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「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん 」6月21日公開 作品レビュー

  • 2019年6月2日

累計アクセス数1,000万超の大人気ブログ、感動の実話が待望の映画化!

ずっとすれ違ってきた父子が、オンラインゲームの世界を旅する。
しかし父は、それが息子であることを知らない――

ストーリー

この人が死んだとき、泣いたりするんだろうか──

自分が子供の頃から、何を考えているのか全く分からなかった父の背中を見て、心の中でそうつぶやくアキオ(坂口健太郎)。仕事一筋で単身赴任中だった父(吉田鋼太郎)が、突然会社を辞めて家に帰って来たのだ。母と妹も一日中ボーっとテレビを見ている父を、遠巻きに眺めている。父の本音を知りたい、そんな願いに突き動かされたアキオに、ある計画が閃く。アキオの得意なオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」の世界に父を誘導し、自分は正体を隠して、共に冒険に出るのだ。その名も〈光のお父さん計画〉!アキオは顔も本名も知らないゲーム仲間たちに協力を呼び掛け、励まされる。だが、この時のアキオは思いもしなかった。父に家族も知らない意外な顔があるとは──。

作品レビュー

ゲームにまるで興味も知識もない私だが、主人公の父親役・吉田鋼太郎さんが好きなので試写にのぞんだ。存在感があり、どんな役柄でもそつなくこなすイメージがある。

坂口健太郎演じる主人公・アキオが、仕事一筋であった父親と、正体を隠してオンラインゲームで関係を築くという物語。無口で仕事一筋で、子供達とほとんど関わらないまま退職を迎えた父、岩本役を吉田鋼太郎が演じている。

とてもユニークな、実話にもとづくストーリー。面白い要素は多々あるが、私が強調したくなるのはこの物語の冒頭が、すでに感動に満ちていること、そして劇中ではほとんど焦点をあてられないアキオの母、かつ岩本の妻の存在がいかに大きなものであるかという点である。

もっとも素晴らしく思える点は、まだ年齢も若い息子のアキオが、幼い頃からほとんど一緒に遊んでもらうことのなかった、単身赴任で長い間離れ離れで過ごしていた父親へ、正体を隠して歩み寄ろうとするところだ。

まるで、父と息子の役割が入れ替わっているかのように思える。子供に歩み寄るのは親ではなく、親子の関係性を築いてこなかった親に対して、息子の方がアクションするのである。

そのように優しく、ユニークな発想で行動できるアキオ自身の感性も素晴らしいが、ほとんど夫の協力のない中でそんな子供を育ててきた岩本の妻、かつアキオの母親はどれほど器の大きな女性かと感じた。財前直見演じる岩本家の母は、長年コミュニケーションの乏しかったはずの夫に屈託なく接している姿も印象的だった。

とはいえ冒頭のみで感動している場合ではなく、この映画は率直に面白さに溢れている。何が面白いかと言えば、私のようなゲームに縁のない人間が見て、間接的に現代のゲームを体感でき、新鮮で新しい世界を垣間見ることができる。

スーパーマリオをクリアできないままにゲームの記憶が止まってしまった私が見ると、最近のゲームとはなんと別世界なのかと感銘を受ける。映像、風景の美しさ、キャラクターの美形さ、映画のように迫力ある戦いのシーンの数々・・・

そして初心者目線でも納得の、ゲームに慣れない父親、岩本の操るキャラクターの妙な動き・・・きっと私もゲームをしたなら、キャラクターにむやみに変なポーズを取らせてしまうような気がした。

日頃は口下手な父親が、ゲームを通して素直に彼の言葉を語る姿は微笑ましい。ゲームには興味のなかった私だが、オンラインの世界で出会う人々と、人間的な触れ合いを重ねることは、現実の世界にも活気をおよぼすように思えた。

物語が進むにつれ、観る人は父親が不器用ながらも彼なりに愛情を示してきたことを知るのだが、私達のまわりにもきっとそんなエピソードが無数にあるのではと想像した。私達は、身近な人が日頃示してくれる愛に気付けているだろうか。

わかりにくくて、不器用すぎて、気付くことは難しいかもしれない。だけど本当は愛にあふれている日常に気付けたなら、人生はより愛おしいものに映るだろう。自分たちが思う以上に日々は愛に包まれているのかもしれない。そんな風に思えた、素敵な物語であった。

予告動画

「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん 」6月21日(金)札幌シネマフロンティア ほか全国公開

監督 : 野口照夫、山本清史(エオルゼアパート)
出演: 坂口健太郎/吉田鋼太郎/佐久間由衣/山本舞香/佐藤隆太/財前直見
声の出演:南條愛乃/寿美菜子/悠木碧
脚本:吹原幸太
原作者:「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」マイディー
配給会社 :ギャガ
上映時間: 114分
公式サイト

Ⓒ2019『劇場版 FF14 光のお父さん』製作委員会 Ⓒマイディー/スクウェア・エニック

投稿者プロフィール

Kana
Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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