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1987年の衝撃的な事件を映画化!『1987、ある闘いの真実』あらすじ 感想

作品紹介

第54回百想芸術大賞4部門受賞!(大賞、脚本賞、主演男優賞、助演男優賞)

1987年、一人の大学生が警察の取り調べ中に死亡。その裏側には、国家の恐るべき闇があった―。巨大権力と普通の人々の闘いを描く衝撃の実話!

ストーリー

1987年1月、すべての始まりは一人の青年の“不可解な死”だった。警察に連行されたソウル大学の学生が、取り調べ中に命を落としたのだ。警察は心臓麻痺だと発表するが、裏情報をつかんだ新聞が「拷問中に死亡」とスクープし、大騒動へと発展していく。

平和な明日を夢見る純粋な願いを握りつぶした上に、ことの真相を隠し通そうとした政府に、国民の怒りは爆発する。

作品レビュー

日本がバブル経済で浮かれていた1980年代後半、韓国では元軍人のチョン・ドファン大統領が、軍事独裁政権のもと国民の自由と平和を握りつぶし、報道規制が敷かれ言論の自由が阻まれていた。

韓国で31年前、日本の第二次世界大戦当時のような赤狩りがあった。その様子は北朝鮮と変わらぬように見え、脱北ならぬ脱南者がいたほど。
日本でも軍事政権下の韓国の報道は規制されており、国交は正常化した後も韓国内の出来事はタブーとされていた。

当時の韓国の現代史を、ドラマや光州事件の映画では薄々は知っていたが、これほど理不尽に凶悪な時代だったと知る由もなかった。

1987年は、ソウル大生のパク・ジョンチョルが、治安本部(現、警察庁)南営洞(ナミョンドン)対共分室で拷問に遭い亡くなった事件を機に、国民と軍事国家が大きく揺らぎ出す。

被害者のパク・ジョンチョルは民主化デモの関係者では無く、たまたま下宿にいたときに、令状を持たない捜査官に捕まったそうだ。
反政府運動に関わる先輩の居場所を教えろと、水拷問され亡くなった。
警察は死亡原因を心臓麻痺と発表し、下手な嘘で事件を隠蔽する。

本作はその事件を発端に、事件の真相を暴き軍事政権下で、民主化運動に身を投じる人々の努力と苦難のドラマが重なりあう。そして韓国の歴史がどのように動いたか細かく描写している。

実話に脚色を加えてはいるが、あまりにもリアルで寒気がした。
この映画には、主役となる人物が特にいない。ソウル大生のパク・ジョンチョル死亡の謎を中核に、ソウル地検の検事、新聞記者、刑務所の看守、女子大生、男子大学生の登場人物に並行し場面が切り替わる。

政治スリラーと暴力に、ミステリーが加わり緊張感と衝撃の連続。また韓国映画らしい、心に問いかける感動的なシーンもある。

韓国警察のとんでもない殺人事件を描いた『1987、ある闘いの真実』。
普段から当たり前のように感じている、自由と平和のありがたさに気づくことのできる映画だ。

 

監督:チャン・ジュナン『ファイ 悪魔に育てられた少年』

出演:キム・ユンソク『天命の城』
ハ・ジョンウ『チェイサー』
キム・テリ『お嬢さん』
ユ・ヘジン『タクシー運転手』
カン・ドンウォン『MASTER/マスター』   他

上映時間:129分

配給:ツイン

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投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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