2018年8月17日
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日本映画史を塗りかえる凶暴な極道映画『孤狼の血』5月12日(土)公開

 

役所広司×松坂桃李×江口洋介×竹野内豊
躰が痺れる、恍惚と狂熱の126分。

作品紹介

“血沸き肉躍る、男たち渇望の映画”が誕生した。昭和63年。暴力団対策法成立直前の広島の架空都市・呉原を舞台に、刑事、やくざ、そして女が、それぞれの正義と矜持を胸に、生き残りを賭けて戦う生き様を描いた映画『孤狼の血』。


決して地上波では許されない暴力描写とエロス、耳にこびりつく怒号と銃声。観る者は、生々しいまでの欲望にあぶられ、心は必ず火傷する。

『警察小説×仁義なき戦い』と評される同名原作を映画化した本作は、昨今コンプライアンスを過度に重視する日本の映像業界と現代社会に対する新たなる挑戦であり、数々の【衝撃作】を世に送り出してきた東映が放つ【超衝撃作】である。規格外の作品へのチャレンジ精神に豪華キャストが賛同し、集結した。


『警察じゃけ、何をしてもええんじゃ』。手段を選ばない捜査方法から、やくざとの癒着など黒い噂が絶えない刑事・大上省吾役を演じるのは、日本映画界を代表するスターであり且つ名優の役所広司。

荒々しく強烈な存在感で観る者を強く惹きつける。大上のやり方に疑問を持ちながらも徐々に影響を受けていくエリート新人刑事・日岡秀一には松坂桃李。

もがき、葛藤しながら成長していく姿を情熱的に演じ切り、俳優としての新たな境地を見せている。

五十子会、加古村組から抗争を仕掛けられる老舗・尾谷組の若頭・一之瀬守孝役には江口洋介。極道に生きる昔気質の男を演じ切り、他を寄せ付けない鋭さで極限の世界へと観客を誘う。


そして、大上とは旧知の仲で、捜査に協力するクラブ「梨子」のママ・高木里佳子には真木よう子。更に強い凶暴性を帯びる加古村組の若頭には自身初の極道役挑戦となる竹野内豊。さらに、ピエール瀧、中村獅童、石橋蓮司、滝藤賢一、音尾琢真、駿河太郎、中村倫也、阿部純子、矢島健一、田口トモロヲら、日本屈指の俳優陣による演技合戦がスクリーンに炸裂する。


原作は第69回日本推理作家協会賞受賞をした柚月裕子著「孤狼の血」(角川文庫刊)。
ミステリー要素を含みながら複雑に絡み合う緻密なストーリー展開と濃密な人間ドラマ各方面から絶賛を受けた警察小説である。

柚月自身が「『仁義なき戦い』があったからこそ生まれた小説」と語る原作を、そのDNAを受け継ぐ東映が激情の映画化。
呉原のモデルとなった呉を中心にオール広島ロケを敢行し、渇いた昭和の世界を映像に収めた。

試写の感想

さわやかなイメージの竹野内豊×江口洋介(2016年に人生の約束で共演)のふたりが、とうとうヤクザ役を演じた。

イケメン俳優だったはずの竹野内豊は、本作の監督である白石和彌作品の『彼女がその名を知らない鳥たち』から、悪役が板に付き『孤狼の血』では加古村組の若頭として、イケメンを払拭させる卑劣な極道を演じた。

映画は冒頭から、スプラッターで残酷過ぎるホラー映画のような痛いシーンを見せられ、血が出る映像が嫌いな私は、薄目を開けて観るしか無かった。

昭和のヤクザは容赦無い。
かつての昭和の時代、私の住む札幌でも、ヤクザ同士の抗争事件や発泡事件を聞いたが、暴力団対策法成立以降、発泡事件は聞かないので、その時代の極道は、やりたい放題だったように思う。

無秩序で極道人口の多そうな、広島県の呉原市(モデルは呉市)。ヤクザが広島弁を話すだけで、治外法権の雰囲気を醸し出し、それぞれが警察と裏で内通しているようだ。

尾谷組に肩入れする、刑事・大上省吾(役所広司)は、悪徳警官に見える。実際に悪徳警官かどうか?は次第に映画の中で解明されていくが、刑事の大上に対して、嫌悪感を抱くような伏線を幾つも感じた。

新人刑事・日岡秀一(松坂桃李)も、大上と尾谷組の癒着を推測するが、物語は意外な方向へと進んで行く。

ドロドロな悪の秩序が蔓延る中で、刑事・日岡は一輪の花のようだった。彼の存在が無ければ、この物語から目を背けたくなる、野蛮で恐ろしい極道ワールド。やくざ・警察・カタギの女の三つ巴戦だ。

日本映画でありながらも、ハリウッド張りの精巧なストーリーと、サスペンス的見どころがある。痛いシーンは是非とも薄目を開けて鑑賞してほしい。全体的にまとまりが良く面白い映画。

予告動画

2018年5月12日、札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌 他全国ロードショー

原作:柚月裕子(「孤狼の血」角川文庫刊)
監督:白石和彌 脚本:池上純哉 
出演 : 役所広司 松坂桃李 真木よう子 /中村獅童 竹野内豊/ピエール瀧 石橋蓮司 ・ 江口洋介

企画協力:株式会社KADOKAWA 
製作:「孤狼の血」製作委員会
配給:東映
映倫区分 : R15+指定
上映時間 : 126分

公式サイト

原作者:柚月裕子
1968年、岩手県出身。2008年、醜悪なテーマを正統派のサスペンスに仕上げた「臨床真理」でデビューを飾り、同作で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞。更にテレビ朝日でドラマ化もされた「検事の本懐」(13)では第15回大藪春彦賞を受賞した。丁寧な筆致で人間の機微を描きだす、今もっとも注目されるミステリー作家だが、本作「孤狼の血」ではこれまでの作風とは一変、暴力団対策法成立以前、まだ「極道のルール」が残っている世界で生きる熱き男たちを≪魂が震える物語≫としてこの時代に産み落とした。その他に「慈雨」(16)、「あしたの君へ」(16)、「合理的にあり得ない 上水流涼子の解明」(17)などがある。

投稿者プロフィール

佐藤 友美
佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Reviewを立ち上げ、新作映画の最速レビューサイトとを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
道内最多試写鑑賞数を誇る、映画レビューライターです。FMラジオ番組に最新映画紹介で生出演をしています。