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青春音楽映画『小さな恋のうた』試写の感想

作品紹介

MONGOL800が2001年にリリースした楽曲「小さな恋のうた」。平成で最も歌われたカラオケランキングの男性アーティストによる楽曲で一位に輝き、世代や性別を問わず今なお歌い継がれるこの名曲から一本の映画が誕生。幾度となく沖縄で取材を重ね、8年にも及ぶ時間をかけて完成した物語は、MONGOL800の楽曲に込められた知られざるメッセージを導き出し、二つの国と共に生きる若者たちの生きた青春を描く。

ストーリー

沖縄の小さな町。日本とアメリカ、フェンスで隔てられた二つの「国」が存在する場所。そこでは、ある高校生バンドが熱い人気を集めていた。自作の歌を歌いこなし、観るものを熱狂させるその実力で、東京のレーベルからスカウトを受け、なんとプロデビューが決まる。しかし、喜びの絶頂で盛り上がる彼らに一台の車が突っ込み、バンドは行く先を見失ってしまう。そこに現れた、一曲のデモテープと、米軍基地に住む一人の少女。それらによって、止まった時計の針は前に進み始める。フェンスの向こう側に友の“想い”を届けるため、彼らは再び楽器を手に取り立ち上がる―。

試写の感想

『小さな恋のうた』
このタイトルからしてピンとくる人は多いだろう。
平成で最も歌われた男性曲「小さな恋のうた」(MONGOL800)である。
学生時代、カラオケに行くと必ずと言っていい程誰かが歌っていたこの曲。
この「小さな恋のうた」にインスパイアされ誕生した映画が今作だ。

多くの人に今尚愛され歌われ続けたこの曲と、MONGOL800の生まれ育った沖縄。
日本の南端に位置し明るく楽しいのびのびとしたイメージの沖縄だが、今作ではこの場所ならではが持ついくつもの難題にも焦点をあてている。

企画・プロデュースは沖縄出身の山城竹織。
世代や生活環境によって異なる米軍基地への考え方にもクローズアップした意欲作であるが、それはやはりプロデューサーが沖縄出身という理由が大いにあるだろう。
フェンスを隔てて日本とアメリカの2つの国が存在するという特別な土地、沖縄。
北海道民からすると沖縄は気候的にも気質的にも正反対に感じる土地だ。
その為、普段の生活から離れてバカンス的な感覚で訪れる事が多い。青く美しい海と北海道とはまた違った雰囲気を持つ広い空。
のんびりとしながらもノリが良く近くにいる人に声をかけては皆で一緒に飲む沖縄県民の皆様など、人見知りが多く慣れるまであまり自分を出せない我ら道産子とは対照的である。(勿論全員がそうであるというわけではない)
ライブなどの場合アーティストからすると北海道のライブは盛り上がっていないように捉えられがちだが、実は心の中は猛烈に燃えているというパターンが多い。
アーティスト自身も道産子はあまり社交的ではないように見受けられるのだが、沖縄出身や関西出身のアーティストは心の距離を縮めるのに長けている。
おそらくMONGOL800もそうだったのではないだろうか。

監督は「羊と鋼の森」や「雪の華」などで知られる橋本光二郎。
景色の美しさだけでなくその場所の持つ繊細さもその画面に映し出し、心の動きなども丁寧に切り取った作品が魅力だ。

キャストは若手注目株が集結。
主人公の真栄城亮多役を「3D彼女 リアルガール」「ちはやふる 結び」の佐野勇斗が務める。


5人組ボーカルダンスユニット「M!lk」のメンバーとして活動をしている彼だが、個人的には俳優業も向いているように感じる。
「3D彼女 リアルガール」は本当にこの子は生粋のオタクなのではないかと思うようなハマり役であったし、今作は今作で勢いで行動し皆を引っ張っていく亮多がそのまま彼の性格なのではと感じる程に役そのものを自分のものにしている。
本作が俳優デビューとなる眞栄田郷敦も、多くを語らない難しい役を家族の前・仲間の前・好きな女の子の前それぞれ異なる表情や声のトーンでうまく表現していた。

ストーリーは亮多と眞栄田郷敦演じる譜久村慎司が事故にあう所から急展開を見せる。
大切な仲間を失った虚無感もそうなのだが、自身の年齢的にはつい子供を亡くした親の気持ちやにも感情移入してしまった。
残されたメンバーを励まし応援する、スタジオ・ライブハウスのオーナーの気持ちもよくわかる。
唯一理解に苦しむのが彼等の通う高校の先生だが、生徒に問題を起こして欲しくないという先生の気持ちはこうなのだろうか。

重くて暗く少し難しい部分をも含むこの問題を、遠い沖縄だけの事とはせずにもっと自分達の身近な事として考えさせるような作りになっていたように感じられた。
明るくメッセージ性のある音楽を、若くて情熱のある学生達が一生懸命に歌い奏でる。
今は直接伝える事の出来ない彼の想いを、音楽に届けようと奮闘したその姿がとても眩しかった。

やさしい歌は、世界を変える。
音楽好きとしては、それを信じ続けたいと心から思う。

最後になるが、米兵である父親の仕事により米軍基地内で育ったリサ役のトミコクレアが非常に可愛かったのでこれからもまた何かの作品で観てみたい。

予告動画

「小さな恋のうた」5月24日札幌シネマフロンティア 他で公開

キャスト:  佐野勇斗 森永悠希 山田杏奈 眞栄田郷敦 鈴木仁 トミコクレア
金山一彦 佐藤貢三 中島ひろ子 清水美沙 / 世良公則
監督:橋本光二郎
脚本:平田研也
音楽・劇中曲アレンジ:宮内陽輔
主題歌:MONGOL800「小さな恋のうた」(TISSUE FREAK RECORDS / HIGH WAVE CO.,LTD.)
Inspired by the songs of MONGOL800
配給:東映
上映時間 : 123分
公式サイト
©2019「小さな恋のうた」製作委員会

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。10月から毎週 木曜日 18:30-19:00の枠にお引越し。
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