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テレンス・マリック監督、初の実話『名もなき生涯』 作品レビュー

 

作品紹介

伝説の映像作家テレンス・マリック、初の実話映画化
今伝えなければと巨匠を駆り立てた<名もなき者の生涯>とは—-?
全ての人に今問いかける、全世界注目の一大ヒューマン・ドラマ

監督/脚本/製作を手がけるのは、五感を揺さぶる唯一無二の映像体験によって観る者を別次元へと誘う、“生ける伝説”テレンス・マリック。本作で46年のキャリアで初めて実在の人物を描き、カンヌ国際映画祭公式上映でも鳴り止まぬ歓声のなか、「人間の内面を豊かに描いた作品」に贈られる、エキュメニカル審査員賞を見事に受賞した。

フランツには『イングロリアス・バスターズ』のアウグスト・ディール、フランチスカには『エゴン・シーレ 死と乙女』のヴァレリー・パフナー。先ごろ亡くなった、ドイツ映画界最高峰の名優、ブルーノ・ガンツが、判事役でスクリーンに厳粛で深い感動をもたらす。
なぜ、政府や軍に脅されても市長や神父から説得されても、フランツは最期まで己の信念を貫き通したのか? そこで彼が見つめていたものは何だったのか。神の存在すら身近に感じさせる美しい光と風景のなか、フランチスカとの愛に満ちた心震える書簡を紐解きながら、人間の真実と尊厳に迫る。世界に再び争いの季節の足音が響き始めた今だからこそ、76歳を迎えた巨匠が作家生命をかけて人々に問う、観る者の魂を揺さぶってやまない感動のヒューマン・ドラマ。

 

ストーリー

第二次世界大戦時、ヒトラーへの忠誠を拒絶し、ナチスに加担するより自らの信念に殉じ、後に列福された一人の農夫がオーストリアに実在した。彼の名はフランツ、山と谷に囲まれた美しい村で、妻のフランチスカと3人の娘と暮らしていた。戦火が激化し戦争に駆り出された彼は、ヒトラーへの服従を頑なに拒む。直ちに収監され裁判を待つフランツを、フランチスカは手紙で励ますが、彼女自身も村で裏切り者の妻としてひどい仕打ちを受け始める──。

作品レビュー

ヒトラーに忠誠を誓えなかった男「フランツ・イェーガーシュッテッター」と聞いても知る人はいないだろう。

これはヒトラー政権時代のサイドストーリー

目をそむけたくなるような残酷さや戦闘シーンがある作品とは全く違う、
自分の信念を貫いた「ある男」の実話である。

平地からは見上げても見えないような雲の上の山村でひっそりと暮らすフランツと妻のファニ。

家族も増えて幸せな生活が続くと思っていた二人だが、ナチスドイツの影が迫っていた。

しかしフランツはヒトラーの考えにどうしても納得がいかなかった。
自分の考えは間違っていないはずだと正解を探し続けるフランツ。

何があっても信念を変えることがない夫と、夫を信じ続ける妻。

ナチスドイツの魔の手が、雲の上の小さな小さな村に暮らす家族のささやかな幸せな時間を奪っていった。

山々に囲まれた小さな村でのシーンでは殆どの撮影が自然光を優先しているため、柔らかな光が美しい風景をそのまま生かしている。

村にかかる雲の動きはフランツの心の動きにシンクロしており、フランツの戸惑いや動揺が伝わってくる。

妻ファニは村中から裏切り者の妻としてつらく当たられ、家ではフランツの母から嫌がらせを受けているが、フランツへの愛は宗教的とも感じるほど強く、信じる気持ちは強靭だった。

映画がすすむたび、妻への愛や家族の苦しみにフランツの信念が揺らぐシーンが何度もあったように感じた。
そのたび私は「信念を貫くことで誰が幸せになるのか」と考えさせられた。

一見、素朴な村人の無謀な抵抗と感じるかもしれない。

しかしこの無謀な抵抗を貫いた人がいたという真実を知る奇跡のような機会となるであろう秀逸な名画である。

『名もなき生涯』

原題・英題: A HIDDEN LIFE
監督/脚本:テレンス・マリック
キャスト: アウグスト・ディール、ヴァレリー・パフナー、ブルーノ・ガンツ、マティアス・スーナールツ、マリア・シモン、ミカエル・ニクヴィスト
上映時間: 173分
公式サイト
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2019 Twentieth Century Fox

投稿者プロフィール

Kieko
Kieko
「E.T.」を観て、自転車は爆走すると空を飛ぶと信じ、「グーニーズ」を観て、海には大冒険が待っていると信じていました。そんな私が今注目しているのはインド映画界ボリウッド。踊って歌って笑ってる・・・だけじゃない魅力もあるんです♪
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