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スウェーデン映画「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」 作品レビュー

作品紹介

累計1000万部突破、46ヵ国以上で出版されたベストセラー作家の最新作!
大ヒット作『幸せなひとりぼっち』の原作者フレドリック・バックマンによる小説「ブリット=マリーはここにいた」を映画化。
映画祭で注目の若手女性監督ツヴァ・ノヴォトニーが、スウェーデンの国民的女優ペルニラ・アウグストを主演に迎え、本国で初登場1位の大ヒットを記録した。「夫のために生きる安泰な人生」と「自分のための波乱万丈な人生」、
果たしてどちらにブリット=マリーの幸せはあるのか?北欧らしくカラフルに彩られた、第二の人生に踏み出そうとする人を応援する再出発奮闘記!

ストーリー

63歳・笑わない主婦。ある日スーツケースひとつで自分の人生を探す旅に出る。
スウェーデンに住むブリット=マリーは63歳の専業主婦。結婚して40年、家事を完璧にこなすだけの毎日で、いつしか笑顔を忘れていた。ある日、夫に愛人がいることがわかり、一大決心をして家を飛び出すことに。
やっとのことで見つけた仕事は、小さな町の荒れ果てたユースセンターの管理人だった。
しかもいつのまにか子供たちの弱小サッカーチームのコーチまで任されることに。初めて尽くしの彼女は、やんちゃ盛りなチーム員たちにはナメられっぱなし。だが個性豊かな住民たちに助けられ、不器用ながらも少しずつ笑顔を取り戻していく。
そんなある日、突然夫が迎えに来て―。

作品レビュー

世界幸福度ランキングでいつも上位に名を連ねている北欧諸国。

その中のスウェーデンは私もいつか訪れたいと憧れずにはいられない国のひとつである。

そこで大ヒットした感動作とのことで自然と期待は高まり鑑賞。

40年子供のいない専業主婦をし、家のため夫のため完璧な家事をこなす主人公ブリット=マリー。To Doリストを作っては終わった作業をひとつずつ消していく。真面目一筋である。

夫は帰宅するも大好きなサッカー観戦のためテレビの前から離れない。夫婦の会話は業務伝達のみだ。
40年も連れ添うと珍しいことでもないのかもしれないが、映画が始まって10分もしないうちに夫の浮気が発覚。マリーは早々に荷物をまとめ家を出る。
あまりに潔いが、当然40年間働いていなかった専業主婦に職が見つかることもなく(今思えば清掃業がピッタリだった気がするが)小さな田舎村で子供達にサッカーを指導する仕事を紹介される。
安泰な生活を捨ててきたマリーにこれ以上捨てるものはない。こうなると女は無敵だなと思う。だがそう甘くはなく、もともと弱小チームではあるが、ルールも知らないおばさんに子供達はナメまくり。
そんな中、マリーに住む場所を紹介し夕食に誘う地元の警察官。彼の好意に惹かれつつも意を決してサッカーのルールを覚え、指導者らしい立ち振る舞いを見せるようになるマリー。
様々な人に出会い助けられ徐々に新しい土地に慣れていく。そしていつしか大好きだった姉と自分の夢を思い出す。
とても幸せな映画である。女性監督作品ということもあるのかあらゆる女性に「諦めないで」とエールを送っているように感じた。と同時に「今のままでいいの?」と疑問を投げかけているようでもある。

反省した夫が迎えに来たり、来て早々にどこに惹かれたのか好意を抱いてくる親切な警察官が現れたりと、あまりに出来すぎた話のような気もするが、散々家庭のために尽くしてきたのに裏切られたのだからそれくらいのラッキーが訪れてもバチは当たるまい。

ひとつマリーに苦言を呈するなら夫とふたりだけの生活なのに夫に関心が薄すぎた。夫が大好きなサッカーを一緒に観戦したり忙しい夫の仕事にもっと興味を持ってもよかったのではないかと思う。
映画の中でもマリーの笑顔が登場するのはかなり後半である。綺麗な部屋の中で果たして夫に料理の美味しさは伝わっていたのだろうか。
決して浮気は許せないが、夫はきっと寂しかったのだろうと想像はできる。
ブリット=マリーは63歳だが、人生100年と言われている昨今。健康な体さえあれば沢山のことに挑戦できる世の中だ。この作品を通して監督のメッセージに目を耳を傾けて欲しいと思う。
そしてスウェーデンならではのオシャレなエンディングも必見なので最後まで楽しんでもらいたい。

予告動画

「ブリット=マリーの幸せなひとりだち」

監督:ツヴァ・ノヴォトニー
主演:ペルニラ・アウグスト
原作:フレドリック・バックマン「ブリット=マリーはここにいた」(坂本あおい 訳/早川書房 刊)
後援:スウェーデン大使館
字幕翻訳:中沢志乃
字幕監修:オスターグレン晴子
配給:松竹
上映時間:97分

公式サイト

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投稿者プロフィール

坂本早苗
札幌市内で働くOL。
ストレス発散はテニスで体を動かすことと大好きなパンを求め全国のパン屋さんの情報収集。着る服は骨格診断を意識しています。
映画は年齢と共にミニシアター系が好みに。
沢山の映画と出会い、観て聴いて考えてお気に入りを探していきたいです。
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