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『黒い司法 0%からの奇跡』司法の闇と闘う逆転劇を描いた“奇跡の実話”! 作品レビュー

作品紹介

白人の人妻と関係を持った黒人――それだけで犯してもいない殺人の罪で死刑を宣告されたウォルター・マクミリアン。彼の冤罪を証明するべく人権弁護士ブライアンは奔走する。
仕組まれた証言、公判前の死刑囚監房への収監、大半が白人の陪審員、証人や弁護士たちへの脅迫……。数々の差別と不正を乗り越え、ウォルターとブライアンは無罪を勝ち取ることができるのか。黒人が不当に差別されてきた米国司法の驚愕の事実を踏まえつつ展開される衝撃の実話。

冤罪の死刑囚たちのために闘う弁護士ブライアン・スティーブンソンが起こした奇跡の実話を『ショート・ターム』の監督デスティン・ダニエル・クレットンが映画化。
主演のブライアンを演じるのは、「クリード」シリーズや『ブラックパンサー』などで知られるマイケル・B・ジョーダン。共演には、不当な判決を受ける死刑囚ウォルターをオスカー俳優ジェイミー・フォックス、ブライアンと共に法律事務所で働く女性エバをオスカー女優ブリー・ラーソンが演じる。

ストーリー

黒人への差別が根強い1980 年代アラバマ州、犯してもいない罪で死刑宣告された 黒人の被告人ウォルター(ジェイミー・フォックス)を助けるため、 新人弁護士ブライアン(マイケル・B・ジョーダン)は無罪を勝ち取るべく立ち上がる。 しかし、仕組まれた証言、白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、 数々の差別と不正がブライアンの前に立ちはだかる。 果たしてブライアンは、最後の希望となり、彼らを救うことができるのか―!? 可能性0%からの奇跡の逆転劇に挑む!

作品レビュー

クリードやブラック・パンサーで注目を浴びた、肉体派俳優のマイケル・B・ジョーダンがハーバード大を卒業した、インテリ人権派弁護士ブライアン・スティーブンソンを演じ、冤罪の死刑囚ウォルターにジェイミー・フォックス、ブライアンを支援し手助けする女性エバをブリー・ラーソンが演じる。

弁護士ブライアン・スティーブンソンは、アメリカ南部で奴隷経験のある祖母から正しいことしなさいと子供の頃から言われて育ったという。
正義感が強く、アメリカにある不正や司法の矛盾点を訴えた著書に『黒い司法――黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う』がある。本作はその著書の映画化である。

アメリカにある根強い人種差別によって、事件捏造による冤罪から死刑囚を救い出そうとする衝撃的な実話だ。アラバマ州の黒人差別と黒人犯罪率の高い地区で、国の助成金で法律事務所を立ち上げ、冤罪と死刑の事件の洗い直しをする弁護士ブライアンの数年間の戦いの記録である。

アメリカの司法制度の歪みは、人種だけではなく貧富の差にも影響している。リッチな白人の犯罪は軽い処罰ですみ、黒人への犯罪は死刑判決を与えるケースもが多い。また警察や検察官の証拠捏造と人種差別による侵害が横行している。

アラバマ州では現在 34パーセントの黒人男性が逮捕歴によって永久に選挙権を失い、黒人男性が選挙権を持っていない確率が多いために、白人優位で経済的に優れた者だけが政治家になる悪循環がある。

無実の死刑囚ウォルターの冤罪を証明するため、人権派の弁護士ブライアンは奔走するが、仕組まれた証言と公判前の証人への嫌がらせ、白人だけの陪審員、ブライアンへの圧力と警察からの脅迫、数々の差別と不正を乗り越えるウォルターとブライアンであった。

本作は冤罪の死刑囚を救う弁護士の実話のため、ウォルターが冤罪とすぐに証明されることを期待していたが、展開がこちらの理想通りに進まずジリジリとする。適当な捜査の警官、黒人が犯人で妥当と犯罪をでっち上げる検察の非人道性に怒りを感じた。

ウォルターは事件当時、アリバイがあり家族以外の証人もいる。司法取引を利用して証言をでっちあげ、それを覆す証人が証言をしても検察と裁判官は人種差別と偏見で再審請求を却下する。幸せに見える大国アメリカに正義は存在せず、司法は底から病んでいる。

アメリカでは9人に1人の確率で黒人死刑囚は冤罪で無罪であるという。それは10回飛行機に乗ったら1回は墜落して死ぬのと同じことだと、弁護士ブライアンは語る。

誰もが幸せで平和な社会であることを願うはず。
しかし肌の色や経済的格差など多様性を認めない、警察と司法は許されるべきではない。13歳の黒人少年犯罪者に容赦ない終身刑を下すアメリカの司法。
本作はドキュメンタリーのようなリアルな恐ろしさがある。この映画を通じてアメリカの司法の闇を知ることは、国際社会にとって重要である。

予告動画

『黒い司法 0%からの奇跡』

原題: Just Mercy
監 督: デスティン・ダニエル・クレットン『ショート・ターム』『ガラスの城の約束』

脚 本: デスティン・ダニエル・クレットン、アンドリュー・ランハム
原 作 : 「黒い司法 黒人死刑大国アメリカの冤罪と闘う」ブライアン・スティーブンソン著
出 演 : マイケル・B・ジョーダン(「 クリード」シリーズ、『ブラックパンサー』)ジェイミー・フォックス(『 Ray/レイ』)、ブリー・ラーソン(『ルーム』『 キャプテン・マーベル』)、 ほか
配 給: ワーナー・ブラザース映画
上映時間: 137分

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公式サイト

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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