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大人のハードボイルド・コメディ『一度も撃ってません』作品レビュー

作品紹介

市川進、御年74歳。彼は巷で噂の伝説のヒットマンだ。……というのは、まったくの嘘!本当の正体は、理想のハードボイルドを極めるただの小説家だった!――
日本映画界を代表するバイプレーヤーの石橋蓮司が、阪本順治監督(『大鹿村騒動記』『半世界』)の熱いラブコールを受けて19年ぶりに78歳で映画に主演。ハードボイルド・スタイルで夜の街をさまよう、完全に“時代遅れ”の主人公を渋く、そしておかしみたっぷりに演じる。

共演には、妻役の大楠道代をはじめ、夜な夜な市川のもとに集まる怪しげな友人役に岸部一徳と桃井かおり。「探偵物語」の丸山昇一が描く最高にしゃれたオリジナル脚本を得て、実力派レジェンドたちの夢の共演がここに実現した。
本作の魅力はそれだけではない。いまや日本映画を牽引する主演級の役者陣もこぞって参加。佐藤浩市、豊川悦司、江口洋介、妻夫木聡、井上真央、さらに柄本佑、寛 一 郎など
「令和」を担う若き俳優たちなど世代を超えたガチの演技合戦も見物だ。

人生最期の究極の「こだわり」を“かっこいい”とするか“悪あがき”と呼ぶか――。
いまだ青春時代を忘れられない大人たちの、“おかしみ”と“愛らしさ”たっぷりな“ハード(ト)ボイルドコメディ”が、2020年ゴールデンウィークに”心を撃ち抜く“映画になること間違いなし!

ストーリー

市川進、御年74歳。タバコ、トレンチコートにブラックハット…大都会のバー「Y」で旧友のヤメ検エリート・石田や元ミュージカル界の歌姫・ひかると共に夜な夜な酒を交わし、情報交換をする。そう、彼は巷で噂の“伝説のヒットマン”だ。今日も“殺し”の依頼がやってきた――。
がしかし本当の姿は…ただの売れない小説家。
妻・弥生の年金で暮らし、担当編集者の児玉からも愛想をつかされている。
物語のリアリティにこだわり過ぎた市川は“理想のハードボイルド小説”を極めるために、密かに“殺し”の依頼を受けては、本物のヒットマン・今西に仕事を頼み、その暗殺の状況を取材しているのだった。
そんな市川に、ついにツケが回ってきた。
妻には浮気を疑われ、敵のヒットマンには命を狙われることに!
ただのネタ集めのつもりが、人生最大のピンチ。
“一度も撃ったことがない”伝説のヒットマンの長い夜が、始まる。

作品レビュー

刺激的な作品が多い阪本順治監督作品。
本作は2016年の『団地』に次ぐ、大人のシュールなコメディでテーマはハードボイルド。

主人公78歳の小説家・市川を演じたのは石橋蓮司。18年振りの映画主演という。妻・弥生役の大楠道代とは『団地』でも夫婦役を演じた。
毎朝、弥生が作るしじみの味噌汁と、バランスの良い和食を食べる市川。売れない小説家のため、弥生の年金で暮らしている。その年老いた風貌には哀愁さえ感じる。弥生は歌舞伎や友人たちとの交流を楽しみ、市川は小説のネタ作りのため謎の行動をとる。

市川が書く伝説のヒットマンの小説と、都会で実在する未解決事件の殺しが酷似していることから、物語が進むにつれて事件や殺し屋の存在が次第に明らかとなる。

市川の周囲に登場する、元検察官・石田役の岸部一徳、元ミュージカル女優・ひかり役の桃井かおり。実年齢でも市川と同じ78歳の石橋蓮司と、共演の桃井かおり、岸部一徳、大楠道代らは、原田芳雄の元に集っていた長年の仲間である。彼らの演技には、あうんの呼吸があり絶妙な芝居を楽しむことができる。

さらに脇を固める俳優陣が豪華。佐藤浩市、豊川悦司、江口洋介、妻夫木聡らが、個性的でちょっと変な役を演じ、重要なボジションとして登場している。

桃井かおりが演じるひかりは、まさにアンニュイな桃井かおりそのもので、かおり節が存在感を放っている。石橋蓮司、岸部一徳、大楠道代らが絡むシーンでは、長年の友情が感じられ微笑ましい気持ちになる。ハードボイルドのテーマよりも、50年以上続く遊び好きな大人たちの、カッコいい青春映画のようだ。

脚本の丸山昇一は松田優作の『探偵物語』や『あぶない刑事』の脚本家で、本作に登場する街並みと趣のあるバーや喫茶店、そして劇中の効果音が『探偵物語』によく似ている。登場人物たちの喫煙率の高さが昭和を象徴していて、受動喫煙を嫌がる人物が出てこない。

タイトルの『一度も撃ってません』の意味はラストで知ることになる。
市川が殺されてしまうかも?という緊迫感と相反し、クスクスと笑ってしまう大人の上質コメディである。

予告動画

『一度も撃ってません』

出演: 石橋蓮司 大楠道代 岸部一徳 桃井かおり 佐藤浩市 豊川悦司 江口洋介 妻夫木聡 新崎人生 井上真央 ほか
監督: 阪本順治(『半世界』『エルネスト もう一人のゲバラ』『団地』『大鹿村騒動記』ほか)
脚本: 丸山昇一(『行きずりの街』ドラマ「探偵物語」「あぶない刑事」シリーズほか)
製作:木下グループ / 配給:キノフィルムズ
上映時間 : 100分
公式サイト

©︎2019「一度も撃ってません」フィルムパートナーズ

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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