・ランドン。

カサノバの身を焦がすような恋の相手シャルピヨン役には『ニンフォマニアック』で性に溺れるヒロインを演じ、ナタリー・ポートマン主演の『ポップスター』でエレノア役を熱演したステイシー・マーティン。実年齢よりも若々しく未完成な美しさが魅力の彼女だが、本作ではさらに妖艶で体当たりの演技を加えてカサノバを終始魅了し続ける。
そして、脇を固める俳優にはアカデミー賞®作品賞を受賞した『レインマン』でトム・クルーズ演じるチャーリーの恋人役を演じ、一躍国際的な女優となったヴァレリア・ゴリノを迎え、作品に一層の重厚感を持たせている。

ストーリー

18世紀のロンドン。快楽とギャンブル好きで有名な遊蕩児のカサノバは、パリからの亡命を余儀なくされていた。新たな土地で、彼は若い娼婦のマリアンヌ・ド・シャルピヨンと出会い、他の女性が目に入らなくなるほど彼女に心酔する。カサノバはあらゆる手段でシャルピヨンを手に入れようとするが、彼女は巧妙にかわしていく。「私が欲しければ私を追わないこと!」とシャルピヨンに挑発され、カサノバはますます彼女に溺れていき――。

作品レビュー

カサノバ、という名は耳にしたことがあったが、具体的にどういう人物であるかを知らなかった。せっかくなので、本作品を鑑賞後にネットでチェックしてみた次第である。

とにかくものすごい人物であったようだ。申し分ないトラブルメーカーらしく、1700年代のヨーロッパの国々を転々と移り住み、世紀の女たらし、放蕩人、脱獄犯、作家、等々、様々な顔を持ち合わせた稀有なキャラクターである。

カサノバと言えば、つまりはものすごいプレイボーイという認識で良いのだろうが、各国の貴族社会を悠遊と渡り歩き、数々の著名人や王室レベルの実力者たちの寵愛を受けた魅力あふれる人物でもあったようだ。

さてそんな予備知識を踏まえるならば、この作品は彼のイメージとは似つかわしくない側面が描かれている。

欧州各国を転々としつつ、多くの女性と恋愛遍歴を重ねた彼が流れ着いた英国を舞台に、それまでとは異なるであろう恋の体験を味わうのである。

カサノバを魅了するヒロインを演じるのはステイシー・マーティンというフランス人女優。若く美しい彼女はカサノバを翻弄し続ける小悪魔系の娼婦である。

かつては浮名を流しまくっていたであろうカサノバの、若い娘にあしらわれ続ける様は、ある意味真っ当とも言える。年の差も激しいし、そもそも不利な恋愛であろうことは想像に難くない。

かつてのプレイボーイの思い通りにならない恋の歯がゆさ、苛立ち、苦しみは、ある意味新鮮でもあったのだろうか。

カサノバという人物はイタリア出身ながら、こちらはフランス作品である。そして絶え間ない男女の恋の駆け引きの描写はたしかにフランスらしいと感じさせられる。

英国の貴族文化の描写も興味深く、豪奢な館やドレス姿の女性といった宮廷ものならではの楽しみは勿論のこと、歴史的ジャンルの好きな方にもおすすめの作品となっている。

予告動画

「カサノバ~最期の恋」

主演:ヴァンサン・ランドン ステイシー・マーティン ヴァレリア・ゴリノ

監督:ブノワ・ジャコー 『マリー・アントワネットに別れをつげて』

共同制作:ダルデンヌ兄弟『少年と自転車』

衣装:パスカリーヌ・シャヴァンヌ『真実』『17歳』

原題:DERNIER AMOUR/2019年/フランス・ベルギー・アメリカ/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/100分/字幕翻訳:茂岡律子
配給:ギャガ GAGA★

© CHRISTOPHE BEAUCARNE / LES FILMS DU LENDEMAIN – JPG FILM

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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